Rocky Jones Space Ranger Gypsy Moon ジプシー・ムーン 1954
『宇宙レンジャー ロッキー・ジョーンズ ジプシームーン』（Rocky Jones
Space Ranger:Gypsy Moon (1954) ）は『月に向かって撃て』の前編的エピソード。あの雷の国から雷を広めにやってきたようなカッコのプーシーダー人がはじめて登場するのです。ああ、楽しみ、楽しみ。
のっけから激しい雷雨の中を進む宇宙船ＸＰ-2。ロッキー・ジョーンズ（リチャード・クレーン）とその仲間達、相棒のパイロット ウィンキー（スコッティ・ベケット）、科学者のニュートン博士（モーリス・カス）、紅一点のヴェナ・レイ（サリー・マンスフィールド）、なんでお前が宇宙船乗ってんねんと言いたくなる10歳のガキ、ボビー（ロバート・ライデン）は、大気の回廊によって繋がれた双子星を発見したのです。「大気の回廊ですって、教授そんなことがありえるのですか」とロッキー・ジョーンズ。教授は「なんてことだ、まあ驚いた」これ、教授の口癖ね。「うん、十分にありえる事だ、あれをアトモスフィアチェーンと呼ぶことにしよう」さらにこの双子星、宇宙をさまよっているという設定でややこしいことこのうえない。そのために後にこの双子星の一つ、プーシーダーが惑星オフィシアスに激突、両星とともに消滅することになるのですが、これはまったく別のお話。ロッキー・ジョーンズたちはこの不思議な星に向かって降下を開始します。
この間、ヴェナとボビーはお勉強。「はい、数学はこれで終わりよ。次は国語、この本を読みなさい」とヴェナが差し出したのが、ホメロスの「オデッセイア」、ボビーは、「えー、なんでこんな何千年も前の本を読まなきゃならないのさ、それに、これ詩だよ、詩、今時詩なんか読んじゃいられないよ」どこまでクソ生意気なガキなんでしょうか、こいつは。しかし、ボビー、ロッキー・ジョーンズに諭されてしぶしぶ「オデッセイア」を読み始めます。これが後の伏線になっているという・・・。
さて、順調に降下を続けるＸＰ-2ですが、突如彼らの行く手の現れたのが大気圏飛行用のエアシップ。ロッキー・ジョーンズは連絡を試みたのですがなんとしたことかエアシップはいきなりミサイル攻撃をしかけて来たのです。ちゅどーん、ずどどどーん、「ジョーンズ、反撃しましょう、ギタギタのメッタンタンにしてやりましょう」と叫ぶウィンキー。しかしジョーンズは彼を抑えてフルパワーで上昇。アトモスフィアチェーンから脱出します。「そうか」と膝を打ったのはニュートン教授、「あのエアシップは大気圏飛行用だからアトモスフィアチェーンから出られないんだ！」
このエアシップというのが双胴式で結構カッコいいデザインだったりします。
一応の危地を脱したジョーンズ達は再度降下を開始。そして宇宙チャンネルをオープン、プーシーダーに向かって次のように呼びかけるのでした。「こちらはロッキー・ジョーンズ、世界連邦のレンジャーだ。我々の言葉は分からないかもしれないが、我々の平和の精神は伝わっていると思う」伝わらねーっての（笑）。その証拠に、プーシーダー人、大型の磁力放射線装置を使ってＸＰ-2を捕らえ強引に引きおろし始めたのです。うわあ、やばいと焦るジョーンズ達しかし、どうにもなりません。
この攻撃を指揮していたのがプーシーダーの王様、ボヴァロ（ジョン・バナー）。彼は機械を操りながら「ゲツヨウビハウンジャラゲ、カヨウビハハンジャラゲ」とプーシーダー語で喋っているので良く分かりませんがジョーンズの宇宙船を捕らえることができて大変うれしそう。しかし、彼の奥さん、コタンダ（エリカ・ノーデン）はこの攻撃に反対らしく「スイヨウビハスイスイスイ、モクヨウビハモーリモリ」とプーシーダー語で喋っているので良く分かりませんが、おそらく「アータ、そんな乱暴なことはやめなさい！」とでも怒っているのでありましょう。その奥さんのケンマクに驚いたボヴァロが装置のスィッチを切ったので宇宙船ＸＰ-2危ういところで着陸に成功します。
