Manhunt in Space 宇宙レンジャー ロッキー・ジョーンズ 宇宙海賊を追え！ 1956
『宇宙海賊を追え！』（『Manhunt in Space』）『宇宙レンジャー、ロッキー・ジョーンズ』シリーズの一本であります。着々と建設の進む太陽系最大の宇宙ステーション カーサ7、しかし、建設のための資材を運ぶ輸送船が次々と行方不明になったという・・・。さあ、急げ、ロッキー・ジョーンズ、この危機を救えるのは君だけだ！
大宇宙を進む輸送船CM-7、乗っているのはご存知ヴェナ・レイ（サリー・マンスフィールド）と宇宙レンジャーのレジ−（レイ・モンゴメリー）であります。彼らは地球連邦が建設中の太陽系最大の宇宙ステーションカーサ7へ資材を運んでいたのでした。ヴェナ、妙に楽しそう。実はカーサ7に彼女の兄、ポール（トム・ブラウン）が勤務しておりまして、ヴェナは三年ぶりに兄さんに会えると楽しみにしているのでした。ところが異常事態発生、CM7のすべての動力が停止してしまったのです。ロケットも働かず、地球へ通信することもできません。このまま宇宙の迷い子になってしまうのか、ヴェナ・レイとレジ−。
とここで、登場するのが休暇中のロッキー・ジョーンズ（リチャード・クレイン）とウィンキー（スコッティ・ベケット）。しかしふとした予感に捕らわれたロッキーはヴェナに連絡を取ろうとしますが、応答がありません。不安にかられたところで、はい、地球連邦長官ドレイク（チャ−ルス・メレディス）からの呼び出しです。「やれやれ これで休暇も終わりか」と読みさしの本を閉じるウィンキー、二人は長官のオフィスに急行するのでありました。
ドレイク長官、到着した二人に、カーサ7へ物資を運ぶための火星からの輸送船がこの一週間で三隻行方不明になっていることを説明します。ヴィナの輸送船CM7もその一隻であることを知らされてロッキーとウィンキーはびっくり仰天。さっそく、輸送船探索に出発することになりました。ロッキー・ジョーンズは船の準備をするためにウィンキーを残してニュートン教授（モーリス・カス）の天文台へ。「教授、今回の任務は極めて困難なものになるでしょう。ですから、役に立つような発明品があればお借りしたいのです」このいささか唐突なロッキーの申し出に教授は「いいの、あるよ！」と「TVタックル」で宇宙人の写真を見せる韮澤さんのような気軽さで答えます。「このコールドライトを持っていきなさい。しかし、使い方を誤まってはいかんぞ、非常に危険なことになるからな」また、ボビー（ロバート・ライデン）が例によって「僕も連れていってよ、ロッキー」はい、ボビーが仲間になりました。そして、勇躍飛び立つ、ロッキーの宇宙船XV-2。
一方、漂流状態のCM-7に怪しの船が接近してまいります。その船はCM-7に接舷するとエアロックを開き、乗り込んできたのであります。「あ、助けかな」とレジ−は喜びますが、あにはからんや乗り込んできたのは二人の宇宙海賊、マルコともう一人（可哀相に名前がない）でした。マルコは二人をスペースガンで脅しつけ、もう一人に「おい、物資をとっとと奪うんだ」そいつが倉庫に入ってみると、ああ、ダンボールの箱が山積みだ（笑）。蓋がガムテープで止めてあるし、宅急便じゃないんだから。もう一人はせっせとそのダンボールを自分達の宇宙船に積み替えるのでした。しかし、ここでヴェナが反撃、隙をみてソーダ−水をマルコの顔にぷしゅー（笑）。うわああ、顔面をかきむしるマルコからレジ−がスペースガンを奪います。そして、二人で倉庫に通じるドアの前に紐を張って慌てて飛び出てきたもう一人をすってんころりん（大爆笑）。だからさ、宇宙船ががんがん飛んでいる時代なんだから、紐はやめようよ、紐は。
レジ−は敵の宇宙船に乗り込んで連絡をとろうとしたのですが、そこに待ち構えていたのはリンクマンとヴァルコ博士（ガボール・カーティス）の悪者コンビ。この二人、地球から指名手配となっているのですが、その失地を回復すべく今度は海賊商売に手をだしたという訳。レジ−はもとよりヴェナもこの二人にあっさりと捕まってしまいました。「ヴェナ、気の毒だが」リンクマン、平然として恐ろしいことを口にします。「君達の船はこれからカーサ7の周りを永久に回りつづける人工衛星となるのだ、他の輸送船と同じ運命を辿るのだ。こうしておれば、我々の犯行が隠しておけるからなあ」ヴェナは気丈にも「ロッキー・ジョーンズが助けてくれるわ」しかし、にやりとしたリンクマン、「彼には罠をしかけておいた。期待しても無駄だよ」あわれ、ヴィナとレジ−はCM-7ごとカーサ7の軌道上に置き去りにされてしまったのです。
