Scream Bloody Murder　1973

　『Scream Bloody Murder』（1973年）幼少期の事故で片手を失いついでに頭の方もおかしくした青年が母親への倒錯した愛情のゆえに連続殺人事件を起こすというありきたりな映画（笑）。非常に安っぽいのですが、それゆえに私のような人間を強く強くひきつけるのです。

　冒頭いきなり陰惨な事故。本作の主人公マシューは父親が調子のおかしいブルドーザーを修理している間に運転席で悪戯。急に動き出したブルドーザーにパパ、ぐしゃ（笑）。マシュー自身もそのショックで運転席から放り出されたところをぐしゃ。片腕を失う大怪我。彼はそういう施設に入って腕と頭の治療をすることになりました。当然ながら腕は義手になっております。はい、ここで何年たったか知らないが子供だったマシューもリッパな青年となります。しかし彼はママから来た手紙を読んで激怒。なぜならその手紙には「わたし、ミスターパーソンと仲良くなっちゃったの。二人で早くあなたが退院できることを祈ってるわ。パーソンならきっとあなたの良い友達になってくれる」きききき、俺の大事なママを奪いやがって、マシュー、まだ見ぬパーソンに激しい怒りを燃やすのであります。

　マシューの義手になっている片腕、明らかに長いの。義手を手に握っているのが丸分かりです。だから彼は長袖しか着ることができないのです（笑）。

　さてようやく退院することができたマシュー。実家に戻るのですが、誰もいません。途方に暮れる彼の前に楽しそうな笑い声とともに車が現れます。乗っていたのは彼のママ（スゼット・ハミルトン）と憎っくきパーソン（ロバート・ノックス）でした。なんと彼らは結婚式の帰り。近所の友達の車で送ってもらったのでした。あ、キスなんてしてやがる。二人は家の前に佇んでいたマシューに気づいてびっくり。「まあ、マシューじゃないの、帰ってきたの、良かったわ！」ママは大歓迎ですが、マシューは浮かない顔。「パーソンと結婚したのかい」ママとパーソンは頷きます。そしてパーソン、何調子に乗っているのか「息子よ、わてをパパと呼ばんかい」これで切れたマシュー、「お前なんかパパじゃないやい、息子なんて呼ぶな、コノヤロー」のっけから家庭生活の崩壊が予想される大騒ぎであります。

　その後もパーソンに打ち解けようとはしないマシュー。それどころか夜の農場でいちゃいちゃしているママとパーソンにむかむか。ママと別れて農場の用足しに出かけたパーソンを斧で襲ってばらばらにしちゃったのです（大笑い）。悪いことにママにこの現場を見られちゃった。「ギャーッ、何してんの、あんた、パーソン、ばらばらじゃないの」「ママはね、この男と結婚するべきじゃなかった。僕はママを助けたんだ」ママは半狂乱。「あたしはね、パーソンを愛していたのよ、何よ、何するのよ」「ママ」揉みあううちにママばったり倒れて地面の石にごっ。はい、死んでしまいました。

　もう訳の分からなくなったマシュー。荷物を抱えて逃げ出します。途中、ＬＡに新婚旅行に行く途中だというブレンダとレッグスという若夫婦の車にヒッチハイクさせて貰うのですが、もはや母親殺して頭のおかしくなったマシュー、水遊びをしているブレンダとレッグスの顔がふわふわむやむやとママとパーソンの顔に変わった！で二人とも惨殺してしまうという・・・。救い様のない映画だねえ。彼らの車を奪ったマシュー、ぶいーんと走らせるのですが、バックミラーにまたもママの顔。「どうしてアタシを殺したの。もう逃げられないわよ」車を捨てるマシューです。その後彼はまたヒッチハイク。トラックの荷台に乗せて貰って別の町に到着するのでありました。

