I Eat Your Skin (1964)

DVD Release Date: 2/18/2003


　『I Eat Your Skin』（1964年製作）、安いゾンビものです。あのロメロの記念すべき『生きる屍の夜』 （1968年）の前ですから、登場するゾンビは死肉を喰らったりしません。ジャングルの中をうろうろするばかりであります。

　映画の始まりはカリブの謎の島、ヴ−ドゥアイランド（ストレートやなあ）で夜毎行われている原住民たちの怪奇なる踊り。カリブ女性が、たちまち服を脱いであまり美しくないビキニ姿、どんがどんがとタイコに合わせて踊りまくりますな。そして、生贄となるヤギ、めえええ、めえええ。

　場面、変わってここはフロリダ、ビーチホテルであります。プールサイドでビキニ女性を回りにはべらかして、猥談に夢中なのは本作の主人公、人気作家のトム・ハリス（ウィリアム・ジョイス）、「こうな、ベッドの中で、裸のええおなごはんがおいで、おいでというとるわけや、わても、性の肉弾三勇士言われた男や、のがすかいな、そんなもん、そいでな、わいは、50メートルも助走してわっと・・・」そこに現れたのは彼のエージェントであるダンカン・フェアチャイルド（ダン・スティープルトン）であります。彼は怒って「お、お前、なにしてんねんな、はよ仕事せんかい、このあほんだら！」トムはダンカンを気にすることなく、傍らの女性とぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。ここで、その女性の旦那がプールの向うから走ってきます。「こら、人の女房になにしとんのや、いてもうたるど」トムとダンカンは慌てて逃げ出すのでありました。なんちゅう、ショボイオープニングか。

　トムとダンカンは車に乗り込んで、空港に向かいます。「ダンカン、なんで、飛行機にのるねんな」「いやいや、ええ話を聞いたんよ。カリブの島でな、蛇の毒を使ってガンの特効薬を研究してはるエライ学者さんがおるのや、これ、次の本にぴったりやないかい。それで今から取材旅行に行くのや」「蛇、蛇ちうたら、あれか、シャーッいうて、噛んだりするやつか、あかん、わて、蛇はあかんのや、いかへんど、そんなキビの悪いとこ」「ほうか、でもなー、その島、男の数が少ないいうで、男の五倍、女がいるいうで」「へ、五倍、ほたら少なくとも五人おめこできるやないの、旅の恥はかきすて、生まれてくる子供、みーんなわてそっくりにしたろか、男子の本懐、ここに極まれりや！、こらダンカン、はよう案内せんかい」

　とりあえず、こんな騒ぎがあって、セスナに乗り込むのであります。この二人に同行するのは、見るからに頭がからっぽの巨乳美人、ダンカンの妻、カーロ（ベティ・ハイアット・リアトン）、パイロット兼召使のエンリコ。飛び上がるセスナですが、すぐにパイロットのエンリコが「旦那､弱りましたなー、雲でぼく、どこ飛んでいるかさっぱりわかりませんわー」頼りないの（笑）。そして、すぐに燃料もなくなって、眼下にようやく発見した島に不時着することになります。これが彼らの目指していたブードゥアイランドなのですから、都合のいいことに呆れます。

　トムは主人公なので、セスナにダンカン、カーロ、エンリコを残してジャングルを探検にでかけますな。とりあえず、ジャングルには蛇がうようよ。でも全部他の映画の流用フッテ−ジなので、蛇嫌いのトムも平気なのです。川に出たトムは突然現れたブロンド美女にどきーん。ブロンド美女、服を脱いで泳ぎ始めるのであります。「はあはあ、夢かうつつか幻か、あてのちんぽこもうぱんぱんですねん」と目をぎらつかせながら覗いているトム（笑）。と、その美女の背後に迫ってきたのは、どびーん、ゾンビでありますなあ。顔にドロ塗ったくって、目にタマゴの殻をはりつけたというスゴイ奴。前が見えないから足元探りながらそろそろ歩いてくるのであります。トム・たまらず「危ない」と叫びます。そして、美女を助けていっぺん位はやらしてもらおうと川に飛び込むのでありました。泳いで逃げるブロンド美女、よろよろ歩いているゾンビ、カメラの切りかえし方がまずいので、どう見たって、美女、トムから逃げています（笑）。

　美女、ゾンビの両方を見失ったトム、川から上がって、さらにジャングルの奥に分け入るのでありました。そこで出会ったのは現地の漁師、トムは彼に助けを求め、一緒にセスナへ戻ることになります。途中、どこから、ともなく聞こえてくる太鼓の音、トムが「あのタイコはなんだんねん」と漁師に聞くと「旦那、あれはヴ−ドゥの儀式ですわ、また今夜、生贄が捧げられるのですわ、おお、恐ろしい」漁師、スペイン語を喋りますのでここらへん、私の推測です。と、ここで二人を背後から襲う、蛮刀を持ったゾンビ。ゾンビ、蛮刀をぶんと振り回すと、漁師の首がすぽぽーん（笑）。次にトムに襲い掛かるゾンビですが、なにせ、前が良く見えませんからなあ、トム、あっさりと逃げちゃいます。