ロッキー・ジョーンズはどやどやと宇宙船に乗り込んできたボヴァロ・コタンダとその部下たちと翻訳機を使って話しあうことになりました。翻訳機をみたボヴァロはプーシーダー語で「ミコシニュウドウミコシタ」これが翻訳されると、「なんてことだ、まあ驚いた」となる訳。ヴェナは「まあ教授と同じこと言っているわ」とくすくす。これから両者のコミュニケーションは順調に進み、次のようなことが分かります。ボヴァロとコタンダの名前、またこの星はプーシーダーといって双子星のナガ−トゥと長らく戦争状態にあること。ボヴァロは定石通り、ジョーンズにナガ−トゥ攻撃を強要、ロッキー・ジョーンズが拒否するとヒドイことにヴェナを人質として攫っていってしまうのでありました。
プーシーダー人の都市、彼らは城塞と呼んでいるのですが、その壁は非常に堅固。ヴェナ救出のために、ミサイルを三発打ち込んだのですがまったく効果がありません。ジョーンズたち、困ってしまうのですが、そこにしゃしゃり出てきたのがボビー、「ねえねえ、「オデッセイア」に出てきたんだけどさ、トロイの木馬を使ったらどうかしら」ジョーンズ、ぱっと顔を明るくして、「そうかこの宇宙船をトロイの木馬にするんだな」どういうことかと申しますと、最初にジョーンズ達、隠れます。監視していたプーシーダー人は彼らが逃げてしまったと思い、先ほどの磁力放射線装置を使って宇宙船を城塞に収容してしまうのです。船内に踏み込んできたプーシーダー人たちは隠れ場所から出てきたジョーンズ達にあっさりとノックアウトされてしまいます。彼らの服を奪ったジョーンズとウィンキー、城塞に侵入してまんまとヴェナを奪還するのでありました。
その頃、宇宙ステーションＯＷ9を中継して世界連邦のドレイク長官（チャ−ルス・メディス）の悲痛な「ロッキー・ジョーンズ行方不明、わしゃ悲しいよ」声明が流されます。ロッキー・ジョーンズも連絡くらい入れとけばいいのですが、この世界ではあんまり遠くへ行くと通信が届かなくなるのであります。超光速通信とかどうなっているのかしらん。この放送で悲しみに暮れる宇宙の人々、しかし、ロッキー・ジョーンズの宿敵惑星オフィシアスの女王クレオランタ（パッツィー・パーソンズ）だけはにやにや。腹心のアトラサン（ハリー・ローター）相手に「ほっほっほ、ロッキー・ジョーンズめ、良い気味じゃわ、ほっほっほ」なんてやっているのです。
さて、ボヴァロと再び話し合うこととなったロッキー・ジョーンズ、宇宙船の修理のための資材を要求するのですが、ボヴァロの答えはやっぱり、「ナガ−トゥの奴らをぶっ殺せ！」ジョーンズがいくらナガ−トゥとの平和を橋渡ししてやるからといっても聞き入れないのです。そこへまたまた現れたエアシップ、今度のはどうやらナガ−トゥのものらしい。このエアシップ、奇妙なことに音楽のようなものを大音量で流しています。ボヴァロ、いきなり船の操縦席に飛びつき、ミサイルを発射、そのナガ−トゥのエアシップを撃墜してしまうのでした。ここでようやく明らかにされるナガ−トゥとの戦争の理由、ナガ−トゥのあの奇妙な音楽はプーシーダー人を催眠状態にする効果があったのです。ボヴァロはこのためにプーシーダー人がナガ−トゥの奴隷にされてしまうと恐れていたのでした。
ついでに数千年前、もともとプーシーダーとナガ−トゥは一つの惑星であり、地殻変動だか火山活動だかで二つに割れてしまったということも語られます。「そうか、だからアトモスフィアチェーンができたのだ！」と叫ぶニュートン教授、そ、そうかあ（笑）。とにかく、この二つの種族の祖先は同じ、だったら戦争などすることはないってんで、ロッキー・ジョーンズがナガ−トゥへ行くことになりました。ここであのボビーがまた「あのナガ−トゥの音楽は「オデッセイア」に出てくるユリシーズと同じだよ。だから僕達も耳栓をしなくちゃ」まあ、なんてどうでもいいことを得意げにいうガキだろう！まあ、このアドヴァイスが役に立ってジョーンズたちはナガ−トゥの王、エバックを捕らえることができたのですから、尚更腹がたつ（笑）。
