Confessions of a Psycho Cat (1968)

DVD Release Date: 8/14/2001


　えーっと、この『CONFESSIONS OF A PSYCHOCAT 』（1968年製作）の手っ取り早く言えば、キチガイ映画ですわ。一応、マンハントものになっているのですが、そっちの方のサスペンスは皆無。ただひたすら主人公のヴァージニア（エィリーン・ロード）の狂いっぷりを見る他はないという、もうイヤーな映画なんです。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　精神の病気の為に、兄アンディとのサファリ狩猟旅行に同行できなくなったヴァージニア、なにせ、キチガイのなりかけ、山下清風にいうと、「そ、それは兵隊の位でいうと、キチガイの二等兵く、くらいかな」でありますから、マンハッタンで人狩りをしようというとんでもないことを考えます。ここで唐突に場面は変わって、ヤク決めちゃただひたすらに乱交を繰り返すヒッピー達の乱交パーティへ。へれへれと裸の女と男が、ファック、ファック、ファック三昧。ソファーに座っている女に近づいてきた男「なんだ、こんなところにいたから」「だって、あっちでもこっちでもみんなファックしているんだもの」えー、何回この言葉を繰り返してきたか、もう忘れちゃいましたけど、もう一度言わせて下さい。なんじゃ、こりゃ。

　場面がまた変わってニューヨークの街中を必死で逃げる若い男ベニ−。彼「を追いかけるヴァージニアと執事の男。ベニ−はセントラルパークに逃げ込んで、ヴァージニアと執事の目を逃れようと木に登ったところをびしゅっ、ヴァージニアのボウガンで撃たれてしまいました。ぼちゃん、池に落下するベニ−。猟犬よろしく飛びついた執事と命がけの戦いが始まりました。ベニ−はなんとか執事を振り切ると、偶然、流れてきた発泡スチロールの塊に乗り、これまた偶然流れてきた木の板を使って、えんやこら、えんやこら、やっとのことで逃げ延びるのです。

　ベニ−、さっきの乱交パーティが行われている家に逃げ込みます。実はこのベニ−、ジャンキーでドラッグディラーで、スケベでしかも頭が悪いというしょうもない男でありました。彼はこの乱交パーティ会場にドラッグを運んでくるようになっていたのです。ベニ−は仲間にボウガンで撃たれた足の手当てをしてもらいながら、これまでに起ったことを語り始めたのでありました。

　「全ての始まりはある女から呼び出しを受けて彼女の高級マンションに行ったことだった」以下、ベニ−の回想によってストーリーが進行します。執事に案内されたベニ−、ところせましと飾られた狩猟の獲物らしき動物の剥製・毛皮などが飾られた、高級マンションにしちゃいやに狭い部屋に通されるのでした。先客は俳優のチャールズ・フリーマン、プロレスラーのロッコ（有名なボクサー、ジェイク・ラ・モッタ。彼はロバート・デニ−ロの『レイジング・ブル』のモデルとなった人物）、どうやら彼らもベニ−と同じくヴァージニアに招待されたらしいのです。

　やがて三人の前に姿を現したヴァージニア、彼らに提案したのが、「24時間、私から逃げ延びることができたら、10万ドルを手に入れられる」というトンデモない、オファー。逃げ延びることができなかったら？、当然、彼女に殺されるのです。ぎょっとする三人、ベニ−は「何で俺たちを選んだんだ！」「雑誌の記事からよ」とこともなげに答えるヴァージニア。「みんな、人を殺したことがあるでしょ、それが基準だったの」この後、いろいろとやりとりがあるのですが、結局、三人は金ほしさに彼女のオファーを承諾することになりました。この殺人ゲームのダンドリを説明するヴァージニア。「ある朝、午前9時から9時半の間にあなたたちのところに、10万ドルの小切手が届きます。それは24時間後、しかもあなた方のサインがなければ換金できないようになっているわ。それがゲームの開始。後は24時間、私に殺さなければ、そのお金があなた方のものになるというわけ」ヴァージニア、表情がだんだんコワクなってきていて、山下　清風にいうと、「そ、それは兵隊の位でいうと、キチガイの上等兵く、くらいかな」

