Dr. Goldfoot and the Bikini Machine　ビキニマシーン　（1965年）

DVD Release Date: 6/5/2001


　はい、今回ご紹介するのはあのホラーの貴公子、ヴィンセント・プライスがなんと、初のコメディ演技に挑戦したという、素晴らしい、素晴らしい『ビキニ・マシーン』（『Dr. Goldfoot and the BikiniMachine』1965年）なんですねえ。あのＡＩＰが初めて100万ドル超の予算を使った、いいます。それにまた続編もあるんですねー、『DR.GOLDFOOT AND THE GIRL BOMBS』（ゴールドフット博士と爆弾ガール　1966年）はい、それでは楽しんでください。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　ゴーゴー音楽と後のＴＶシリーズ“ガンビー”のプロデューサーによるクレイアニメのオープニング。なかなか楽しそうでヨロシイじゃないですか。そして、本編が始まってサンフランシスコをしゃなりしゃなりと歩くトレンチコートのいい女（スーザン・ハート）、そんな彼女に車がどかーん。しかし、彼女はまったく平気で逆に車が大破。続いて銀行から飛び出してきた銀行強盗二人組み、ジャマな女に拳銃を乱射するもまったく効果なし。呆然としていた二人は駆けつけた警察によってあっさり御用と相成りました。続いて彼女はカフェテリアに入っていきます。

　このカフェテリアで彼女と揉めていたのがクレイグ・ギャンブル（フランキー・アヴァロン）、「えー、食事がカフェテリアって名に考えてんのよ」という訳で振られてしまった哀れなクレイグでしたが、そこに女がやってきて、牛乳をがぶがぶ飲みだしたので、びっくり。さらに、彼女の体のあちこちから、ぴゅーっと今しがた飲んだばかりの牛乳が噴出してきたので、二度ビックリ。わあ、銃弾で穴が開いてたんだ（笑）。女は自らをダイアンと名乗り、初対面のはずのクレイグに「こんな様子のいいお方、初めてですわ」と言わんばかりにしなだれかかります。なぜか、彼のことをトッド・アームストロングと呼ぶのですが、クレイグ一切気にせず「な、なら僕の部屋へ行こう、そして、もっと親密になろうじゃないか」ダイアナを自分の部屋へ連れ込みます。

　ダイアナがぱっとコートを脱ぐと、その下から現れたのは金色のビキニ、これを見たアメリカの観客は「オウ、ゴールドノビキニスイムウェアデス！」とどよめいたそうであります。

　その様子をどこぞの研究室でモニターしていたのがイゴール（ジャック・ムラニー）、せむしではないが、その代わりに頭が悪いんですわ（笑）。そして、続いて研究室に入ってきたのは、悪の大首領、ゴールドフット博士（ヴィンセント・プライス）です。ちなみにこの博士、その名の通り、先の尖った金色の靴を履いているという・・・。つまんないギャグですいませんねえ。彼はモニターを見るなり、イゴールをどなりつけます。「この間抜けめ、私が言っていたのはトッド・アームストロングという金持ちだ、こんな貧乏そうなやつを捕まえてどうする！」モニターを通じてダイアンに呼びかけるゴールドフット博士。とたんにダイアンはやる気満々のクレイグを放り出して帰ってしまいました。「そりゃないよ」と情けない顔でボヤくクレイグ。

　まだ気づいておられない人のためにご説明（笑）。ダイアナはもちろん、ロボット。確信はないのですが、これが後年の『オースティンパワーシリーズ』のフェムボットの元ネタじゃないかと。

　ゴールドフット博士とイゴールはモニターで本命のトッド・アームストロング（ドゥエイン・ヒックマン）を監視しております。彼は大金持ちのビジネスマン。博士、にやりと手元のコントローラーを捻るとあら、不思議、トッドの車がコントロールを失って歩道に乗り上げてしまった。その近くではダイアナが自分の車がタイヤして困っているふりをしているのですな。トッドに声をかけるダイアナ、「私、もうフラット（タイヤがパンク）で困っちゃってるの」「ええ、そんな君、（おっぱいが）フラットなんて信じられない」そんなしょうもない会話を交わしたのち、トッドがダイアナを車で送っていくことになります。この間、博士はほかの九人のフェムボットを呼んでダイアナの手際を見学させているんですナ・・・、「いいか、ああいう風にやるんだぞ」って、能天気だなあ（笑）。

　ダイアナの件がうまくいってご機嫌の博士、残りのフェムボット達にオペラグラスを与えて、こう言います。「お前等は目標の男を上手いことたらしこんでしまうのだ。いいか、ライバルの女がいたら、このオペラグラスで」、博士があるスイッチを入れるとオペラグラスの眼に当てる部分から、鋭いナイフがニョキッ「やっつけてしまえ、毒が塗ってあるからイチコロだぞ」博士はフェムボット達にコンピューターを接続して、目標の情報をインプットしはじめるのでした。

