Bloodlust（1959）　新猟奇島

　



　『新猟奇島』（『BLLOD LUST』1959年）、実は私、今はなきディレクＴＶのＳＦチャンネルで見てたんですねえ。その時は結構面白く感じられて、これならＤＶＤ買ってもいいやって思ったんですが・・・。

　チャーターしたボートで舟遊びに打ち興じる四人の若者、ちょっとカッコイイジョニー・ランダル（ロバート・リード）、その彼女のベティ・スコット（ジューン・ケニー）、メガネかけたオタクのピート・ガートウッド（ジニー・パーソン）、同じく彼女の（オタクのくせに）ジェニー・ペリー、彼らは見慣れない島を見つけて探検にいこういきましょうと大騒ぎ。でも船長のトニー（トロイ・パターソン）が航海中だというのに、酒をがぶ飲みして酔いつぶれていたので、仕方なしに、ボートでその島に上陸することになります。「まあ、すてき、キャプテン・キッドの財宝があるかもしれないわ」波打ち際ではしゃぎ回る4人。そんな浮ついたことをいっているから、ホラ、謎の人影がボート流しちゃったぞ。

　島のジャングルの中に食物を探しに行く4人。あっ、ジョニーが落とし穴にはまっちゃいました。ベティが穴に下りてジョニーを助けようとしたその時、がさがさと藪の中から現れたのは、数人の人相の悪い部下を連れたアルバート・バーロウ博士（ウィルトン・グラッフ）。彼は部下にジョニーを助けさせ、そのまま四人を自分の屋敷に招待します。「私は第二次大戦からこっち、この島に移り住んで、世界中の珍しい動物を島に放して、ハンティングを楽しんでおりますのじゃ」続いてバーロウは自分の美貌の妻、サンドラ（リリアン・カーヴィン）を紹介します。と、そこに闖入してきた酔っ払い、ディーン・ジェラルド（ウォルター・ブルック）、「うーい、酔ってんのかって、へへーん、酒を飲めば酔っ払うのに決まってますよーんだ」彼もまた、この奇妙な島の住人でありました。

　バーロウ博士に命じられてサンドラはジェラルドを彼の自室まで送っていきます。ジェラルド、ドアが閉まるととたんに正気に戻って「もう、だめだ、サンドラ、酔っ払いの真似も限界だ、早く逃げよう」「ああ、ジェラルド、でも、でも・・・」キチガイ博士の妻とその友人のお定まりの不倫関係です
な。

　バーロウ博士は四人に今夜は屋敷に止まっていくようしきりに薦めます。「私が放った猛獣どもがうろついているから、夜は危険なのですじゃ、一晩ゆっくりして夜が明けてから帰りなされ」一旦あてがわれた部屋に引き上げた四人でしたが、「どうも、この屋敷はおかしい、何かある」ということで、ジョニー・ベティ、ピート・ジェニーの二手に分かれて屋敷内を探検することになります。

　部屋を出たとたん、サンドラとジェラルドに捕まるジョニー・ベティ組。二人は部屋に引き込まれて、実はバーロウはとんでもないキチガイであること、彼の趣味は人間狩であること、自分たちはなんとかして、この島を逃げ出そうとしていることを聞かされます。「大変だ」と顔色を変えるジョニー、「ピートとジェニーの二人が危ない」そのピートとジェニー、屋敷から謎の洞窟に通じているトンネルを発見。よせばいいのに、のこのこ入っていきますな。その洞窟でなにやら怪しい作業部屋を発見する二人。あっ、誰か入ってきます。物陰に急いで隠れる二人。それはバーロウの部下の一人でした。その男が作業部屋にあった水槽の覆いをぱっとはねのけるとギャー、女の死体だ！続いて片隅のもの入れから、人体の様々な部品、足やら、胴体の皮やら、頭やらを取り出し始めます。このジェフリー・ダーマーな光景に震え上がったピートとジェニーはほうほうの態で部屋に逃げ戻るのでした。

　四人は島から泳いで北の海岸に隠してあるというボートを見つけ脱出、助けを求めるというサンドラとジェラルドに全ての望みを託すことになります。見張りの目を盗んで屋敷を抜け出す、サンドラとジェラルド。とっとと逃げればいいのに、「ああ、もう私にはあなたしかいないのよ」なんてキス、それも二回もするから、ほら、バーロウ博士に見つけられてしまったじゃないか。バーロウ博士、槍を持って、物凄い目つきで二人を追っていくのでありました。

