Giant from the Unknown (1958)

DVD Release Date: 8/14/2002


　『Giant From the Unknown』、えー、カリフォル二アの抜けるような青空に一番似合わないものは何？と聞いたら、たいていの人はスペイン人のコンキスタドールと答えるでしょう（答えん、答えん）、この『Giant From the Unknown』はそんなスペイン萌えの皆さんの期待に応えるべく、『月へのミサイル』のリチャード・E・カンナ監督が1958年に作った映画です。

　北カリフォルニアの田舎町　パインリッジ、最近この町の周辺で奇怪な事件が頻発していました。町の中心部にわいわい集まった住人たちの話によると、「牛がばらばら」にされたり「羊が消えてしまった」りしているのだそうです。そこに現れたのがパーカー保安官（ボブ・スティール）。彼の車の荷台には・・・。どれどれと被さっていたシートの中を覗いた住人、顔色を変えて「おぇー」それはずたずたにされた人間の死体だったのです。「フェアバンクスだ」と苦々しげに告げる保安官。住人たちは騒然となるのでした。「はっはっは、これは呪いさ、我が種族の聖なる墓地を荒らしたお前ら白人に祖先の魂が復讐にあらわれたのだ」とんでもないことを言い出したのはインディアンのジョー、こんな映画ですから「キチガイジョー」と呼ばれております。

　さて次に登場したのはこの映画の主人公。アマチュア考古学者のウェイン・ブルックス（エドワード・ケイマー）。彼は調査旅行から戻ってきたのであります。彼は殺されたフェアバンクスとの間にトラブル抱えていたのでたちまち保安官に疑われますな。保安官「いいか、この町を離れるんじゃないぞ」とウェインを脅かします。やれやれとため息をつく、ウェイン。次の瞬間、彼の目はきらきらと輝きだしました。なんと、ジープに乗った若い女性が町にやってきたではありませんか。父親らしき老人が横に座っていますが、そんなの知ったこっちゃありません。ウェイン、早速女性の荷物を持ってあげたりして、どうです、こんな親切な男、見たことないでしょうとアピール。いや実際、こんなこと喋っているわけじゃありませんけども。

　ようやく老人と言葉を交わしたウェイン。老人が考古学者のクレイランド教授（モリス・アンクラム）と聞いてびっくり。「僕はあなたの教え子なんですよ」とたちまち意気投合します。あの若い女性が彼の娘のジャネット（サリー・フレーザー）であることを知ったウェインはなんだかよく分からないけど、心の中で「もろた！」とガッツポーズですわ。クレイランド教授、実は500年以上も前にカリフォルニアに探検のためにやってきてインディアンに殺されたというコンキスタドール、巨大なるヴァルガスの伝説を実証しようとしていたのであります。「え、僕、インディアンの発掘品、いっぱい持ってますよ、お二人で見にきませんか」というウェイン。なんという都合のいい展開なのでしょうか。

　ステーキハウスでの夕食後、ウェインの施設博物館を訪れたクレイランド教授とジャネット。教授はインディアンの古い壷などに夢中なのですが、ジャネットの目を捉えたのはテーブルの上にわざとらしく置いてある木箱。開けてみたジャネットはきゃっと叫びます。中にいたのは小さな砂トカゲでありました。「あー、それはですね」と得意そうなウェイン。「もう絶滅した種の蜥蜴なんですよ。僕はこれを岩の中で見つけたんです。岩の中に閉じ込められていたので、今まで生き延びていたんですよ」ここは伏線でございますから、忘れないように。決して「どんな理屈やねん！」と怒ってはいけません。

　ヴァルガス捜索行に手伝いを申し出るウェイン。そして、翌朝、彼らはデヴィルズ・クレイグと呼ばれる地域へ出かけるのでありました。保安官が後を追ってきて、ウェインに「お前､町はなれるなっていったじゃないか」とイヤミを言う一幕があったりしたものの、まあ、なんとか、ヴァルガスの痕跡を追う調査が始まったわけであります。金属探知機を抱えて周囲を調べるウェインと教授。何にも見つかりません。いい加減飽きて、もう帰ろうと言い出すジャネット。教授もしぶしぶながら娘に同意して、明日帰ろうということになってしまいます。あー残念ですなとコーヒーを啜るウェインと教授。その間、私にも金属探知機使わせてとジャネットはふらふらと森の中に入っていくのでありました。

　心配してジャネットを探しに来たウェイン。彼女を見つけてさあ、キャンプに戻ろうということになります。その時、ジャネットが落っことしたコンパクトを拾おうとして金属探知機を地面に置いたら、びーびーびー。急いで教授を呼び、掘ってみると出るわ、出るわ、コンキスタドールの甲冑や剣、メダルなどがぞろぞろ、しまいには骸骨まで出てきてジャネットに悲鳴を上げさせるのでした。しかし、教授が探していた、ヴァルガス、巨大な体躯を持ち、悪魔と呼ばれていたコンキスタドールの証拠品はなし。しかし、皆はこの発見に勇気をづけられて、さらに調査が続けられることになりました。また調査、あった、ウェインは地面から突き出ている斧を発見します。なんだ、このでっかい斧は。彼はその斧を掘り起し始めますが、折悪しく嵐が近づいていたのでついに断念、発掘は翌日に延ばされることになりました。彼がキャンプに戻っていった後で雷がぴかっ。地面がぐぐっと持ち上げられて現れたのがヴァルガス・ザ・コンキスタドール（バディ・ベア）。でも単なるでっかいおっさんなのでぜんぜん怖くありません（笑）。