　ここで、また乱交パーティ会場に戻ってベニ−の口を借りて、フリーマン、ロッコが犯した殺人の様子が語られます。きちんと映像つきでやってくれるので大変分かりやすい。これは評価されるべきでありましょう（笑）。まずはフリーマン、彼は人妻と浮気している現場を旦那に見られてしまったのです。ヒゲをそっていた彼はかみそりで旦那の喉をひゅっ！倒れた旦那に馬乗りになって、なおもしゅば、しゅびらば、あたり一面血だらけになっているという・・・。

　ロッコ、彼はプロレスの試合で見事フォール勝ちを決めたのですが、興奮しすぎて、倒れた相手にキック、キック、またキック。ついに殺してしまったのであります。ベニ−は彼自身の殺人についてはたくみに誤魔化していたのですが、寸暇を惜しんでおっぱいに武者ぶりついていた彼の友達によると、ガールフレンドにドラッグを打ちすぎてオーヴァードープで殺してしまったらしい。どうにもしょうがない奴らなのであります。

　そして、ベニ−は続いてフリーマンの死の様子を話し始めます。彼は劇場のプロデューサーから久しぶりに仕事の電話を貰ったのです。大喜びのフリーマン、しかし、その直後、彼の元に届けられたのはヴァージニアの約束した小切手ではありませんか。そう、ゲームが始まったのです。そして、「ちょっと知られた役者をだすのが手っ取り早い宣伝になるんですよ」と言うプロデューサーの傍らにはにこやかに微笑むヴァージニアの姿が！フリーマンは迷った挙句はたまたま金を借りにきたアル中の役者仲間を金を貸すことを条件に彼に変装させて、「酒場で酒でものんでおけ」安心して劇場へ向かうフリーマン。その夜の公演は大成功。フリーマンはみんなに誉められて有頂天となります。しかし、彼は何時の間にか劇場の中に閉じ込められていたことに気づくのでした。ひいひい逃げ回る、そこに現れた謎の影。「へでばっ」フリーマンはナイフで刺され、倒れて絶命。

　ここで幕間劇。いきつけの精神科医、マックスウェルの元を訪れてセラピーを受けるヴァージニア。「待合室で雑誌の子猫の写真を見ていましたの」だが、マックスウェル医師が「動物はお好きですかな」と聞くと、がらっとヴァージニアの調子が変わって「動物なんてだいっ嫌い。だって、子供の頃にパパにもらった子犬、それは愛らしくって可愛がったものだったわ。でも兄が」ここでヴァージニアの回想場面。あのサファリに狩りにいったアンディがヴァージニアの手から子犬を取り上げて、高層マンションからぽいっ！うわー、本当に子犬の縫いぐるみをマンハッタンの高層マンションの屋上から放り投げているよ（爆笑）。山下　清風にいうと「そ、それは兵隊の位でいうと、キチガイの軍曹どのく、くらいかな」

　この幕間劇が終わって、今度はロッコの番であります。彼は乳輪が極めて大きい（どのくらい大きいかというと、『アメリカン・ヴューティ』のソーラ・パーチぐらい）娼婦を呼んで、たまりにたまった男の精をぶちまけようとしていたのですが、そこにヴァージニアがしつこく電話を掛けてくるのです。「臆病者、私と正々堂々対決しなさい！」最初はあら、彼女から？などと言っていた娼婦、何回も電話が掛かってくるので、いらついて、「あんた、本当は臆病者なのね、電話じゃ何も言い返せないんでしょう」ロッコ、ついにぶちきれて彼女と対決すべく、ヴァージニアのマンションへ鼻息も荒く駆けつけるのでした（バカ）。ちなみにこのシーン、娼婦とロッコ、絶対同一フレームに入りません。もう後からテキト−に撮り足したのが見え見え。要するにこの映画、ヴァージニアを主人公とするまともな（？）スリラーだったのを、それじゃ客入らないってんで、後からヌードシーンを継ぎ足したんですな。言うまでもなく、こんな映画にろくなもんはありゃしない。

