Creature from the Haunted Sea (1961)
　　　　　　　　　呪われた海の怪物

Starring:

Anthony Carbone & Betsy Jones

Director:

Roger Corman

DVD Release Date: January 8, 2002



　『呪われた海の怪物』（1961年製作）は監督のロジャー・コーマン先生がプエルトリコで『地球最後の女』を撮影中、せっかくアカプルコくんだりまでやってきたのに、一本だけじゃもったいなかんべ、せっかくメンツそろえてっからもう一本つくるべと考えて6日間で撮っちゃったという映画です。『地球最後の女』はその豪放な邦題とは裏腹に、謎の毒ガスで地球人類が絶滅、たまたまスキューバダイブやってたおかげで助かったお金持ちとその愛人、弁護士の3人が、女を巡ってヤッたヤラないでえんえん痴話喧嘩するという凄まじい内容でしたが、この『呪われた海の怪物』も負けちゃあいません。

　そういやバブル時代のＡＶに、わざわざオーストラリアまでロケに行って砂浜でズコバコやっていたのがありましたなあ。え、関係ないだろうって？いや、ふと思い出したもんですから。

冒頭、靴磨きに変装したスパイから秘密のメモを受取る米国エージェントＸＫ-150（スパークス・モ−ラン）。ところが、突如現れた二人の敵によって靴磨きが射殺されます。逃走するＹＫ-150、二人をなんとか撒いて、メモをみてみると「なんとかいう酒場に行ってなんとかいう女スパイに会え」たったこれだけのために殺された靴磨きが哀れであります。

　指示された酒場に出向くＸＨ-150。ちゃんといるんだ、女スパイが（笑）。ＺＫ-150はバーテンに向かって「シャトーモランの1915年ものを頼む」女スパイ、「いや、1914年ものがいいわ」これが合言葉だったのです。美貌の女スパイに自己紹介して、「ではまたいずれ」とカッコつけて立ち去ろうとするＸＩ-150、階段でずっこけます。ギャ−、コーマン先生のギャグだ、そう、この映画はコメディなのでした。

　ここでタイトル、その後、画面は突如、アニメーションとなり、革命後のキューバから、大金を持って逃げ出す前バチスタ政権のＶＩＰ達が描写されます。アニメーションが終わって、夜のジャングルに現れるトスタード将軍、彼はレンゾ・カペィト達の手引きによってキューバを脱出しようとしていたのです。続いて現れるカストロ政権の追っ手、このフォルクスワーゲンの屋根に機関銃を据え付けた、トリプルファイターの宇宙人みたいなカッコ悪い追っ手によってばたばた射殺される将軍の部下達。将軍とレンゾは慌てて逃げ出します。

　実はレンゾ、将軍の持ってきた金塊を横取りしようと企み、この仕事を引き受けたのでした。彼の情婦、マリーベル（マリー・モナハン）、部下、ハッピー・ジャック・モナハン、子供なみの知能しかありませんが、動物のモノマネが得意な、ピート・パターソン、このどうしようもないメンバーに、さっきのスパイＸＢ-150がいるという・・・、細かいことはいいたくないけど、なんで？

　レンゾ、手始めに船の目的地をアカプルコにかえようとします。それを将軍に納得させる手立てというのが、将軍の部下を一人ぶっ殺して、これはこの海域に棲むといわれる伝説の怪物の仕業だと言い張り、怪物から逃げるためにコースをかえたということにするというなんともややこしいもの。この陰謀の最中、将軍の部下がもう一人、本当の怪物に殺されますが、誰も気にしません（笑）。細かいことはいいたくないけどなんで？

　レンゾ、更なる悪巧み。船をわざと座礁させ、金塊を海中に沈めてしまいます。近くの島に漂着するレンゾとその仲間、将軍一行。レンゾはほとぼりが冷めてから金塊を回収に行こうと考えていたのです。ここで、この島になぜかひとつっきり、電話があり、ＸＫ-149がさっきの女スパイに状況を報告する実にどうでもいい場面が挿入されます。報告を終えたＸＧ-150、振り向くと地元のおっさんと背広の紳士が順番を待っていたというさむーい、さむーい、ギャグ。この二人のうち、どちらかがロジャー・コーマンその人ですから、その侘しさもなおさらです。

　将軍の部下たち、実に都合のいいことにスキューバのダイバーだっんです。ハッピー・ジャック・モナハンがどこからか、調達してきたスキューバ一式には何故か、女も一人くっついてきていて、マリーベルをくどいちゃ剣突食らっているＱＫ-150と仲良くなります。この女、カリマリータというんですが、一体全体どういうこと？そして、金塊を回収するために海中へ潜る将軍の部下たち、レンゾ達は彼等を怪物の仕業に見せ掛けて一人、一人、殺していきます。

　食物を探しにジャングルへ分け入ったピート・パターソン。動物の鳴き声を真似しているうちに現地の太ったオバさん、マリータ・ペレツと出会います。二人はたちまち恋に落ち、結婚するなどと言出すんですよ、これが。さらに女にあぶれてがっかりしているハッピー・ジャック・モナハンに「がっかりすることはないわよ」てんで、自分の娘マンゴーを紹介したりするんです。一応、マンゴー、観光客をタラして、いろいろ売りつけるという魂胆があるようなのですが、4人で仲良く海水浴しちゃったりして、畜生、こんなんうまく説明できるかぁあああ。

　で、マンゴーが怪物にやられちゃう。「マンゴー、マンゴー、マンコ−、マンゴー」悲痛に叫ぶハッピー・ジャック。怪物、海中でマンゴーの骨しゃぶって御満悦なのですが、こいつ、もじゃもじゃの体に皿2枚はりつけて目にしているというてめえ、殺すぞ、おるあ的な造形。怪物のくせに、スキューバの足ヒレはいているし、コーマン先生、全世界、いや生きとしいけるものすべてを舐め切ってます。

　この怪物に、再び金塊を見付けるために海中へ潜った将軍とその部下たち、レンゾ、マリーベル、ハッピー・ジャック、ピート、みーんな食われちゃって、生き残ったのはＸＫ-131とカリマリータだけ。二人は熱いキスを交わしてハッピーエンドになります。

　まったく人生の無駄使いのような下らなさすぎる映画ですが、ひとつだけ勉強になったことがあります。それは“ロジャー・コーマン先生はコメディがへた”ということ。それにしても後のキューバ危機で、もしカストロがこの映画の存在を知っていたら躊躇いなく原爆ミサイルをアメリカにぶち込んだでしょうねえ。いや、ソ連のミサイルだったってことは分かっているんですけど。

　モノクロ・スタンダード　『呪われた海の怪物』『魔の谷』『蜂女の実験室』のロジャー・コーマン、クリエーチャ−ムービーセット。3本の映画が1枚のＤＶＤに収録されているので当然画質はペケです。音質もぼけぼけでセリフが全然聞き取れません。マトモな映画の10倍疲れちゃいました。

Release Information:
Studio: Bfs Entertainment/Mu
DVD Release Date: January 8, 2002
Run Time: 74 minutes

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