　そこで出会ったのが家の外でこれみよがしに絵を描いている不思議な女、ヴェラ（レイ・ミッチェル）であります。マシューは彼女の絵、素人目には赤くテキトーに塗ったくったようにしか見えない抽象画にすっかり魅せられてしまいます。「素敵な絵だねえ」ヴェラ、ヘンな奴が来たと思っているのかも知れませんが、そこは愛想よく、「何の絵に見えますか」マシュー、うーんと唸って「これは炎だ、炎に人が閉じ込められていて逃げたがっている、これは彼の犯した行為に対する罰だ」おいおい、自爆しようとしてないかい、マシュー（笑）。「罰ってどんなことをしたの」「母を奪った奴をばらばらにしたんだよ」だから、なんでそんなことまで言うかね（笑）。

　もう少し話たいというマシューにベラはへんなことを言い出します。「それはお友達としてかしら、お客としてかしら、お客だったら家の中に入ってね」なんだ、この女と思っていたらすぐに酔っ払った水兵（ロン・バストン）が登場。「ういー、トニーからお前さんのことを教えてもらったからさあ、うん、出港が1日伸びたからき、来たんだよ」ああ、なるほど、この女水兵相手に買春していたのですな。ヴェラ、そんなことはしないでよというマシューを商売の邪魔とばかりに振り切って水兵を家の中へ。そしてあへうへひへいやんと事に及んだのであります。むきいいいと怒り狂ったマシュー、ペインティングナイフを取り上げてヴェラの絵をずったずたにします。よくよくずったずたにするのが好きと見えますな、この人は。

　そしてマシュー、ナイフを持ったまま水兵が出てくるのを待ち受けるのでした。そんなこととは露知らず水兵は「あぴい」と叫んでイッてしまいました。そして床代の10ドル払ってってそんなに安いのかヨ、ええ？ヴェラの家を後にするのであります。すっと後をつけたマシュー、橋の上まで来たところで「死ね」ぐさぐさぐさぐさ。「びわー」水兵絶命します。マシュー、彼の死体を川に投げ込んでしまいました。それからマシュー、ヴェラの家へ戻ってペインティングナイフを彼女に返し「あの水兵がこれで君の絵をむちゃくちゃにしたよ」と言いつけるのでありました（笑）。この時、ヴェラに泊まるところがあるのかと聞かれたマシュー、ヘンな見栄を張ります。「僕のパパは大金持ちなんだ。大邸宅に住んでいるんだぜ」

　翌日、恐ろしいことにこの見栄を現実のものとしようとするマシュー、近所の豪邸に「すいませーん、車故障しちゃったんす、修理工場に連絡したいので電話貸してくださーい」と上がり込むのです。そして天気予報の番号回して「あ、もしもし」「シェラネバダ地方は天候悪化の恐れ」「あ、おれっす、マシューっす、ブロンソン修理工場ですか」「雪になることもありますのでハイカーの皆さんは注意願います」「修理してくださいな」がちゃん、電話を切ってやおら彼を迎え入れたお手伝いの黒人女性フライディに襲い掛かるのでした。台所にあったでっかい包丁でだん、だん、だだだん、ああ、またばらばらにしちゃった（笑）。

　さらにマシュー、二階で寝ていたこの屋敷の主人であるアナトール夫人を絞め殺しちゃった。さらに、さらにこの家の飼い犬を「次はお前の番だ」わあ、台所に犬連れていってまたまたばらばらにしちゃったよう（大爆笑）。

　映画の前半、40分過ぎてすでに8人＋一匹（犬）が殺されたという大変、爽快な映画ですね、こりゃ（笑）。

　アナトール夫人、お手伝いのフライディをぶっ殺してまんまと屋敷を手に入れたマシュー、ズウズウシイことに夫人のクラシックカーに乗ってヴェラを迎えに行くのであります。あ、申し遅れましたがマシュー、ヴェラのことをディズィと呼んでいます。ディズィとは彼が心ならずも殺してしまった母親の名前、つまり彼はヴェラを今はなき自分の母親と同一視しているのでした。

