Crash of the Moons　月に向かって撃て　（1953）

DVD Release Date: 3/12/2002


　『月へ向かって撃て』（『Crash of the Moons』1953年）ＴＶシリーズ「宇宙レンジャーロッキー・ジョーンズ」の映画版ですね。以前今は亡きディレクＴＶのＳＦチャンネルで『宇宙海賊を追え』というエピソードを見たのですが、お話そのものは面白かったものの、宇宙船ががんがん恒星間飛行をしている時代なのに、捕らえた敵を荒縄でしばったり、ドアノブの下にモップたてて、閉じ込めたりとなんだかキッチュな雰囲気で当惑させられました。それで、今回、あんまり期待しないで見たのですが。

　ロッキー・ジョーンズ（リチャード・クレ−ン）、ウィンキー（スコッティ・ベケット）は世界連邦のドレイク長官（チャ−ルス・メレディス）のお供で惑星オフィシアスに来ております。目的は惑星オフィシアスに世界連邦への加盟を勧めること。しかし、オフィシアスの女王クレオランタ（パッツィー・パーソンズ）は大変に疑い深い人で世界連邦にオフィシアスが乗っ取られるのではないかと危ぶみ、ジョーンズ達を追い返してしまいます。女王、机の上にあった時計のスイッチを入れて、「あと1分いないにこの星から退去しなさい。ほら、こういっているうちにもう59分しかないわよ」ストップウォッチかよ！

　ほうほうの態でオフィシアスを立ち去るジョーンズ達。そんな彼らに宇宙ステーションから通信が入ります。相手はこのシリーズの常連キャラクター（多分）、ニュートン教授（モーリス・カス）、ボビー（こまっしゃくれたガキ　ロバート・ライデン）、べナ・レイ（ミニスカ美人　サリー・マンスフィールド）でありました。驚いて「君たちどうして宇宙ステーションにいるんだい」と聞き返すジョーンズ。べナ・レイは嬉しそうに「ジョーンズ、大ニュースよ、ジプシームーンが見つかったの。ジプシームーンはこの宇宙ステーションのすぐ近くを通過するの」「それはスゴイ。良かったな、べナ・レイ」と答えたジョーンズ、あることに気がついて愕然とします。「ジプシームーンがステーションの近くを通過する。大変だ、宇宙ステーションが大気のチェーンに巻き込まれてしまうぞ」大気のチェーン？いや、実はこのジプシームーン、ガミラスとイスカンダルのような双子星なのです。二つの星がどういうわけか大気の回廊で結ばれており、これを大気のチェーン（atmosphere　chain）と呼んでいるのですな。このジプシームーンに関する別のエピソードがあるのですが、私は知らないもので、しばらく訳わかんなかったですよ。

　とにかく長いこと行方不明になっていたジプシームーンがようやく見つかったのでウレシイってことなんでしょう。

　この双子星の一つ、プーシーダに住んでいるのがバブロ（ジョン・バナー）、奥さんのラスボン（レーン･ブラッドフィールド）と子供のコタンダ（エリカ・ノーデン）。まだ赤ん坊のコタンダは最近昼夜を問わずエーンエンと泣いているのでバブロとラスボン「何か悪いことでも起るんじゃなかろうか」と心配しております。この家族、なにやら雷のぎざぎざマークのついた服を着ておりまして、なんだか、カミナリさまみたい。いや、関西の電力会社の回し者か。部屋のあちこちにも雷マーク書いてあるし、空を見上げれば、いつも稲光が光っている。もう雷の国から雷ひろめに来たみたいという・・・。

　さて、宇宙ステーション救出に向かうロッキー・ジョーンズ。宇宙ステーションではさかんに、救出を求める呼びかけをしているのですが、通信の届く範囲にはロッキー・ジョーンズの宇宙船だけ。その彼らも宇宙ステーションが大気のチェーンに捕らわれる前に、到着することはできそうもありません。ロッキー・ジョーンズには彼らの無事を祈るしかなかったのです。

