It Came From Outer Space (1953)
　　それは外宇宙からやって来た

　『IT CAME EROM OUTER SPACE』（1953年ユニバーサル　邦題『それは外宇宙からやってきた』）ブラッドベリの短編が原作と言われるこの映画、私は子供の時分に旅行先で見たことがあると思い込んでいたのですが、実はそれは1967年の『They Came from Beyond Space』であったことが最近判明しました。どうも子供の頃からのオタクですみません。あっ、あと、後者の『They Came from Beyond Space 』で主人公が事故で頭に鉄板を埋め込んでいたために、宇宙人のコントロールを免れるという設定が、スティーブン・キングの「トミーノッカーズ」に取り入れられたことは（私の頭の中だけで）つとに有名です。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　アリゾナの砂漠に住んでいる天文ライターのジョン・パットナム（リチャード・カールソン）、仕事もうまいこと行きはじめたし、あとはばんばんやでえとフィアンセのエレン・フィールズ（バーバラ・ラッシュ）に語り、僕達の、未来は星みたいに輝いているよと天文ライターらしい甘い言葉を囁いております。そんな二人は、いちゃいちゃしながら、庭に設置している望遠鏡を覗こうとするのですが、その時、夜空を切り裂いて、大音響とともに、エクセルシオ鉱山のそばに墜落する巨大な物体。隕石だ！と直感したパットナムは友人のヘリコプターパイロットを叩き起してエレンとともに調査に向かいます。

　この墜落した隕石、実は巨大な球形の宇宙船でありました。六角形のハッチがスライドして、露になる内部メカニズム。そして、しゅーっしゅーっと呼吸音がして、現れたのは一つ目の宇宙人。宇宙人はしゅーっしゅーっと呼吸しながら、宇宙船から出て辺りを歩き回ります。

　隕石の衝突による巨大なクレーターを覗き込む、ジョンとエレン。ジョンはエレンをヘリコプターパイロットに託すと単身、調査のためにクレーターの底に下りていくのでした。当然ながらジョンは先ほどの巨大球形宇宙船を目撃してぎょっ！エイリアンが這ったと思われる銀色の筋（なめくじかよ！塩をかけると溶けんのかよ！かたつむりの親戚かよ！）も発見して、これは外宇宙生命体の宇宙船に違いないと確信します。しかし、この直後、崩れだすクレーターの壁。宇宙船は雪崩落ちてくる岩石に埋められてしまいます。辛くも逃れたジョンは駆けつけてきたシェリフ、マット（チャールズ・ドレイク）に宇宙船のことを話しますが、とうぜんのごとく一笑に付されてしまうのでした。

　翌朝、駆けつけてきたレポーター達によって、ジョンの立場はさらに追い込まれます。新聞に、「天文ライター、火星人と遭遇」なんて揶揄した記事もでる始末。ジョンは以前取材で知り合ったスネール博士（ジョージ・エルダリッジ）に協力を求めようとしますが、あろうことか、博士にさえこれはただの隕石だと断定されてしまいます。困惑したジョンとエレンは車で町に戻ろうとしますが、そんな彼らの前にあの一つ目宇宙人が！てっきり車で引いたと思って慌てる二人でしたが、宇宙人の姿はどこにも見当たりません。「何者かが砂漠を彷徨っているんだ」と呟くジョン。

　その後、ジョンはたまたま電話線を修理していたジョージ（ラッセル・ジョンソン）とフランク（ジョー・ソイヤー）と出会い、砂漠で何かへんなことがあったら教えてくれろと頼みます。しかし、その直後、トラックを走らせていたジョージとフランクは一つ目宇宙人に襲われ意識を失ってしまいました。

　ジョンとエレンは先ほど別れたはずのジョージとフランクのトラックが道端に乗り捨てられているのを発見、ドアに血がついていたことから、何か起ったに違いないと周辺を捜索します。そんな二人の前に現れたのは失踪した筈のフランク。彼は奇妙に抑揚のない喋り方をして、砂漠の灼熱の太陽を瞬きせずに見つめたり、どこかヘン。さらにジョンは岩陰から伸びているジョージの片手を発見して震え上がり、彼は逃げるようにエレンを引っ張って車に乗り込むのでありました。

　ふと意識を取り戻すジョージ、彼は死んでなかったのです。そんな彼に近づくフランク。「怖がることはない、怖がることはない、何も危害は加えない」、ジョージはもうホンモノのフランクが意識を取り戻すのを見て愕然とします。「大丈夫、大丈夫、我々はキミ達の姿を借りているだけだ。我々にはそんな力があるのだ、怖がることはない」って怖いよ。