　ヴェラ、「車に乗せてあげるよ、そして僕のお屋敷に来ない。いいもの見せてあげる」とのマシューの誘いにまんまと乗ってしまうのであります。ヴェラ、言っておくけどダイフゴーの息子がさして上等とは思えぬ服を着てこんなところうろうろしている筈ないでしょう。それにフツー、そんな大金持ちの息子が豪勢なクラシックカー、自分で運転しないよ、ショーファー（運転手）ついているよ。

　あっという間に屋敷に連れ込まれたヴェラであります。マシュー、もう舞い上がって「ふふふ、このテラス、いいでしょう、ここを君のアトリエにすればいいよ、うん、引っ越してくればいいんだ。そうすればあんな水兵相手の買春まがいの仕事しなくても済むんだ」ヴェラ、カッとなりますな。「あんな仕事って大きなお世話だわ。アレはアレでキモチいいの。私帰る」「どうして、どうして帰るの」オメーがキモチ悪いからだよ（笑）。「僕が援助すれば君は有名な画家になれるんだ。ここが君の家なんだよ」ついにマシューぶち切れますな。「チクショー、帰る、帰るって、僕ら友達じゃんか」「友達って違うわよ、全然！」ヴェラ、ひーっと悲鳴を上げて逃げ出します。そうしてその挙句足を踏み外して階段からすってんころりん（大笑い）、あわれマシューの虜になるのでありました。

　マシューはベッドに彼女を縛り付けて猿轡をかませます。ヴェラ可愛そうにうーうーうーと唸るだけ。「買い物に行ってくるから、逃げようとか思ったりするなよな」車で出かけます。ええ、この買い物というのが手当たり次第に店や女を襲って金を奪ってからという・・・（笑）。この行き当たりばったりさがたまらんわ、もう。マシュー、食料品や画材道具、イーゼルを買って屋敷に戻ります。彼はヴェラに買って来たステーキ肉をほれほれと押し付けて「どうだ、嬉しいか、高い食料品も画材もそれにイーゼルだって買って来たぞ。君、絵を描くくせにイーゼルもってなかったじゃないか」ヴェラ全然嬉しくありません（笑）。首を振るばかりです。逆上したマシュー、「なんだ、その態度、昨夜の水兵を君のために殺してやったのに」「うー！」ヴェラもう生きた心地しません。

　翌日またも買い物に出かけたマシュー。ヴェラは足と手を縛られ椅子に拘束されています。勿論口には猿轡、「うーうーうー」彼女は必死に身をよじり椅子から逃れます。そしてぴょんぴょんと飛んで階下にやっとのことで降りるのでした。彼女は台所へ行き電話を見つけます。でも手足がつかえないので電話に体当たりして受話器を叩き落とします。フックに引っ掛けて猿轡を外し顎でダイヤル回しすと「はい、こちらオペレーター、何番におかけしましょう」通じた！狂喜したヴェラは必死で「オペレーター、助けて、助けて」と叫ぶのですが、はい戻ってきたマシューの手が受話器を取り上げて「オペレーターさん、今のは間違い電話です」きっちゃいました。ヴェラはまたも二階の寝室に連れ戻されベッドに縛り付けられてしまいます。マシュー、ぐったりとなったヴェラに口を寄せて「ディズィ、明日は絵を描こうね」

　翌日その言葉どおりアトリエでヴェラに絵を描かせようとするマシュー。ああ、ヴェラに首輪つけてる！逃げないよう紐で引っ張っている！ヴェラ、「こんなの犬も同然よ、わんわん、これじゃ絵なんて描けないわ、わんわん」シリアルキラーものから何時の間にかＳＭ映画になっているという（笑）。さあ、これからどうなるのかと期待しておりますと、あにはからんや、ピンポーン、 誰か来やがった。慌てたマシュー、ヴェラを無理やり引きずって「ここで大人しくしていろ！」地下室に叩きこみます。はい、そこには先に殺されたフライディとアナトール夫人の死体が無造作に転がっているというお約束。 「ギャーッ」ヴェラあらん限りの悲鳴を上げるのでありました。