　ヴァージニアの部屋へ来たロッコ。後ろから執事に長い刀でぐさあ。「びわーっ」とマンションのパティオによろばいでた彼を待っていたのはマタドールの衣装に身を包んだヴァージニア。アハハハ、凄い、コスプレ、アハハハ、カッコいい。どうでもいいけど、このパティオ、他のマンションから丸見えなんだよ。いくら映画の撮影だからといって、真夜中のマンハッタンにマタドール、もう近所迷惑だって（笑）。ヴァージニア、さんざんロッコをいたぶったあげく、止めの一撃！彼女は目に見えぬ観客の喝采に大きく両手を上げて答えるのでした。山下　清風にいうと「そ、それは兵隊の位でいうと、キチガイの大佐どのく、くらいかな」

　そんなヴァージニアの元にマックスウェル博士が尋ねてきます。「治療のアポイントメントをすっぽかしただろう、一体どうしたんだ、ヴァージニア」彼女は「なんでもないって言ってるでしょ！」と切れて彼を追い出します。こりゃ、あかん、もうあの女を止められるのは実の兄さんだけだってってんで。マックスウェルはアフリカのサファリで狩りに興じているアンディに電話をかけ、「ヴァージニアが発狂しかけているから、すぐに戻ってこい」と伝えるのです。

　この間、ずぅっと乱交パーティの会場にいるビニ−。時間軸がどうなっているのか、もうさっぱり分かりませんわ。友人からここに時間まで隠れていればいいよと勧められたのに、そこはジャンキーですから、薬が切れるともう何も考えられなくなってしまうんです。ビニ−は友人に小切手を預けて、ふらふらとヤクを求めて町に彷徨いでていくのでありました。

　ビニ−、ようやく街角で売人を見つけてヤクを手に入れます。そのまま、ふらふらとトイレの大便ブースの中へ。禁断症状のために、手がおぼつかず、便器からすべり落ちたりしながら、なんとかドラッグを注射するまで、約五分、何の工夫もないカメラワークでだらだらと見せるのです。ビニ−はしゃきっとして、トイレを出て、歩き始めますが、そこに待ち構えていたヴァージニアにボウガンでぶすり。ゲームはヴァージニアの勝利に終わったのです。

　慌しく帰国したアンディとマックスウェル博士は、ヴァージニアのマンションに駆けつけます。ソファーに座っているヴァージニア、もはや、完全に目がイッちゃてます。アンディとマックスウェルの姿を見て、微笑むヴァージニア、「兄さん、私、新しいゲームをみつけたわ、冷蔵庫を見て」なぜか、マンションの冷蔵庫がウォーク・イン・クローゼットみたいに大きくって、おまけに一匹丸ごとの牛肉がぶら下がっています（笑）。アンディとマックスゥエルは愕然。ジャンキー、ロッコ、フリーマンの死体が牛肉と並んでぶら下がっているではありませんか！「なんということを、このキチガイめ！」と叫ぶアンディ。「あ、一人はまだ生きているみたいだぞ」とマックスウェル。二人が助けようと冷蔵庫の中に入ったとたんにヴァージニアが扉をがちょん（笑）。「ギャ−、何をするんだ、ヴァージニア、開けてくれ、開けてくれ！」ヴァージニアはうつろな目で「お父さん、今こそアタシを愛してくれるわね」とつぶやくばかりでありました。山下　清風にいうと「そ、それは兵隊の位でいうと、キチガイの大将く、くらいかな」

　精神病院の中で絶叫するヴァージニアといういやないやなラストで映画は終わります。

　ヴァージニアを演じるエィリーン・ロードの大熱演。目をぐるぐる回して絶叫するさまはとても正気とは思えません。見ていて、ほんと、凄くコワイです。

　モノクロ・スタンダード、モノラル音声。画質はサムシング・ウィアードのくせに生意気だぞっというくらいの高画質。音声も概ね良好なのですが、冒頭部分に音量が小さくって聞き取れない部分があるのが玉に傷。サムシングウィアードのＤＶＤ。

　Director: Herb Stanley
　Encoding: Region 1
　Format: Black & White
　Rated: NR
　Studio: Image Entertainment

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