Frogs (1972) 吸血の群れ

Starring: Joan Van Ark, Sam Elliott, Ray Milland
Director: George McCowan
DVD Release Date: 9/19/2000
Special Features:   Interactive Menus, Scene Access, Theatrical Trailer






 『吸血の群れ』、1972年の製作です。なんというかですね、小学校6年生くらいの子供が、今日は健太君も昭二君も塾だって言ってたから遊ぶ相手がいないってんで、飛んで家に帰って「お母さん、何かオヤツない」「戸棚にクッキーあるから勝手に食べて」昨晩のお客様に出した残りで少し乾いているそのクッキーを頬張りながら、TVのスイッチを捻った気だるげな木曜日の夕暮れ、というシチュエーションにぴったりなやっすぅーい映画ですわ。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 ここはフロリダのリゾート地。あるお金持ちが所有している沼地の小島付近で自称エコロジストのカメラマン ピケット・スミス(サム・エリオット)がカヌーを操りながら、蛙や蛇などの爬虫類系、また沼地に流れ込んでいる汚水や浮かんでいるコーラの空き缶なぞをぱちりぱちり撮影しております。そこに現れたのが、アル中どら息子クリント・クロケット(アダム・ローク)のモーターボート。こやつはアル中でありますから、妹カレン(ジョアン・ヴァン・アーク)が止めるのも聞かずにバドワイザーを煽りながら、爆走、ついにピケットのカヌーをひっくり返してしまいます。クリントとカレンはピケットに平謝り。ピケットは濡れた服を乾かすために彼等の祖父、クロケット・ジェイソン(レイ・ミランド まただよ)の屋敷へ招待されることになりました。

 この屋敷には独立記念日とジェイソンの誕生日を祝うためにクロケットの一族が集まってきていました。尊大で病気のために車椅子生活を余儀なくされている一族の長ジェイソン(って『ミスターオセロマン』と同じじゃん)を始め、クリントの妻や子供たち、さらにいとこやら叔父やらその奥さんとかやたらにいて、メンドウくさいことこのうえなし。私は始まってから1分でこいつらの親戚関係を把握しようとするココロミをやめてしまいました。

 庭で昼食を食べようとするクロケット一族とピケット。そこへ駆けこんで来て「ほら、お母さん、こんな凄いのがいたよ」とでっかいヒキガエルを差し出してみんなを狼狽させる、場をわきまえないクリントの二人の子供たち。楽しかるべき昼食パーティが一瞬にしてパー(笑)。げこげこげこげこ・・・甲高い泣き声を上げる無数の蛙がこの沈鬱なムードをさらに盛り下げるのです。

 この騒動のあと、ピケットを呼んで「君はエコロジストのカメラマンだろ(ちょっとイヤミ入っている)、実は、最近蛙がやたら多いので、裏の沼地に駆除薬撒こうと思ってね、使用人を一人やったのだが、そいつがまだ帰ってきていないんだよ。君を自然に親しんでいると見込んで(イヤミたっぷり)、一つ彼を探してきてくれないか」と図々しく頼む、ジェイソン。ピケット、負けずに「そんな駆除薬なんか使ったら他の生物も死んでしまいますよ」と言い返しますが、元々気の良い男なので使用人探しを引き受けるのでした。

 湿地帯を進んで行くピケット、しょっちゅう、げこげこ鳴いている蛙やらしゅーしゅーいっている蛇のカットがインサートされて、好い加減うんざりしたところで、うつ伏せに倒れている使用人の死体を発見。もうこの死体のうえを蛙がぴょんぴょん、蛇がずるずる這っていくという具合でグロいったらありゃしないんです。おまけに死体をひっくり返してみたら、顔面がぐちゃぐちゃに食いちぎられてます!ギャ−!ぐちゃぐちゃったって、顔面に絵の具塗りたくっただけなんですけどね。ピケットは急いで、屋敷に帰ってジェイソンに報告しますが、この親父、「まあ、パーティが終わるまでほっとこう」なんて信じられないことを言うんですぜ。

 一方、何故か不通になっていた電話線の修理に出かけたイトコの一人(ここらへんの関係、正直よく分からなかったのです)、切れた電話線を探しながら鳥を撃ったりして遊んでいるうちに密林に迷い込んでしまいます。ここで登場、はい、タランチュラ。わあっと驚いているうちに、ばっさばさと回りのスタッフが投げつけたと思しき草の塊に埋もれてしまいます。何かと思ったらこれ、どうも、タランチュラの糸のつもりみたいで。イトコ、タランチュラに噛まれて(多分)あえなく死亡。

 私がなんともいいようのない寂寞感を感じていると今度は叔母さんが山へ蝶を取りに出かけました、その息子が温室へ花を取りにいきました。息子が温室で花を選んでいるとトカゲ達がたくさんやってきて、棚の上のなんだかよく分からないけど思いっきり“POISN”とラベルの貼ってあるビンをがちゃんがちゃん落としたので、毒ガスが発生し、息子は窒息して死んでしまいました。叔母さんは蝶を追っかけているうちに道に迷い、蛙を見て「ギャ−」 枝に絡み付いている蛇を見て「ギャ−」逃げ出したとたんに沼に嵌り込んでヒルに食い付かれ「ギャ−」私が好い加減いらついて、この婆ァ早く死ねばいいのにと思っていたら、ようやくガラガラヘビに噛まれて死んでしまいました。