　ついに大気のチェーンに巻き込まれる宇宙ステーション。激しい大気のうねりに翻弄され大揺れに揺れています。おまけに無闇に光る稲妻が今にも命中しそう。べナ・レイ、ニュートン教授、ボビーは揺れる宇宙ステーションの中であっちへだだだ、こっちへだだだ。いやはや役者さんというものも楽ではありませんな。どーんと激しく揺れて、なぜか天井から金だらいが落ちてきてニュートン教授の頭を直撃。かぁーん。くらくらとなる教授。またどーんと激しく揺れて今度は天井から水でぱんぱんになった風船が落ちてくる。ばしゃっ！ずぶぬれになる教授。教授は叫びますな。「ドリフのコントか！駄目だ、こりゃ、次行ってみよう」

　もうダメかと思った瞬間、ああ、ロッキー・ジョーンズが来てくれた！ジョーンズとウィンキーはロケット発着口に彼らの宇宙船をぐさっと突き刺して（笑）そのままエンジン全開。からくも宇宙ステーションを大気のチェーンから脱出させたのでありました。

　無事に危機を脱して、再会を喜び合うロッキー・ジョーンズとバブロ。私は知らないけれど、前のエピソードですでに二人は旧知の仲だったのですな。「ジョーンズ、私の王子を見てくれよ」なんて、コタンダを紹介したりしております。そんな最中、大変な発見をするニュートン教授。ジプシームーン、プーシーダーはこのまま進んでいくと、あのオフィシアスに衝突してしまうというのです。

　こんな『妖星ゴラス』的な展開に驚く登場人物たち。「大変だ、すぐオフィシアスに知らせないと」と叫ぶウィンキー。しかし果たしてあの女王、クレオランタがこの話を信じてくれるのでしょうか。ロッキー・ジョーンズとウィンキーは危惧しながらも、いそぎ、オフィシアスに向かって飛び立ちます。バブロはその間、ジプシームーンのもう一つの星、ナガ−トゥの元首と話し合って、プーシーダーの人々をナガ−トゥに避難する段取りを整えることになりました。

　オフィシアスに到着したロッキー・ジョーンズとウィンキー、まずは周回軌道上に占位して、オフィシアスの危機を知らせる通信を送ることになります。「あの星には女王の知らない地下組織があるんだ。こんなこともあろうかと思って、世界連邦がそういう人たちに無線機をヒソカに渡してあるんだよ。彼らを通じてクレメントラに情報がもたらされればいいのだが」二人は「オフィシアスに惑星プーシーダーが激突するぞ、避難せよ、避難せよ」という内容の通信を繰り返しておくるのでありました。

　はい、ここで登場。オフィシアスの地下組織のメンバーであるトゥリンカ（ナン・レズリー）。彼女が夫のアトラサン（ハリー・ローター）のいない隙にこっそりとジョーンズの通信を聞いていますな。「えっ、星が激突するの」と仰天するトゥリンカ。

　そこへアトラサンが急に戻ってきて、彼女がヒソカに通信機を持っていたことがばれてしまいます。アトラサンはクレメントラの側近であったからたまらりません。アトラサン、「大変です、大変です、ご注進、ご注進」と女王のところに駆け込みますな。彼の話を聞いた女王はためらいもなく、ロッキー・ジョーンズの宇宙船の撃墜を命じるのでした。トゥリンカは武器を奪ってアトラサンを脅しこの命令をなんとか撤回させることに成功しますが結局、牢屋に叩き込まれてしまいます。続いてクレメントラ、やってきたロッキー・ジョーンズとウィンキーを騙して、彼らも監禁しちゃいます。

　えー、オフィシアスの牢屋というのにはですね、すべからく催眠ガス発生装置というのが装備されておりまして、囚人はのべつガスを吸わされて、昏々と眠りつづけるという・・・。

　女王クレメントラは決意します。そうして、彼女はアトラサンに次のような命令を下すのでした。「我が星を訳の分からぬジプシームーンとやらに破壊されてたまるものか。原爆ミサイルを撃ちこんでこなごなにしやれ！」アトラサン、妻のことを気遣いつつも、女王とともに宇宙船に乗り込んでプーシーダーを目指します。全ては手遅れかと思われましたが、ここで、トゥリンカが行動を開始。アトラサンが睡眠ガスのスイッチを出発直前に切ってくれていたのです。彼女はロッキー・ジョーンズとウィンキーを解放し、追っ手を振り切って宇宙船に搭乗。アトラサンと女王の後を追うのでした。

