Giant Spider Invasion （1975）　ジャイアント・スパイダー大襲来

DVD Release Date: 4, 23, 2002





　本日のネタは1976年製作の『ジャイアント・スパイダー大襲来』、ビル・レバーン監督、そう、『モンスター・ゴー・ゴー』を途中で投げ出した、あのビルやんですよ。一体どんなひでぇ映画かと思って楽しみにしていたのですが・・・。

　舞台はウィンスコシンの田舎町、グレーソン。住んでいるのはなまけもので好色な農夫、ダン・ケスター（ロバート・イーストン）、彼のアル中妻イブ（レズリー・パリッシュ）、見るからにやりマンなイブの妹テム（ダイアン・リー・ハート）、ボーイフレンドの地元の新聞社の社長の息子デビー・パーキンス（ケビン・ブロディ）、電話に出るばかりでなんの役にもたたない、無能なジョーンズ保安官（アラン・へ−ル・ジュニア）といった楽しい面々。出てくる奴、出てくる奴、みんなホワイト・トラッシュという映画も珍しいでしょう。

　今日も今日とてダンは、牧師さんの説教を聞きに行くと偽って、浮気相手とすこぱこ。帰り際、「ダン、忘れ物よ」「えっ」「あなたのコルセット」「オウ、良かった、それを忘れて帰ったら母ちゃんとえらいことになるところだった」という実にどうでもいい会話を交わします。イブは夫の帰りを待ちながら、強い酒をぐびぐび。テムを迎えにきたデビーに「あたしがもうちょっと若かったらねえ」なんて言って辟易させております。そのデビーとテルマもジャンクヤードに車をとめて、今まさにカーセックスせんとすというところ。道中、テムにべろべろ耳舐められていたので、若いデビーは準備万端。「こほおおお」と叫びながら、テムに覆い被さっていくのでした。そして、その時、ちゅどちゅどちゅどどどーんという大爆発。映画の頭からこっち、ずっと地球目指して飛んでいた隕石がついに地上に落下したのです。

　みんなびっくり。カーセックス真っ最中だったデビーとテムは下半身丸出しのまま、車で逃げ出そうとしますが、どうしたことかエンジンが掛かりません。あわてて下半身丸出しのまま爆発によって起ったと思しき強風の中を走って逃げる二人。バイクを飛ばしていた男もすってんころりん、バイクは茂みにつっこんで大炎上。イブは丁度帰ってきたダンに「あんた、家の裏になんか落ちたよ、ちょっと行ってみてきてちょうだいよ」「いや、疲れたから、寝る。明日にするよ」ダン、あんたん家の裏庭から真っ赤な炎が上がっているんだけど（笑）。こいつ、本当に寝てしまいやがるんです。またでてきたバイク男、暗闇の中で何者かに襲われたらしいのですが、画面が暗すぎて何が何やら分かりません。

　ここから唐突に空軍の司令部とか、飛行機雲を引いて飛ぶＢ-52などのフッテ−ジフィルムが続きます。交信音が小さくて聞き取りずらいのですが、どうやら、Ｂ-52、操縦不能に陥っているらしい。「うわ、操縦桿効けへんぞ、落ちるねんて、落ちるねんて！」「わあっ」ちゅどちゅどちゅどどどーん。ここらへん、全部台詞だけなんで、墜落して爆発するＢ-52の絵なんかありませんので。

　また新たな登場人物。天文台の科学者、ジェニー・ランガ−博士（バーバラ・ヘイル）であります、彼女は観測されたガンマ線シャワー、放射線の異常値などに不安を抱き、観測結果をＮＡＳＡ（笑）へ通報したのでした。その報告を受けて、ランガ−博士を尋ねたのはＮＡＳＡ（笑）の科学者、Ｊ，Ｒ　バンス博士（スティーブ・ブロディ）でありました。短い会見の結果、彼らはすぐに同じ結論に達します。この異常事態、外部から撃ちこまれた核ミサイルのせいではないのでしょうか。Ｂ-52が操縦不能になるくらいだから、勿論、リコプターなんて使えません。彼らはガイガーカウンターを持っ地上から調査を開始するのでした。

　翌朝、ようやく重い腰を上げて、裏庭を調べるダンとイブ。すっころんだイブが見たものはわあ、牛の生首だ。ホンモノだよう（笑）。他にも、半分に引きちぎられたのやら、内臓どばりと投げ出したのやらがごろりごろりと転がっているのです。これ、全部、ホンモノだよう（笑）。イブは「大損害だわ」と嘆くのですがダンは「肉にしてうりゃいいじゃないか」と涼しい顔。「そんな、毒でも入っていたらどうすんのよ」「知るか、俺が食うわけじゃねーもん」彼らはこんな愉快な会話を交わしながら、さらに裏庭を探索します。ついに謎の穴とまわりにごろごろ転がっている謎の石を発見する二人。「なんだ、これは」と首を捻りながらも数個の石を持ち帰るのでした。

　家に帰って石を割ってみると、あ、中から出てきたのはダイヤモンドではありませんか。顔を輝かせる、二人。実はこの時、同時にタランチュラも石の中から出てきたのですが、粗忽なこいつらは気づかねえんです。「お金持ちになれるわね、私たち上手くいってなかったけど、これで大丈夫ね」ダン、そんなイブに「お前なんか関係ないね、金持ちになれりゃいいのさ」という愛情溢れる言葉を吐き捨てます。ショックを受けたイブ、また酒をがぶがぶ・・・。一方、ダンはまた裏庭で石を集め始めたのですが、偶然、あのバイク男の死体を見つけてしまいます。辺りを見回して、死体をとっとと埋めてしまうダン（笑）。「死体なんてあったら、警察来ちゃうだろ、石独り占めにできねーじゃん」というわけなんですな。

