Crater Lake Monster (1977)　魔の火山湖・甦った巨大生物の恐怖

　今回、ご紹介しようと思っていた『クレーター・レイク・モンスター』キャスト名を確認しようと思ってネットで検索してみたら、げぇっ、つい先ごろ、字幕つきのビデオやＤＶＤが邦題名『魔の火山湖・甦った巨大生物の恐怖』として発売されたばかりじゃあ、ありませんか。まあ、こんな、地球人類の98パーセントが一回見たっきりで放り出すこと疑いないＢ級映画のストーリーを詳しく記すということ自体に幾ばくかの価値があると思いますので、いつものスタイルで紹介させてもらいます。でも、日本語字幕つきのヴィデオやＤＶＤがすぐ手に入るからといって、それ見て、私の英語聞き取り能力がどんなものであるか検証するなんて、そんな大人げないことしちゃいけませんよ。みんな、もうコドモじゃないんだから、アダルトなんですから。チャイルドじゃないんですから。

　アメリカの美しい湖、クレーターレイク。そこで調査をしていたドック（ボブ・ヘイメン）、ダン・ターナー（リチャード・ギャリソン）、スーザン・パターソン（ケーシー・コブ）の科学者チームはインディアンの洞窟で1.000年以上前のものであると思われる壁画を発見します。その壁画はプレシオザウルスと戦っている古代人を描写しており、彼らはこれぞ、恐竜の一部が人間の時代にまで生き残っていた証拠と盛り上がります。
　
　唐突にクレーターレイクに隕石が落下（特撮、すっげえヘタ）。そのショックで洞窟がぐらぐら揺れだしたので、三人は慌てて外へ逃げ出します。同時に湖底ががらがらと崩れて転がりでたのは巨大なる卵でありました。翌朝、ハンソン保安官（リチャード・カルデラ）のボートで湖へ漕ぎ出す三人。ダンとスーザンは隕石の様子を調べるためにアクアラングを使って湖へ潜ります。彼らはこの隕石のせいで発掘調査に大学の援助が受けられなくなることを恐れていたのです。隕石の周りの水が華氏90度にまで熱せられていたと報告するダンとスーザン。あの卵、温泉卵になりますねー。

　それから半年後、湖岸を歩いていたキャンパー、プレシオザウルスに襲われます。ギャー！続いてバードウォッチャーがその姿を目撃し（画面からでは姿を見たのか、吼え声を聞いただけなのか、ちょっと分かりづらい）、ハンソン保安官に電話しますが、当然のごとく、保安官は信じません。それどころか、飛んでいるハエを叩き潰して、その数を壁に貼った紙に書き込んだりしている始末。湖近くのミスター・ファーガソンの牧場の牛たちが何者かに攫われたという報告も暇な彼にはピンと来ません。

　湖で貸しボート業を営んでいるアーニー・キャボット（グレン・ロバーツ）、ミッチ・コワルスキ（マイク・シーガル）は釣り人に1日20ドルで手漕ぎボートを貸してウハウハ言っております。この二ヶ月間全然魚が取れなくなってんのに、あいつはアホかと二人で顔を合わせてくすくす。可哀想な釣り人はえっちらおっちら湖の真中まで行って釣り始めますが、とうぜん何の魚信もありません。それどころか、プレシオザウルスがうわ！食われてしまいました。

　釣り人が帰ってこないので、アーニーは後３０分で延滞金5ドルが手に入ると喜んでいます。ピザの宅配じゃないんだから。しかし、あんまり遅いので探しに行くと、ボートは空っぽ、しかも大量の血がこびりついていました。ひああと戦慄する二人。

　ここでいきなり登場するロス・コンウェイ（マイケル・フーヴァー）、ポーラー・コンウェイ（スザンヌ・ルイス）の夫婦、彼らはラスヴェガス目指して車を走らせていたのですが、エンジンがオーバーヒートしてしまったのです。修理の間、湖でも見てきたらと修理工のおじさんに薦められた二人はよせばいいのに、アーニーとミッチからモーターボートを借りて湖を散策することにしました。彼らが出かけた後、アーニーとミッチは些細なことで殴り合いの喧嘩を始め、勢いあまって湖にどぼん。偶然に引きちぎられた釣り人の頭を発見して、びっくり。保安官に通報します。保安官は首を回収すると二人にもう絶対ボートを人に貸すなと厳命して、ドックに首の検死を依頼するのでした。