 まあ、要するにですな、蛙・蛇・蜘蛛・蛭とか、虫へんの人に嫌われるジメジメ系の生物を集めててっとり早く観客を集めようとした映画なんですな。

 さて、二人を探しにきた叔父さんはワニに襲われます。沼でぐるんぐるんと回転しながらワニと格闘する叔父さん、でも、よく見るとワニの口がしっかり縛ってあるのが分かってどっちらけ。こうしちゃうと、ワニは口をあける力が弱いので全然アブナクないんですよねー。口が縛ってあるワニにどういうわけか噛まれて叔父さん死亡します。

 どんどん人が少なくなっていくので、戦慄するクロケットの面々。探しにも行かないでどうして死んだものかと思うのかね、こいつらは。そんな中、ジェイソンが頑固にも「それでも独立記念日のパーティは滞りなく行われなければならない、それがクロケットの伝統なのだ」などと言出すもんですから、ついに使用人たちが呆れ、暇をとらせてくださいと騒ぎ出すのでした。使用人達をモーターボートで対岸まで送るクリント。

 使用人たちを降ろしてさあ、島に戻ろうとしたクリント、ボートが流されていることに気づいて愕然。泳いでボートに乗りこもうとした瞬間、彼の後を追ってきた黒蛇ががぶっ!ギャ−!その一部始終をみていたクリントの奥さんは「ああっあなたぁ」と叫びながら沼地に踏み込みますが、そのとたん、泥濘に足をとられて動けなくなってしまいました(笑)。なんとか抜けだそうともがく奥さんに向かってしずしずと進んでいく大きなカミツキガメ。極度のカメ嫌いだったのか、これだけで死んでしまう奥さん。あー、つまんねえ!

 ピケットは屋敷に固執するジェイソンを残して、カレン、クリントの二人の子供たちを連れてカヌーで島を脱出しようとします。でもすぐに座礁(笑)。ピケットは水に飛び込みカヌーを押しだそうとしますが、そこへまた襲ってきた蛇!ピケットは間一髪避けるとカヌーの櫓で容赦なく蛇をばっしん、ばっしん。白い腹を見せて浮かび上がるかわいそうな蛇。何もそこまでやるこたぁないと思いますけど。ようやく対岸にたどり付いたピケット達はあたりに人っ子ひとりいないのをいぶかしみながら、偶然通りかかった母子の車に乗せてもらうのでした。「やー、全然人通りなくってどうしたのかと思っていたんです」と話す母親のわきから、「ねえねえ、キャンプでこんなの見つけたんだよ」とでっかいヒキガエルを差し出す子供。いやなオチですねえ。

 一方、一人屋敷に残ったジェイソン。蛙・蛙・蛙がどんどんどんどん、屋敷に集まって来て、窓ガラスを破って入り込んできます。そして、蛙・蛙・蛙がピョンぴょんぴょん。怯えるジェイソン、ついに蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙・蛙にのしかかられて絶命するのでありました。ちゃんちゃん。エンドクレジットの後、ぴょんと飛んでくるアニメーションの蛙、こいつが人間の手を咥えているって、あー、これポスターの図柄じゃん、俺達、これにダマされて見に行ったんだぞ。

 撮影の為に500匹のフロリダ蛙と100匹のアフリカ牛蛙が調達されて、途中で逃げ出して大騒ぎになったというのは最早、定番のボケですね。スタッフ達、フロリダホリディインに泊ったそうですが、毒蛇、タランチュラなどの持ち込みを禁止されてしまったそうで、なんだか電撃ネットワークの海外興行みたいです。

 カラ− シネスコスクイーズ、スタンダード、ダブル収録。画質は良好。70年代B級映画特有の安っぽい質感が気になりますが、霧にけぶる湿地帯をムードたっぷりに再現します。音声もモノラルながら良好。文句なし。クローズド・キャプションつき。でも本当にウンコつまらない映画なので、無理して見ることはありませんよ。

Copyright:   1972,  MGM HOME ENTERTAINMENT
Video Format:  B面 Standard 1.33:1 [4:3]
   A面 Widescreen 1.85:1 aspect ratio
Add'l Features:  Enhanced for 16x9 TVs
Subtitles:   French, Spanish
Audio Tracks:   Dolby Digital Mono: English
    Dolby Digital Mono: Spanish
# Discs:   1
Layers:   Single
# Sides:   One
Other:   Produced by George Edwards, Peter Thomas; Written by Robert Blees, Robert Huchison; DVD released on 9/19/2000; running time of 90 minutes.
クローズドキャプションつき
Coding: リージョンコード1

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