　酒をがぶ飲みした挙句、ベッドに入ろうとするイブ。きゃー、蜘蛛だわ、ひいひい言わされますな。なんか叩くもの、叩くものとタンスの引き出し開けたら、猫くらいの大きさの蜘蛛がびょっ。ぎゃっと叫んで寝室を飛び出したイブを襲ったのは、巨大な蜘蛛の足でありました。家にのしかかった巨大蜘蛛、情け容赦なく、イブをばりがりばりり。この間、ダンは何をやっているのかというと、また浮気相手のところに行ってすこぱこやっているわけであります。

　朝帰りのダン、イブがいないのに気づいたのにも関わらず、まったく探す気なし。それどころか、ダイヤをちらつかせて、テムをくどきはじめるんですなー。女はヒカリモノに弱いと確信した彼はいとこのビリー・ケスター（ポール・ベンツェン）の宝石店に行って、ダイヤの鑑定を依頼します。「どこで見つけたんだ、これ」と驚くビリー。ますます気を良くしたダンはさらに石を取りに出かけますが、あっさりと巨大蜘蛛に食われてしまいました。それはいいのだけど、蜘蛛、何故か尻から人を食いよるんですなー。

　さて、ダンの家を訪れたビリー・ケスター、いきなりパンツ一丁で出てきたシャワーあがりのテムを見てぎょっ。使い込んで薄くなっちゃって、知らず知らず勝負パンツになってしまったみたいなパンツはいたテムはバスタオルで胸を隠し、宝石商であるビリーにダンから貰ったダイヤモンドを見せるのでした。ずるそうな顔をしたビリー、「うーん、これ、ニセモノだよ（ホンモノだけど）、五ドルだね」しかし、ビリー、テムを好色そうな目でみて、「場合によっちゃ、40ドルだすがね」どうして、こうみんな、スケベなんだ（笑）。怒ったテム、ビリーを追い出しますが、その直後、あの巨大蜘蛛に襲われるのでした。

　ケスター家の電話が繋がらないことを心配したデビーが車で駆けつけてみると、ケスターの家はもうめちゃくちゃ、デビーはよたよたと逃げていく巨大蜘蛛を見つけて、ライフル攻撃を浴びせます。ずがーん、ずがーん。一方近くでガイガーカウンター片手に調査をしていたランガ−博士とバンス博士は銃声を聞きつけ、駆け出しますが、突然、目の前に巨大蜘蛛が現れたので仰天。ごろりごろりと丘を転がり落ちます（笑）。一方、デビーはケスター家の瓦礫のしたからテムを救い出し、病院に運びこのでした。

　ついに巨大蜘蛛を目撃した科学者チームはある結論に達するのでありました。グレーソン郊外に落下した隕石、あれはマイクロブラックホールだったのだ。そのブラックホールが他の次元に続く穴を開けてしまい、異次元のモンスター蜘蛛軍団を呼び込んでしまったのです。あの穴を塞ぐには中性子爆弾を使うほかない！バンス博士はＮＡＳＡ（笑）に爆弾の手配を依頼します。

　ここからは、ずーっと蜘蛛おお暴れですわ。この巨大蜘蛛、フォルクスワーゲンに張りぼて乗っけて走らせたというひどいもの。振動で、足がぶらぶらするから、蜘蛛が自分の力で移動しているように見えるだろう、いや、見えるにちがいないとスタッフ達が自分で自分を必死に納得させたに違いありませんな。頼りない保安官に切れて自警団を結成する地元の皆さん、田舎のお祭に殴りこむ、巨大蜘蛛、ＡＤさんのキューで楽しそうに逃げ回るエキストラの皆さん、こういうのを見ているからオタクとは付き合えないとかって言われるんだ。

　さて、ついにＮＡＳＡ（笑）から中性子爆弾が到着。バンス博士は爆弾をヘリコプターに積み込んで、パイロットに例の穴に投下するよう指示します。勇躍舞い上がる、ヘリコプター。その下では保安官がピストルで巨大蜘蛛と渡り合っている！ズガ−ン、ズガ−ン、それ、死ね、巨大蜘蛛め、ピストルを喰らえ、この野郎、弾切れですわ（笑）。哀れ、保安官も巨大蜘蛛の餌食になります。

　そして、ヘリコプターから投下される中性子爆弾。ちゅどちゅどちゅどどーん。よくしたもので、穴が中性子爆弾で破壊されると同時に、巨大蜘蛛はぶくぶくと泡をたてながら、溶け崩れてしまいました。他のミニタランチュラ軍団も壊滅して、めでたし、めでたし。ランガ−博士とバンス博士はその光景を見つめながら、「こんなことがまた起こるのかしら」「それは誰にも分からない・・・」と無責任なことを言うのでありました。エンドマーク。

　本当にしょーもない映画ですけど、ダン一家のホワイトトラッシュ振りは監督に実体験でもあるのか、妙なリアリティがあります。蜘蛛はそりゃ、張りぼてだけど、逃げ回るエキストラの皆さんが実に楽しそうで、ちょっと羨ましくなってしまいました。

　カラー・スタンダード収録。モノラル音声。画質はカラーなれど、色味に乏しく、20年前のテレビで映画を見ているよう。全面くらいシーンだと、本当に何をやっているのか分かりません。音質は聞き取りやすいですけど、それがどうしたといいたくなるのも事実です。ヴェンチュラ・ディストリビューションのＤＶＤ。

Release Information:
Studio: Ventura Distribution
Theatrical Release Date: January 1, 1975
DVD Release Date: April 23, 2002
Run Time: 84 minutes

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