　ジャングルを夢中で逃げるトム。そんな彼が出会ったのは部下を数人引き連れ、ジープに乗ったやたら偉そうな白人チャールズ・ベントリー（ウォルター・コイ）、彼はこの島でプランテーションを営む、事実上の支配者だったのです。無線でトムたちの飛行機が不時着したことをしったベントリーが彼らを助けにきたのでした。トム達は、彼の屋敷に招かれることとなります。

　トムが漁師を殺したゾンビのことをベントリーに尋ねると、「ああ、あれはですな、やつらはこの島の植物の根っこをすりつぶして、アルコール代わりにつかっとりますのや、ところが、その根っこ、あんまり使いすぎると皮膚がただれるよってに、あんなカッコになってしまうのですわ、え、何、ブードゥーでっか、あー、この島のヴ−ドゥは太鼓たたいて踊るだけや、なんもしませんわ」この男、見るからに怪しいのであります。

　さて、しばし寛いだ後、夕食の時間。タキシードに着替えたトムは客間でピアノを弾いている娘を発見するのでした。「あ、あれは、昼間のおなごはんやないの」彼女の名前はジャニー・ベルドックス（へザー・ヒュ−イット）、なんと、この島で蛇の毒でガンの特効薬を作ろうとしているオーガスト・ベルドックス（ロバート・スタントン）の娘だったのです。島に来て以来ろくなことがなかったトム、紹介されたこの親子と話しながら、「こら、たまらん」と股間を押さえるのでありました。

　はい、それから楽しい夕食。ブードゥ教のことになると、口をつぐむ、ベントリーとベルドックス博士の態度がちと気になりますが、まずはなごやかでわきあいあいのムード。ダンカン・カーロの夫婦はエンリコにカクテル作らせてがぶがぶ。トムとジャニー、成り行きで二人っきりで散歩にでかけることになります。こういう場合、必ず、女はあなたの住んでいるところへいってみたいなどと言い出すもの。ジャニーも例外ではなく、話しているうちに良いムードとなって、ぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。突然現れるゾンビ軍団（笑）。ジャニーを攫わんとするゾンビ軍団に立ち向かうトム、二人はやっとの思いで屋敷に逃げ込むのでした。ジャニーをカーロに介抱させたトムはベントリーに「あんた、ヴ−ドゥはなんもせんいいはったやないですか、どないしてくれますのん」いきり立つ、トムにベントリーは島に伝わる伝説を聞かせるのでした。「この島にはブロンドの処女を生贄にすると、災害が防げるという言い伝えがあるのですわ。ひょっとしたら、ジャニーもそれで狙われたのかもしれませんなあ」

　これを聞いたトム、いてもたってもいられなくなって、ジャニーの寝室に忍び込みます。はっと目を覚まして驚くジャニー、「この島から出るのや、それしか、あんた、助かる方法はないで」「でもお父さまが・・・」躊躇うジャニー、しかし、彼女とて女、トムの甘い口調に乗せられてそのままベッドイン！直接的な台詞はありませんが、トム、こんなことを考えていたのに違いありません。「おめこすれば、もう処女やあらへん。生贄にはできんわ。ジャニーが捕まって生贄にされそうになる。でも、ワイが昨晩、二回してしもうたから、もう処女やあらへんよと叫んで、オチや、ちゃらちゃらっちゃちゃん、カン！と音楽なって映画が終わるで」お前は「みこすり半劇場」か！なんだ、オチって。

　翌朝、トムとジャニーは彼女の案内でベルドックス博士の研究室を目指します。途中、不気味な村にたどり着いた二人、小屋から、唸り声が聞こえてくるので、開けてびっくり。小屋の中にはゾンビがびっしり（笑）。あわてて、立ち去る二人の後から現れたヴ−ドゥのボコール（神官）、にたりと壮絶な笑みをもらすのでありました。ようやく研究室にたどり着いたトムとジャニ−、実は私ここに来るの初めてなのと怯えるジャニーを励まして地下への階段を下りていきます。そこで、二人がみたものは、ベルドックス博士が数人の助手と共に、コブラなどの毒蛇から、猛毒を採取しているところでありました。

　たまった毒をなにやら四角いカタチをした装置にセットする、ベルドックス博士。パチンとスイッチを入れるとたちまち装置が唸りだします。実はこれ、毒に放射線を当てる機械なのです。スイッチを入れると同時に、「DANGER」という文字が点滅する分かり易さに大笑い。なんやのん、それ。この様子をトムとジャニ−は大きな窓ガラスごしに見ているのに、気がつかないベルドックス博士も凄くヘンです。