　その夜湖のほとりで、仲良く話すジャネットとウェイン。ウェインは「僕もそろそろ、山から帰ってきたら待っていてくれる人が欲しいなあ」あ、この野郎、遠まわしにプロポーズしてやがる。あとはお定まりのぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。二人が寝たあと、ヴァルガスはキャンプの周りをうろつき、教授たちがなぜか野外に置いていた甲冑を盗んでいきます。そして、ヴァルガスは町の住人、アン（ジョリーン・ブランド）が井戸へ水汲みにきたところを襲って、惨殺。ギャー。

　甲冑がなくなったことに気づいて戦慄する教授たち。地面にはでっかい足跡、「こりゃわしの靴の二倍はあるぞ」と教授を驚かせたほど大きい、があったりして、いよいよ困惑します。ここで侃侃諤諤あって、ついに三人は伝説のヴァルガスがあの蜥蜴のように生きていて再び現れたのだという結論に達するのでした。そんなことにお構いなしにいきなりやってきた保安官、ウェインをアン殺しの犯人として逮捕してしまいます。「これが証拠だ」と発掘されたメダルを見せる保安官。うーむ、こんなメダルを女殺すのにわざわざ持っていきますかね。この観客誰もが思ってたであろう疑問も保安官の頭には浮かばなかったのでしょうな。保安官はがちゃりと手錠をウェインにかけてパトカーで連行します。ウェインの無実を証明するために、周囲の調査を開始する教授とジャネット。あっ、石膏で足跡の型を取っていた教授がいなくなってしまいました。半狂乱になって探すジャネット。彼女は倒れている教授を発見するのですが、突如現れたヴァルガスに攫われてしまいました。意識を取り戻した教授は助けを求めるべく、ジープで町へ急行します。

　保安官は自警団を作ろうとしている地元住民を説得するためにウェインを残してパトカーを降りるのでした。そこに教授の車が走りこんできて「大変だ、ジャネットが攫われてしまった！」ウェインは「そりゃ大変だ」と教授をパトカーに引っ張り込むなり、エンジンを掛けて逃走。びっくりして追っかけてくる保安官たち。「あいつだ、あいつこそ犯人だ」ぱぁん、ぱぁん、拳銃を乱射する考え無しの保安官（笑）。

　キャンプに到着してすぐにジャネットを探しにいくウェイン。教授は残って保安官にことの次第を説明することになります。この説明をあっさり信じちゃう保安官（笑）。ウェインはヴァルガスに遭遇し、なんとかジャネットを助け出すことに成功します。

　人質がいなくなったのであとはやりたい放題。ヴァルガスを追い詰め、拳銃・ライフルでがんがん撃っちゃう（笑）。でもヴァルガス甲冑着込んでいるからなかなか死なないんです。逆に石を投げつけてきたので、地元住民が二人死傷してしまいました。これはまずい、明るくなるのを待とうということで一端退却する保安官、ウェイン達。キャンプで夜明けを待つ間、ヴァルガスに殺されたアンの恋人チャーリーが功を焦って単独行動に出てしまいます。彼はウェインに「これは男の仕事だ、子供の出る幕はないよ」と言われてむかついていたのでありますな。彼は見張りに残していたビルが死んでいるのをみつけてぎょっ。うわおとヴァルガスが現れてとても口に出せないほど、酷い目に合わされてしまうのでありました。

　チャーリーがいないことに気づいたウェインと保安官は彼を追って山の中へ。とても酷い目に合わされて横たわっているチャーリーの口からヴァルガスは水車小屋の方へ行ったことを聞き出します。ウェインは保安官にチャーリーを託し、水車小屋へ向かうのでした。そして、またうわおと現れたヴァルガスと水車小屋の中で戦います。手近の棒切れでがっつんがっつんヴァルガスを殴りつけるウェイン。そして、水車小屋を飛び出して、これまたわざとらしく滝の上の通路に行っちゃうウェインとヴァルガス、なんで、そんなとこ行くねんな！おっと、滝はもちろん合成ですわ。なおも、ヴァルガスをがっつんがっつん。ヴァルガスたまらず柵を破って滝の中へ落ちてしまいます。おっと、もちろん、下手な合成ですわ。ロングショットになると、ヴァルガスに突き破られたはずの柵がもとに戻っているのに笑わされます。ウェイン、駆けつけたジャネットとぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。エンドクレジット。

　この映画どうみてもヴァルガスが途中で甦ったようにしか見えないのですが、ならば、冒頭で殺された人や家畜はどういうことだったんだ。ヴァルガス生き返って人や家畜を殺したあと、また漫然と土の中に潜り込んだとでもいうのでしょうか。冬眠しようってんじゃないんだから。それにあんな浅いところに埋まっていたんじゃ、せっかく張った蜥蜴の伏線も意味がないってぇの。

　モノクロ・スタンダード・モノラル。画質は素晴らしいクォリティ。フィルム傷が極少で、スムースなモノクロ画像を楽しめます。音声はちょっと歪んでいますが、まず聞き取りに苦労することはないでしょう。イメージエンタティメントのDVD。

　Director: Richard E. Cunha
　Format: Black & White
　Rated: Unrated
　Studio: Image Entertainment
　DVD Release Date: August 14, 2002

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