　一方、ダイアナに振られたクレイグ、彼は実はＳＩＣ（シークレット・インテリジェンス・コマンド）の諜報部員だったのです。オフィスでくよくよと考える彼のところに上司のドナルド（フレッド・クラーク）から呼び出しが。ばたーんとイキオイよくドアを開けると、ドナルドが吹っ飛ばされるギャグあり。かっとなったドナルド、実は彼の叔父なんですな、は「お前、もっとしゃっきりせんかい、首にするぞ」と怒鳴るのでありました。

　ちなみにクレイグの認識番号は000.5（ダブルオーハーフ）、ドナルドはそんな番号はもったいない、お前は000.25（ダブルオークオーター）じゃと彼を馬鹿にするのです。

　その夜、とあるナイトクラブでしっぽりしているトッドとダイアナ。何故か、ゴールドフット博士とイゴールがウェイターに化けて監視しております。ダイアナはトッドにどんどん酒を飲ませて酔っ払わせ、まんまと結婚の約束をとりつけることに成功したのでありました。ウヒヒヒと喜ぶ博士とイゴール。可哀想なのはクレイグで、彼は雑誌のカバーを飾っている二人の結婚写真をみ、大いにイキドオルのでした。

　初夜が明けた朝、トッドはやたらに不機嫌。だって、夕べダイアナがヤラせてくれなかったんだもん！ダイアナは「ごめんさない、まだ結婚したという実感が湧かないのよ、だって、ウェディングプレゼントを貰ってないもの」えっと驚くトッドに「そうねえ、アナタの持っている株券なんか素敵ねえ」言われるがままに株券にサインしてしまうトッド。どうでもいいけど、ベッドサイドの戸棚に大事な株券いれておるのか、お前は。「ありがとう、あなた」ぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。さあっと立ち上がったトッドに「あ、私、ショッピングに言ってくるから」トッド、またがっくり。

　暢気に歩道を歩いていたクレイグは偶然、ダイアナを見つけて駆け寄ります。「君、ダイアナだろ、僕だよ、クレイグだよ、愛しているんだ」しかし、ダイアナには彼のことが分からないらしいのです。奇妙なアクセントの英語で「アナタ、ワタシ、カンケイナイ、ホウットイテチョウダイ」と言うばかり。そこに彼女を回収にきたゴールドフット博士も加わって、ダイアナの両腕を掴んで引っ張り合い。大岡裁きか！逃がしてなるものかと渾身の力で引っ張っていたクレイグ、突然、ダイアナの手首がすっぽ抜けたのに仰天。ご丁寧なことに、指にはトッドから貰った結婚指輪までついています。彼女は人間じゃなかったのか、クレイグようやく気づくのでありました。

　ダイアナを車に乗せたゴールドフット博士とイゴール、彼女のハンドバックから株券取り出して、ほっくほく。「わはは、よくやった､これで大金が手に入るぞ・・・、ちょっと待て、株券だけか、アームストロングの全権委任状はどうした、それがないと、彼のビルやヨットが手に入らないじゃないか、この間抜けめ、おしおきしてやる」

　クレイグは事の顛末を電話でドナルドに報告しますが、信じてもらえるどころか、このキチガイめ、病院にいけといわれる始末。困った彼は単身調査にあたることを決意、ゴールドフット博士が経営する霊園に忍び込むのでした。クレイグはひょんなことから地下の研究室への秘密通路を発見し、そして、フェムボットを操って大金を強奪しようという博士のたくらみを知るのです。ちなみに、この時、ダイアナは電気椅子に座らせられておしおきの真っ最中（笑）。クレイグはイゴールに発見されたものの、辛うじて脱出に成功します。

　クレイグはオフィスに戻ってドナルドにゴールドフット博士の陰謀について報告しますが、依然信じてもらえません。仕方なくトッドのペントハウスに行くクレイグ。そしてトッドに真実を告げるのでした。この時、信じようとしないトッドに例の手首を見せると、トッド、かくんと気絶してしまいます。クレイグは彼を叩き起こして絶対書類にサインするなと言い聞かせます。

　この時、ダイアナが戻ってきました。ホームバーに隠れるクレイグ。トッドはなんとかサインをしないように頑張ったのですが、度重なるダイアナの色気攻撃にダウン、ついに、委任状にサインしてしまいます。とたんにトッドを放り出してでかけるダイアナ。トッド、またもすっぽかされたのでありました。一方、ダイアナを収容したゴールドフット博士は大喜び。これで奴の財産はすべて私のものになる！