　屋敷を訪ねてきたのはアナトール夫人の主治医、アプスティン先生でした。彼は見たこともない青年が応対に出てきたので当然ながら怪しみます。さらにその青年マシューが「あの、僕、彼女の甥です。彼女の弟、つまり僕にとっての叔父ですが、死んでしまったので葬式のために東部に行ってます。僕その留守番です」なんて言うものですからもう絶対信用されない（笑）。アプスティン博士は「馬鹿を言っちゃいかん。彼女は私の注射を必要とするのだ。私に知らせず出かけることなどない。屋敷を調べさせて貰うぞ」無理やり中に入られてしまいました。そこにヴェラが地下室の扉を足で叩く音がどんどんと響きます。「むむ、ありゃ、なんだ」がちゃっと開くとヴェラ、そしてアナトールとフライディの死体、「ひっ」と立ちすくんだ先生、マシューにあっけなく撲殺されてしまうのでした。あーあ。マシュー、ヴェラを睨みつけて「これはみんな君のせいだ」と無理無体なことを言うのでした。

　さあ、ここでヴェラ、もうやけのやんぱち。急に風呂に入りたいと言い出します。マシュー自分を油断させるためのトリックではないかと疑うのですが、「ふふふ、風呂に入るためにはね、裸にならなくちゃならないの。裸じゃ逃げることなんてできないでしょ。それに私が風呂に入っている間見張っていても構わないのよ」マシュー、彼女をバスルームに連れていきます。そしてヴェラ、急におどおどし始めたマシューの前でぼーんと上着脱いでしまう。オッパイ、ぽろーん、「ふふふ」スラックスもぼーん、×××がま×××です！ひゃーを目を伏せるマシュー。「あら、あなた、ドーテーなの」こんなこと言いながらバスタブに漬かるヴェラでありました（笑）。隙をみてタオルかけのフックをもぎ取りって、そんなに簡単に取れるものなのか、あれは。反撃のチャンスをうかがうのでありました。

　マシュー、お前、凄くイタイぞ（笑）。

　風呂から上がったヴェラはバスタオルを巻いただけの姿でマシューにどん迫り。「ねえ、あなた、私とヤリたくないの、みんなヤリたがるわよ、お金を払ってまで」ベッドに押し倒されるマシュー「いやだ、そんなキモチ悪い、ヤリたくないよ」「そんなこと言わないの」ついにぶちゅぶちゅぶちゅーとキスするヴェラ。初めてのチューで一瞬陶然となるマシューでしたが突然彼女の顔が血まみれのディズィに変わるのです。あまりの恐怖に「ひあ、ひあああ」と喚きながらヴェラの首をしめるマシュー。ヴェラは隠し持っていたフックで彼の背中をぐさっ。なんとか逃げ出すことに成功します。が、しかし、ドアを開けるとなぜかそこにいるマシュー！はい、義手で腹部を切り裂かれて絶命します。

　屋敷を逃げ出すマシュー。車に乗ろうとしますがバックミラーの中で「あっはっはっは」と笑い狂うディズィ。ぎゃっと叫んで車を降り走って逃げるマシュー。赤信号で飛び出して轢かれそうになったら今度はその車を奪って逃げるマシュー。でもやっぱりバックミラーの中で「あっはっはっは」、同じこと繰り返すなよ（笑）。ついにマシュー教会に逃げ込みます。しかしそこで彼を待っていたのは謎の黒衣の人物たち。今まで殺してきた犠牲者かと思ったのですが画質が悪くて確認できず（笑）。その黒衣の人物の一人にキスされて、これはディズィじゃないかと思ったけれども画質が悪くて確認できずって、それはばっかりですな（笑）。とにかくキスされたマシューはげげげと血を吐き出します。それから義手で自らの腹を裂いてはい、死んじゃいました。ここでエンドクレジット。

　最期の最期まで本当に救われない奴です、マシューって。

　カラー・スタンダード・モノラル音声。画質は非常に悪くて解像度まるでなし。細かいところが良く分かりません。カラーノイズも酷く人の顔が見分けつかないのには正直参りました。「Scream Theater Double Feature Vol 1 」『Sisters of death』とのダブルフィーチャー。Vci/Ffi のＤＶＤ。

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