　博士、装置を止めて出来た液体を持って隣室へ。そこに寝かされていた死体？に液体を注射します。するとどうでしょう、死体の顔が不気味に変化しはじめたではありませんか。ああ、こ、これはあのゾンビだ、ゾンビは博士によって作られていたのです。もとの部屋に戻った博士、ようやくトムとジャニーに気づいて仰天（笑）。ジャニーは涙ながらにこの島から逃げようと訴えるのですが、博士は聞き入れません。「これはわての責任や、わては逃げることなぞ出来ひんのや。お前はトムと逃げなはれ」トムは泣き叫ぶジャニーを抱きかかえて研究室を後にします。

　ダンカン・カーロ・エンリコと合流したトムとジャニー、砂浜に置いたままになっていた（笑）セスナで逃げようとします。が、追っ手のゾンビ・地元の皆さんの混成軍団がわっと現れますな。女二人はあっさり捕まり、セスナは「爆発物」と実に分かりやすく書かれた箱を持ったゾンビにエンリコもろとも爆破されてしまいました。ダンカン・トムは崖に追いつめられ、逃げ場を失って海へダイブ。

　さあ、ブードゥの生贄の儀式です。また、ボコールを中心とした地元の皆さんのたるい踊りがえんえんと続きます。そして、彼らを満足げに眺めている謎の男、レゲエ歌手のようなファンキーなカッコをしたその男の前には意識を失ったジャニーが寝かされております。大ピンチ！

　ところが、海へダイブしたトムとダンカンは、追っ手をやり過ごして船着場へ。ボートを見つけ、見張りを倒して上陸。そして、ベルドックス博士の研究室から、お面とマントを無断借用。地元の皆さんに変身して、踊りのなかに紛れ込んでいたのであります。謎の男が蛮刀を振り上げた！そして、ジャニーの首目掛けてすばっ。トムとダンカンはボートから盗んできた発煙弾を焚き火の中に放り込むのでした・・・、あ、あれ、これじゃ間に合わないよ。ここで、娘を案じて物陰から様子を伺っていたベルドックス博士がナイフを投げて、謎の男を倒さなきゃ、ジャニー、首と胴体泣き別れですがな。ごろんと転がる謎の男。サングラスが外れて現れた顔は定石どおり、ベントリーでありました。

　ダンカン・トムはジャニー、カーロを救出して、ベルドックス博士と一緒に逃げ出します。途中、実験室を経由して、あの船着場へ。ベルドックス博士は、実験室に残って例の放射線装置のスイッチをいれ、パワーを最大限に上げるのでありました。うぃんうぃんと不気味に唸りだす装置。首尾よくボートへ辿りついた一行。ボートのエンジンもなんとか掛かって、必死の逃走を図ります。そこへ乗り込んできた追っ手の二人。一人はダンカンに海へ叩き落とされますが、もう一人はベルドックス博士の背中をナイフでぐさっ！。トムは信号弾でそいつをやっつけるのですが、博士の傷は致命傷でした。苦しい息の中から「わ、わてな、ほんとうに、ガンの薬作るつもりやったんや、だけどな、実験したら、あんなゾンビができてん。ベントリーはあの薬で、死なない兵隊さん作ろうしてたんや」がくっ。息を引き取る博士。そのとたん、島が大爆発。あの放射線装置がオーバーロードしたのです。ぼかん、ぼかん、島で大爆発。あからさまな発泡スチロールの島がこなごなに吹き飛んでしまいました・・・。

　さて、場面かわって、最初にでてきたあのフロリダのビーチホテル。トムはまたまたビキニ美女をはべらせて猥談に夢中。「こうな、ベッドの中で、裸のええおなごはんがおいで、おいでというとるわけや、わても、性の肉弾三勇士言われた男や、のがすかいな、そんなもん、そいでな、わいは、50メートルも助走してわっと・・・」そこに険しい顔で現れたのがビキニのジャニー。ジャニーとトムはプールにじゃぼん、そして、シアワセそうに大笑いする二人のアップで映画は終わります。

　あの爆破された島、ゾンビに首を切られた漁師さんのほかにも普通の人たちいたんじゃないですかねえ。そんな、なんもかも構わずふっ飛ばしちゃうのはいくらなんでもヒドイ。

　モノクロ・スタンダード、モノラル音声。画質は最低。このDVD、到着時にクランプから外れてケースの中でがらがら動いていたので傷だらけになっていたのですが、全編ノイズでまくりで、どれが傷に起因するものか、分からないくらい。音質はそこそこ聞き易いのですが。アルファビデオのDVD。

　Encoding: Region 1
　Format: Black & White
　Rated: NR
　Studio: Gotham Distribution
　DVD Release Date: February 18, 2003

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