Horrors of Spider Island (1963)

　『Horrors of Spider Island 』（1960年）は半裸の八人のおねえちゃんと蜘蛛男が登場する、西ドイツ製作のセックスプロイテ−ション映画。これがアメリカに輸入されて公開された訳なんですが、エロで稼げた時代には『IT`S HOT IN PARADISE』というタイトルで怪物が出ることを隠して宣伝され、怪物が受けるとなれば、『 Horrors of Spider Island』と改題して、蜘蛛男でまっせと宣伝したという、まさにエクスプロイテ−ション映画の極めつけとでもいうべき作品です。

　ニューヨークのあるオフィス。そこでは沢山の安い女達を集めてシンガポールダンスツアーの為のオーディションが行われております。次々と別室に呼ばれて、プロデューサーのゲーリー（アレクサンダー・ディアーシー）の前でダンスを披露する女たち。「私はバレエをやってます」といきなりバレエを躍り出す女（笑）、ゲーリーは秘書のジョージアに合図を送ってはい、不合格。「私はストリッパーです」といきなり服を脱ぎだす女（笑）。ゲーリーは秘書のジョージアに合図を送ってはい合格。嬉しそうに下着姿のまま部屋を出て行くストリッパー、服着ろよ、服。

　こうして集められた7人の女とゲーリー、ジョージアは旅客機でニューヨークを飛び立つのでした。が、しかし、「二番エンジンに火ぃつきよった、落ちるねんて、落ちるねんて、え、位置、そんなもんしるかいや、わあ」という無電を最後に消息を絶ってしまいます。飛行機、何故か大戦中のＢ-24にすりかわって、火達磨になりながら、海へずぼん。みんな、絶対死にますな。

　ところがこれは映画ですから、みんな生きている。ボートで海を漂い、渇きのために半死半生となって太平洋の孤島に漂着。彼らは島にひっそりと建っている小屋を見つけて喚声を上げるのでした。きゃーきゃー言いながら、ドアをあけると、バーン、小屋の中には大きな蜘蛛の巣があって、そこに老人が引っ掛かって死んでいるという・・・。アハハハ、この役者さん、中腰で細いロープで作った（結び目まで見える！）につかまっとるわ。小屋に残されていた日記から、老人の名前はグリーン教授、この島でウラニウムを採掘するべく、調査していたらしいことが判明します。日記にあった、「何か大変なことが起っている」という記述に「きゃー、きゃー、私コワイわ！、きゃー、きゃー」騒ぐ女たち。うるさいよ、既にゲーリーもうんざり顔です。

　一行はとりあえずグリーン教授の遺体を埋葬して、小屋で暮らすことにななります。女たち、グリーン教授の遺品である服を取り合って喧嘩したり、暑くって寝苦しいわと服を脱いだりしますな。寝る時きゃ、小屋の周りで下着姿のままごろごろとマグロのように転がっているんだから、多分虫に刺され放題だと思います。ここで事件発生。ストリッパーのリンダ（ドナ・ウルスク）がゲーリーを誘惑するのです。ぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。それを見咎めたジョージア、「アタシの男に何すんのよ」とリンダに往復ビンタ。うんざりしたゲーリーは上半身裸で夜の散歩に出かけてしまいます。

　木陰で佇むゲーリー。そこに現れたのが、怪奇なる殺人蜘蛛、なんのタメもなくゲーリーに襲い掛かります。ゲーリーは首筋をがぶりとやられながらも、蜘蛛を地面に叩きつけ、もってきていたグリーン教授の遺品（またかい）のピストルでずがんずがん。蜘蛛は死にましたが、ゲーリーもまたばったり。ウメキながら起き上がると、すでに蜘蛛人間。早いなあ（笑）。不気味な鉤爪へと変化した自分の手を見て「アッ」と驚く芝居の空々しいことといったらありません。

　翌朝、帰ってこなかったゲーリーを探しに出かける女たち。今や、リーダー各のジョージアはてきぱきと捜索のダンドリを整えるとリンダに鬼のような顔で「あんたは小屋に残るのよ！」リンダ、予想通りに蜘蛛人間となったゲーリーに殺されます。悲鳴に驚いて戻ってきた女たちは川の水面に頭を突っ込んだまま死んでいるリンダに戦慄、これからどうなるのかしらと身を震わせるのでした。

　そうこうするうちに28日間経ってしまいます（笑）。グリーン教授の残した（こればっかりや）食料もあと三日分しかありません。近くをとおる船に狼煙で合図してみても全然気がついてくれないので「キー、キー､キー」女たちはさんざめくのであります。ここで、急展開、島にグリーン教授の助手、ジョー（テンプル・フォスター）とロブ（アレン・ターナー）がやってきたのです。ジョーが教授を迎えに行ったので後に残されたロブ、ウィスキーをがぶがぶやりますな。その彼の耳に飛び込んできたのは、珊瑚礁で泳ぐ女たちの喚声でありました。木陰から、にやにやと半裸の女たちを眺めるロブ。