　ジョンとエレンは保安官事務所へ駆け込み、フランクとジョージのことを訴えます。保安官は半信半疑ながら、彼らの車に同乗して砂漠へ。しかし、案の定、現場にはジョージとフランクの姿がありません。それに彼らのトラックまで消えていました。保安官は呆れて、「いい加減にしろ、それにミス・フィールズ、あなたは小学校の教師なのに、こんなことで授業をサボってはいけませんぞ、校長が困っておりますぞ」と余計なことを言うのでした。

　失意のジョンは町を歩いているジョージとフランクを見つけて後を追います。そして、ジョンは二人の姿を借りた宇宙人から宇宙船の修理をするために一時的にここに留まっていること、その修理の時間を稼ぐために、人質をとっていることを聞かされるのでありました。

　ジョンの話をまったく信じていなかった保安官でしたが、この後、ジョージとフランクの親族が失踪だ、失踪だと騒ぎ出し、さらに町の電気部品屋が襲われたりしたのでついにに考えを改めます。取り合えず、ジョンを呼んで話をきくことに。ジョンが保安官と侃侃諤諤していたら、電話がリーン！その電話はジョン宛のもので、「エレンは預かった、返して欲しくば、一人で砂漠に来い」という内容。保安官に送ってもらって砂漠に赴いたジョンはエレンの姿を借りた（笑）エイリアンに彼らの隠れ家となっているエクセルシオ鉱山の入口まで連れて行かれて、「我々を邪魔するなと地球人たちに警告してほしい」と頼まれるのでした。ジョンは必死で「キミ達の本当の姿を見せてくれ」と叫びます。「キミ達がどんな姿をしていても驚きはしない」「そうか、本当にそうか？そこまでいうならほれ！」姿を現す一つ目宇宙人、ジョン、あまりのキミの悪さに思わずオエー（笑）。

　一応、この宇宙人、自分たちの異形が地球人を怯えさせないように気を使っているのですが、捕まえた地球人たちにはばんばん本当の姿を見せていたんですよね。あんがいその場の空気を読めないタイプなんじゃなかろうか。

　ジョンは保安官に宇宙人の話を伝えるが、保安官は納得しません。彼は町の若いもんに呼びかけて自警団を組織して道路を封鎖、たまたま町に買い物にやってきていた（笑）ジョージ＝宇宙人のトラックを銃撃して、ついには炎上させてしまいます。あわててエクセルシオ鉱山に駆けつけるジョン。彼は鉱山の奥深くに潜入しようとしますが、彼の行く手を阻むエレン＝宇宙人。「もうお前達地球人は信用できない」そういうなり、光線銃から殺人光線をびびびびー。ジョンはやむなくエレン＝宇宙人を射殺します。

　さらに鉱山の奥に入ったジョンは、必死に働いている宇宙人たちと遭遇。彼らのリーダーと向かいあうのでした。悪趣味なことに、ジョンの姿を借りたリーダーは人質の解放を頼むジョンに向かって「地球人の暴徒が押し寄せてこようとしているのに、そんなことができるか。もう少しで修理が完了したのに。こうなりゃやけだ、自爆してやる」エネルギー光線を宇宙船内部のメカニズムに向かって照射する宇宙人・リーダー。ジョンは必死に「人質さえ解放すれば地球人もキミ達のことを信用するから」と説得します。不承不承納得したリーダーは人質全員の解放を決意するのでした。ジョンはエレンを含む人質達を鉱山の外に連れ出すと、保安官たちが入れないよう、入口をダイナマイトで爆破します。

　そして、修理が完了した宇宙船がクレーターの底から飛び立つのを見たジョンは「今はまだ、彼らと遭遇すべきではなかったのだ、だが、何時かきっと分かり合える日が来るだろう」と独白。ここでエンドマークであります。

　冒頭の隕石落下でワイヤーが見えているのにがっくりしましたが、その後の特撮はなかなか良く今でも十分に鑑賞に耐える映画です。でも、わけのわからない宇宙人がアリゾナの砂漠をうろうろしている絵は少しショッパイですけどね。

　モノクロ・スタンダード。3チャンネル（ライト・センター・レフト）のステレオ音声。ＤＶＤとしてのクォリティは非常に優秀。画質、音質ともにいうことなし。メイキングやコメンタリーなどの特典も充実していて、お買い得な一枚ですよ。英語字幕つき。

ＳＦシネクラシックスへ戻る