　一方、ラブラブと湖を散策するコンウェイ夫婦、いいムードになって船上ではじめてしまいます。「こ、この揺れがいいのだ」「そ、そうよ、この揺れがいいのよ」「OH OH OH！」「EEEEeee！」やかましい！プレシオザウスが登場します。二人は驚いてハメたまま逃げ出しますが、ボートが岸に乗り上げたショックでロスが失神、ポーラーが懸命に揺り動かして意識を回復させたものの、怪物は彼らのすぐそばまで迫っていました。ロスはボートに火を放ち、なんとか怪物を撃退することに成功しますが、ショックのあまり二人してへたり込んでしまいます。

　ここでまた唐突に登場するのが、きったないモーターホームに住んでいるホワイト・トラッシュ。彼は酒屋に行っていきなり店主を拳銃で射殺、偶然店内に入ってきた御夫人をも撃ち殺し、彼女の車で逃走します。なんじゃあ、こりゃ。

　一方、釣り人の頭を調べているドック。頭についていたのは既知のどんな生物のものでもない歯型でありました。何が起こっているのだろう、ひょっとしてあの隕石に関係あるのかしらと顔を見合わせるドックと保安官。その頃、モーターボートを探しにいったアーニーとミッチは湖岸にへたり込んだままのコンウェイ夫妻を発見し、救助します。駆けつけた保安官はアーニーとミッチを激しく叱り飛ばしたので、やけになった二人はぐでんぐでんに酔っ払って森をさ迷うのでありました。どうでもいいけどこの場面、長！

　保安官はさっきの人殺しホワイトトラッシュを発見。激しい銃撃戦が展開されます。ホワイトトラッシュは車で逃走、クレーターレイクまで来て、車を捨て逃げようとしたところにプレシオザウルスが！（笑）。がぶりとやられます。追いかけてきた保安官は仰天して、拳銃を乱射しますが、まったく効果がありません。車で危うく逃れた保安官の話を聞いたドック・ダン・スーザン、「湖底に冷蔵されていたプレシオサウルスの卵が落下した隕石の熱で孵化したのだ。これを生きたまま捕まえたら科学界は大騒ぎになるぞ」と極めてＢ級なことを言って興奮します。だが保安官は「恐竜を捕まえるなんて、トンデモない、殺すべきだ」だいたい、この手の映画ではこういうこと言う奴がいますな。

　暢気なことに、保安官と科学者チームは町の人を集めてプレシオサウルスをどうすべきかという会合を開くのですな。「そんな剣呑なやつは殺してしまえ！」と叫ぶ赤ら顔のレッドネック親父。アーニーはアーニーで「金儲けのチャンスをふいにする気か！」もう大騒ぎのところにタイミングよくプレシオザウルスが登場登場します（笑）。保安官は除雪車に乗ってプレシオザウルスと対決、彼を止めようとしたアーニーは荷台に飛び乗りますが、プレシオザウルスにがぶりとやられボロキレのようになって放り出されてしまいます。白目を剥いて絶命するアーニー。あー、いやな死に方だ。保安官は除雪車でがんがん怪物をどつき回しついにこれを退治するのでありました。ミッチが友達の死を嘆き悲しんでいる場面でエンドマーク、おしまいです。

　一応、このプレシオザウルスはストップモーションアニメで動かされており、それを担当したのが故ディヴィッド・アレン。ジム・ダンフォースやフィル・ティペットなどもスタッフに加わっているというオタク泣かせの一品であります。

　カラー・スタンダード・モノラル。画質はなかなかのもの、朝もやの中を進んでいくボートの場面など幻想的な美しさが感じられるほどの高画質であります。あの『ゼイ・セイブド・ヒトラーズ・ブレイン』と同じくライノホームビデオのＤＶＤ。紙ケース、海苔弁式フタ。

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