　女たちの一人、グラディスが悲鳴上げて姿を消してしまいました！また殺されたのかしらと青くなってグラディスを探す女たち。実はグラディスはロブに攫われていたのです。そのロブに口説かれて抱きつくグラディス、イッヒ・リーベ・ディッヒだ（西ドイツだから）、ぶちゅぶちゅぶちゅちゅー、あ、キスしやがった。なんだ、こりゃ。一方、グラディスを探していたジョージア、暢気に歩いていたジョーを見つけて、銃で脅し、小屋に連れ込みます。「私たちの仲間をどうしたのよ」と聞くジョージア。ジョーは涼しい顔で「知らんよ、ぜんぜんしらん」ここで、にやっとして、「あれをみてみろよ」振り返った女たちが目にしたのは、いちゃつきながら歩いてくるグラディスとロブでありました。

　誤解が解けた女たち、ジョーが「後三日もすれば迎えの船がやってくるよ」といったので、大喜び。これでニューヨークに帰れるわ、嬉しいわ。その夜、二人の男を交えてさよならの大パーティが開かれたのでありました。ウィスキーをがんがんやって、みんなべろんべろん。どうでもいいけど、蜘蛛男、どうなったん。

　ゴーゴーを躍りまくるロブ・ジョー、そして女たち。グラディスに「二人っきりになれる場所へ行きましょう」と誘われたロブは「よし一時間後にどこそこあそこで待っていて」なんて言うのです。「他の人にばれないようにしなくちゃね」とグラディスは嬉しそうに応じるが、そんな二人だけいなくなれば、ばれちゃうのに決まってるじゃないか、バーカ、バーカ。
　
　ジョーはジョーでジョージアに真面目型と評されたアンと仲良くなります。ウィスキーをがぶがぶやりながら、熱心に語り合う二人。いいたかないけど、蜘蛛男、どうなったん？

　この間、ロブは女たちに代わる代わる口説かれてぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。それを見ていたグラディス、拗ねます（笑）。このことが原因となって、ジョーと殴り合いになるも、最後には仲直り。拗ねていたグラディスも実はロブが本当に好きなのはあなたなのよとジョージアに聞かされてにっこにこ。口にするのも馬鹿馬鹿しいけれど、蜘蛛男、どうなったん？

　グラディスとの待ち合わせ場所へ行ったロブ、ようやく出てきた蜘蛛男に殺されます。偲んできたグラディス、腰掛けているように見えたロブを揺さぶると、ごろりと転がるショックシーンがいいですな。そこに踊り出てきた蜘蛛男、グラディス悲鳴を上げて逃げ出します。グラディス、追っかけてきた蜘蛛男から逃れようと、崖をえっちらおっちら登ります。続けて崖を攀じ登る蜘蛛男、蜘蛛のくせに、グラディスと同じようによたよたと登るのに大笑い。悲鳴を聞いて駆けつけてきたみんなの前でグラディスは崖から落っこちて哀れ絶命するのでありました。

　ジョー、拳銃を撃とうとしますが、弾丸が入っていないのに気づいて愕然（笑）。「みんな、やつを追っかけろ、僕は小屋に弾を取りにいくから」お前なあ。ジョージアとともに小屋へ戻って弾丸を探すジョー。何故か、ここで蜘蛛男に襲われます。蜘蛛男、ジョージアの首をぎりりと締めあげますが、ジョーがつきつけた発煙筒の炎にワッとたじろぐのでありました。「よし、こいつは炎に弱いのだ」女たちに発煙筒を持たせて、蜘蛛男を追っかけさせるジョー。蜘蛛男、逃げ回ったあげく、流砂に嵌ってずぶずぶ沈んでいく、オソマツな一席でございました。

　ジョーとロブが登場してからがもう無駄に長くって長くって、死にそうにツマラナイです。当時のお客さんは女たちが半裸で踊るのをみて、「ほうほう、ほうほう」と唸ったのでしょうが、今となってはただタイクツなだけです。

　レターボックスのワイド収録。モノラル音声。画質はこのレーベルのものとしては最上級、音声も非常に聞き取り易くいい出来であります。お話はアレですから画質・音質くらいは良くしてもらわんと、買う方たまりませんわ。サムシング・ウィアードのＤＶＤ

Release Information:
Studio: Image Entertainment
Theatrical Release Date: 1963
DVD Release Date: August 14, 2002
Run Time: 76 minutes
Edition Details:
Black & White

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