　それから二日が経ち（笑）、サンドラとジェラルドから何の知らせのないことにいらつくジョニーとベティ。二人は偶然屋敷の居間にあった隠し通路を見つけて、よせばいいのに、どんどん進んでいくと・・・。そこは天然のホールのようになった洞窟でありました。「ようこそ、お二人さん、私の展示室へ」ぎくりとする二人。ぱっと電気がついて、怪しげなるイスに座ったバーロウ博士を照らし出します。「私の自慢のトロフィーを御覧なさい」博士はイスについているスイッチをぱちり、「ほれ」岩のくぼみがぱぁっと照らされて現れたのは人間の剥製。ギャー！「ほれ」また人間の剥製、ギャー！「ほうれ」ギャー、逃げた筈のサンドラとジェラルドです。しかも悪趣味なことに、ジェラルドは今にもサンドラにキスしようとしている姿で剥製にされているのでありました。

　バーロウ博士「わしゃなあ、第二次大戦で狙撃兵をやっておったんじゃ、その刺激が忘れられんかったんじゃ、だから人間さらってきて、人間狩しているんじゃあ」博士は、ジョニーとピートを人間狩の獲物として使おうとしていたのです。で、女二人はサンドラの代わりにしようという算段なのですから、見ているこっちは開いた口が塞がりません。

　「君達にはこの拳銃を与えよう。弾丸は原住民が死の枝と呼んでいる木に隠してある。君達はそれを使って、私に反撃してもいいのじゃ。私は君達を一人につき、一本のボウガンの矢でしとめてみせるから、どうじゃ、このスポーツマンシップは、公平じゃろ」何言ってんだか、このキチガイは。

　あの酔っ払い船長トニーとともにたった20分間の猶予を与えられて夜の森に放たれる、ジョニーとピート。実はこのトニー、人間狩の獲物を攫ってくる役だったんですが、酔っ払って失敗ばかりしているもんで、ご主人様に愛想つかされたんですな。トニーは死の枝に隠してあった、一発の弾丸を素早く奪い取ると、二人に銃を向けて、「へっへー、お前ら二人で逃げな」自分だけ逃げちゃいました。残されたジョニーとピート、呆然とします。

　さて、屋敷に監禁されたベティとジェニーの女二人は見張りの目を盗んで逃げ出します。途中、例の作業部屋に迷い込み、博士の部下の一人に襲われますが、ベティがえぃっと叫んで部下を突き飛ばすと、彼は死体のいらないところを始末するための塩酸のプールに落ち込んでじゅわりじゅわりと溶けてしまいました（笑）。一方、拳銃を盗んで逃げたトニー、博士を見つけて引き金をひくのですがが、かち、かち、ああ、不発だよう。バーロウ博士「馬鹿、その拳銃は撃芯が折れているのだ、そんな、俺がまともな拳銃を渡すと思うか」というなりボウガンでシュバッ！「グエッ」トニー、死にました。

　ピートとジョニー、森を逃げ回っているうちに、ピートがドジこいて、流砂に落ち込んでしまいます。ジョニーはなんとかピートを引きずりあげるのですがその後を追っていたバーロウ博士と彼の部下シャンドア（ボビー・ホール）、やっぱりシャンドアが流砂に飲み込まれてしまうわけですよ。そんなシャンドラを助けようともせずににやにや眺めるだけの博士。ヒドイやっちゃあ。

　なんとか合流を果たしたジョニー・ピート・ベティ・ジェニーの四人は博士の屋敷に潜り込みます。しかし、戻ってきた博士に気づかれて、あの恐怖の展示室に追い詰められてしまうのでした。「女は助けようと思ったが、面倒じゃ、こうなりゃ皆殺しじゃ」絶体絶命の4人、しかし、そこに現れたのは、流砂に飲み込まれた筈のシャンドラでありました。彼を見殺しにした博士に復讐するために、屋敷に舞い戻ってきたのです。シャンドラに向かって拳銃を乱射する博士、シャンドラ、銃弾をモノともせず、博士をむんず。剥製固定用の針にばすりと押し付けます。「ずあーっ」大量の血を流して絶命する博士。「彼自身が展示物になってしまったんだ」ジョニーが呟くのが落ちというお粗末な一席でございました。

　モノクロ・スタンダード・モノラル。音質はともかくとして、画質だめだめだめ。今まで買った輸入DVDの内でも最低の部類です。ラストなんか、画面がわやわや揺れるんだから、ヒドイ。マダシー・エンタティメントのハリウッドホラー・コレクションの一本。『怪談生娘吸血魔』とのダブルフィーチュア。

Release Information:
Studio: Madacy Entertainment
Theatrical Release Date: 1959
DVD Release Date: March 20, 2001

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