ナガ−トゥの人たち、さすがプーシーダーと祖先を同じくするだけあってやっぱりこの人たちも、雷の国から雷広めにきたようなカッコをしています。
エバックとボヴァロが直接話し合ったことで長年の誤解が解けて両星は平和への道を歩むことになります。ここで、双子星のエピソードは目出度し、目出度しで終わり。しかし、今だクレオランタが残っていますな。彼女は録音技術を駆使して、ロッキー・ジョーンズそっくりの声を合成することに成功したのです。これで世界連邦のドレイク長官をおびき出して、捕らえてしまおうというのです。彼女は腹心のアトラサン相手に「ほっほっほ、これでわらわが世界連邦を自由に操ってくれる、ほっほっほ」直ちに宇宙船で出発。そして計画どおり、宇宙ステーションＯＷ9にロッキー・ジョーンズの偽通信を送ります。「こちら、ロッキー・ジョーンズ、惑星サイガダから帰還します。みんな元気です。心配かけてすみません」これを聞いた長官は「ロッキー・ジョーンズが生きていた」と喜びのあまりころりと騙され、惑星アンカーポールでジョーンズと落ち合うことにしてしまいます。
この通信を偶然に聞いてしまった帰還途中のロッキー・ジョーンズ一行、「ええ、惑星サイガダだって、俺たちそんなところに行っていないぞ」と呟くウィンキー。ロッキー・ジョーンズは「これは罠だ、こんなことをする奴といえば、そうだ、クレオランタしかいない！」ってすぐ分かっちゃう（笑）。直ちにこちらから通信を送ろうとするのですが、あいにく送信可能宙域に達していません。こりゃ、いけない、ロッキー・ジョーンズはパワーを振り絞ってアンカーポールへ急ぐのでした。ところが隕石が宇宙船に激突、隕石にじゃあじゃあ水をかけて引き剥がし（本当です）なんとか船体の修理はできたのですが、更に遅れをとることになってしまいます。
一方惑星アンカーポールに近づいたドレイク長官、アンカーポールの司令官ヴォルガに連絡を入れます。「ロッキー・ジョーンズはどうしていますか」「もう数週間まえに到着して長官のおいでを待ってますよ」ヴォルガは通信を終えてからロッキー・ジョーンズの部屋へ行き、ドアをノックってどうでもいいけど、恒星間飛行が可能な時代にドアをとんとんやることもないと思うのですが（笑）。出てきたのは思った通りクレオランタ、でも、アッハッハ、クレオランタ、ヴェナのコスプレしとる！すんごいミニスカートや、なんだか軽薄な女王様だなあ。当然ながらロッキー・ジョーンズに扮しているのがアトラサンで、しかし、長官こんなんで騙されるか。騙されます（笑）。長官あっさりと捕まって催眠装置にかけられてしまうのでした。「あなたは眠くなる、あなたは眠くなる・・・」だから恒星間飛行ができる未来のはずなのですがねえ。
ようやくロッキー・ジョーンズが到着。彼らはアンカーポールの人々、妙にエジプト風なのですが、の扮装をして、長官の所在を探るのであります。そして、長官が捕らえられている部屋へ忍び込んだロッキー・ジョーンズ、クレオランタの前にしゅたっと現れて「いつまでもお前の好きにはさせん、正義は必ず勝つ！」とやっつけてしまったのでありました。
地球へ帰還するべくロッキー・ジョーンズの宇宙船が飛び立ったところでエンドマーク。
いやあ、素直に面白いなあ。私はやっぱりこういうノスタルジックな宇宙活劇映画が好きなんだなあ。
モノクロ・スタンダード、モノラル音声。画質最悪。画面下部に歪みがあってとてもみづらいです。音声もひずんでいて、実に聞き取りずらい。うーん、もうちょっと頑張ってDVDにしてくれと思うのです。アルファビデオのDVD。
ＳＦシネクラシックスへ戻る