　さて、プーシーターへ到着した女王とアトラサン、無慈悲にも原爆ミサイルを次々とプーシーダーに向けて撃ちこみはじめます。ちゅどーん、ちゅどーん、ちゅどどどーん。もうプーシーダーじゃ大騒ぎですよ。バブロの家でもミサイルの着弾でぐらぐらゆれたかと思うと、何故か金タライが落ちてきてニュートン教授の頭を直撃。かぁーん。くらくらとなる教授。またミサイルの着弾で家がぐらぐら揺れて、今度は小麦粉の袋が落ちてきて真っ白け。教授叫びますな。「ドリフのコントか！駄目だ、こりゃ、次行ってみよう」プーシーダー絶体絶命であります。

　ロッキー・ジョーンズ、ウィンキー、トゥリンカの宇宙船がようやく到着。彼らはプーシーダーに向けてミサイルを撃ちこんでいるオフィシアス船を発見。直ちに、ミサイルでロケット噴射口を破壊。降伏を要求します。いい加減女王のむちゃなやり口についていけなくなっていたアトラサン、とっとと女王縛り上げて降伏しちゃいますな。ロッキー・ジョーンズ、バブロ、女王の三者で会談がもたれ、プーシーダー人のナガ−トゥへの避難が済んだ時点で、プーシーダーを破壊することが決定されます。女王、不承不承ながらなんとか納得するのでありました。

　続々ナガ−トゥへの避難を開始するプーシーダー人。最後に残ったバブロ一家はこれが最後となる故郷の景色を目にやきつけ、宇宙船に乗り込みます。同時に放たれる信号弾。ジョーンズ、信号弾の光を見つけて、「よし、避難が終わった。ミサイル発射だ」また、ぼんぼんと放たれる原爆ミサイル。しかしどうしたことか、プーシーダーはびくともしません（笑）。仕方なく、オフィシアスの人々を避難させることになってしまいます。女王「なぜだ、わらわの星は何も悪いことはしてないぞ」と喚きますが、だって、天文学的現象なんだもん、どっちが悪いってこともないんじゃないの（笑）。

　さんざんごねて「わらわの人民がばらばらになってしまうではないか。うぬ、ロッキー・ジョーンズ、これはそなたと世界連邦とやらの陰謀であろう」なんてことをぶつぶついう女王。世界連邦の全面的な協力によってオフィシアスの避難がようやく完了します。そして、いよいよプーシーダーとオフィシアスの最後の時がやってきました。モニターにうつるプーシーダーとオフィシアス、ぐんぐん近寄ってついに激突、ちゅどちゅどちゅどどどーん。それを見ていた女王がようやく改心したのか「ありがとう、本当にありがとう」とロッキー・ジョーンズに言ったところで映画は終わり。

　ん？となる場面もありますけど、結構楽しく見られました。それにね、特撮ちゃちなんだけど、ちゃんとセットを組んでミニチュア使って撮影しているんです。ロケットの発射シーンだとすぐにありもののフィルムを使いたがる志の低いＳＦ映画とは違うのです（笑）。また、プーシーダーからナガ−トゥへの避難に使われるのは翼のある航空機。両星を繋いでいる大気の回廊があるから宇宙船は必要ないのですな。よく考えてあるものです。

　モノクロ・スタンダード　モノラル音声。Sci-Fi Classics Triple Feature,Vol. 1 と題したＤＶＤ．『来るべき世界』『 Rocketship』『月へ向かって撃て』の3本の映画が収録されてますから、画質は当然良くない。音質も聞き取りに不自由しないという程度。約10ドルのＤＶＤなんですから、文句言っちゃいけないですな。Navarre CorporationのＤＶＤ。

　Format: Black & White
　Rated: NR
　Studio: Navarre Corporation/
　DVD Release Date: March 12, 2002

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