　翌朝、目覚めたクレイグはトッドを問い詰めます。「なんだよ、サインしちゃったのか、あれほど言っていたのに、ダメじゃないか」トッドは「大丈夫だよ、サインしたのは君の名前だ」当然、ゴールドフット博士も気がついてましてな、また騙されたのかという訳で、ダイアナ、研究室の床掃除をさせられているという・・・。クレイグとトッドの二人はドナルドのオフィスにどたばたと押しかけますが、ドナルド、例の手首を見せられて失神、てんで役に立たないんだから。

　思い余った二人はゴールドフット博士の研究室に潜入します。しかし、あっさりと捕まってしまうのです（笑）。博士、にこやかに二人に接し、夕食に招待するのでありました。しかし、この夕食が曲者、椅子に座ったとたんに、ベルトががちゃ、足首を固定。うっかりかがむとテーブルからナイフが突き出てしゅばっ、天井からもナイフがすびらばっ。この楽しい夕食を終えた博士は二人を自分の拷問室に案内します。飾られた自分の祖先の肖像画を自慢するゴールドフット博士。「みんな極悪人だったんだ」

　ゴールドフット博士は隙をみて、クレイグを檻に閉じ込め、トッドに委任状へのサインを迫ります。「やだ、絶対やだ、断る」頑張る、トッド。博士は彼を大げさな機械仕掛けで大きな振り子型の刀が次第に降りてくる拷問器具にしばりつけるのでした。一応、ヴィンセント・プライスが「落とし穴と振り子」みたいな機械を使うというのがギャグになっているのですな。スイッチを入れる博士。刀がぶんぶんと振られながらじりっじりっと降りてきます。トッド、絶対のピーンチ！。その彼を助けに現れたのがクレイグ、クレイグはイゴールを騙して、逆に牢に閉じ込めてしまったのです。彼は博士をぼいんと突き落として、トッドをあわやのところで救出、それ、逃げろ！車で逃げ出すトッドとクレイグ。一方、博士とイゴールはサイドカーで彼らを追いかけます。

　はい、ここからしばらくカーチェイスですね。博士とイゴールのサイドカーが対向車を避けた弾みで泣き別れ、しばらく走ってから再び合体するというギャグあり。博士はあのコントローラーを持っていたので、クレイグとトッドの乗っている車に近づくと、スィッチオン！ボンと音がして車は大破。クレイグとトッドはサンフランシスコ名物のケーブルカーに飛び乗るのでした。こちらも負けずにケーブルカーで追いかける博士とイゴール。

　クレイグとトッドはケーブルカーから他人の車に（笑）乗り換えます。それをみた博士、ケーブルカーのハンドルをくい！どういう仕掛けなんだか、ケーブルカーは線路を外れて、ここに世にも奇妙な車とケーブルカーの追いかけっことなるのでありました。がんがんとばすクレイグ・トッド、追いすがる博士とイゴール。ふとクレイグが前方の看板に目を止めると、「危険この先ミサイル演習場」、アブナイ、二人の車はハンドルを切って右へ逃れます。博士とイゴールのケーブルカーはそうもいかなくて、そのまま直進、崖から飛び出してしまいました。大破したケーブルカー。そこに沖合いの駆逐艦（『ゴジラ対モスラ　』の海外版からの流用）から放たれたミサイルがちゅどちゅどずどどどーん。

　すべての事件が解決してパリへ旅行にいくことになったトッドとクレイグ。もちろん、トッドの奢りです（笑）。飛行機の中で寛いでいると後ろの席から「うふふふ、ぶちゅぶちゅぶちゅちゅー」という嬌声が。振り返ったクレイグはびっくり、なんとドナルドではありませんか。しかも、彼とキスしているスチュワーデスはダイアナです。「お、おじさん、どうしたんですか」「いやな、この娘にあって、一目ぼれしちまって、うふふ、まあ、こういうことに」呆然とするクレイグ、トッド。この様子を操縦席のドアから顔をだしたゴールドフット博士とイゴールがげらげら笑いながら眺めているところで、エンドクレジット。

　ヴィンセント・プライスが楽しそうなのがなによりなんですけど、ギャグがつまらなーい、しょうもなーい。見ている間、200回ほど意識を失いかけました。

　カラー・レターボックスのシネスコ収録。モノラル音声。画質もそこそこ、音質もそこそこ。映画もそこそこだし、まさにそこそこづくしのＤＶＤですな。クローズドキャプションつき　ＭＧＭミッドナイトムービーシリーズの一本。

　Director: Norman Taurog
　Encoding: Region 1
　Format: Color, Closed-captioned, Widescreen
　Rated:
　Studio: MGM/UA Video
　DVD Release Date: June 5, 2001
　DVD Features:
　Theatrical trailer(s)
　Widescreen letterbox format

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