さて、カーサ7に向かって宇宙をひた走るロッキー・ジョーンズの宇宙船XV-2、ロッキーが叫びます。「前方5時の方向に未確認宇宙船」それはなんと行方不明になった筈の火星の輸送船でした。そろそろと接近してみますと、その輸送船からいきなり攻撃、からくも逃れたXV-2はミサイルで反撃して、これを破壊するのでした。「これは何者かが宇宙船を奪って罠をしかけたんだ」はい、その通りです、ロッキー・ジョーンズ（笑）。彼らはさらに捜索を続け、ついにヴェナとレジ−のCM-7を発見するのですが、リンクマンとヴァルコ博士、悪賢いことにCN7の標識番号を消してしまっていたのです。通信もできませんから、ロッキー、これを先ほどと同じ罠だと勘違いしちゃった。「よーし、ウィンキー、五秒後にミサイル発射だ、5.4.3.2.・・・、あ、ちょっと待て、あれはなんだ！」それはレジ−の窮余の策、彼はミサイルを発射口から放出したのです。ゆらゆらと漂うミサイルを見たロッキー、「ああ、あれは何らかの合図に違いないぞ」こうして、ヴェナとレジ−は救出されたのでした。ヴェナはすべての犯行がリンクマンの仕業であることをロッキーに説明します。とりあえず、今度の対策のために、カーサ7へ向かうことになりました。動けないCN7を磁力で船体にくっつけて出発するXV-2（笑）。で、そのまんまカーサ7の着陸塔に着陸するのだから凄い。
いちおうカーサ7、宇宙ステーションということになっておりますが、この風景、地球の宇宙港とまったく同じ（笑）。こんな宇宙ステーションはマズイでしょうが。
着陸塔で再会してお互いの無事を喜ぶポールとヴェナ。彼らにボビーを預けて、太陽系内にあると思われる宇宙海賊の基地を探すロッキー・ジョーンズとウィンキーです。最もウィンキーはもっぱらの作業をロッキーに任せてソファーでがーがー寝ているのですが（笑）。8時間掛かってロッキー・ジョーンズ、ようやくひとつの結論に達します。宇宙海賊の基地はどこかの小惑星上にあるのに違いない。そうして、彼奴らは他の惑星からの援助を受けて犯行を繰り返しているのだ！どこかの惑星たって、あそこに決まっているじゃないですかねえ（笑）。きっとあの女王様が。
ロッキーは続けます。「輸送船が襲われた地点、そこからの距離を考えると、宇宙海賊の基地は“孤独の月”フラーに違いない」ウィンキーは仰天。「フラーですって、でもロッキー、あの小惑星は謎の防御バリアに囲まれて突破できないですよ、今まで着陸した人間がいないんだから」ロッキーはにやりとします。「大丈夫さ、僕たちにはニュートン教授の新発明がある！」ようやく教授の新発明「コールドライト」の出番です。とその前に・・・。
ここは惑星オフィシアス。女王クレオランタ（パッツィー・パーソンズ 出た、出ましたよ）のデスクの通信機がぶっぶーとなって、ああ、これはリンクマンからの連絡ではありませんか。そう、彼ら宇宙海賊の黒幕はオフィシアスだったのでありますって、もう分かってましたけどね（笑）。リンクマンからロッキー・ジョーンズの件を聞いたクレオランタは激怒。「あれほどロッキー・ジョーンズには手を出すなと申したのに」彼女は腹心のアトラサン（ハリー・ローター）を呼び出すと、リンクマン、ヴァルコ博士の二人を命令違反の門で処刑するよう命令したのでした。「そんなことで処刑ですか、あなたはよほどロッキー・ジョーンズを恐れておられるのですな」とアトラサンが余計な一言を言ったのでクレオランタは「きぃー、あんたまでそんなこというの」本やらノートやらを手当たりしだいに投げつけるという・・・。
さて、フラーに向かって驀進する宇宙船XV-2、いよいよ「コールドライト」装置の発動です。これは何でもフィラメント真空管の中でマイナス243度の超低温を発生させるとかなんとか。ロッキー・ジョーンズは説明します。「熱くなるとかげろうが出て、ものが揺れて見えるだろう、逆に冷たいと物体の姿が見えなくなるんだ」そ、そうかあ？ま、とにかくコールドライト装置を始動させると、ああ、見事にXV-2の姿が見えなくなってしまったではありませんか。このまま、まんまとフラーの防御バリアを突破したロッキー・ジョーンズ達、船体を透明化させたままフラーに着陸するのでありました。フラーの基地にいるリンクマン達は「はて、音はすれども姿は見えず、おかしいなあ」と首を捻っております。なんだか凄い間抜けです。
ところがせっかく透明というアドバンテージを持っているにも関わらず、船外へ飛び出ていくロッキー。一応ウィンキーを船内に残しているのですが、なんとも無鉄砲極まりありません。彼は驚くリンクマンたちに向かって「どうだ、僕達は船を透明化することができるのだ、これでバリアを突破してきたんだ」そのとたん、物陰からマルコに飛び掛られて、あっという間に捕まってしまいましたとさ（笑）。ロッキー捕獲の連絡を受けたクレオランタ、早速に処刑の命令を撤回し、アトラサンとともに自らフラーへ出かけることになります。彼女はあわよくばロッキーを仲間にしようとしていたのでした。
しかし、捕まった方が間抜けなら、捕まえたほうはもっと間抜け。ロッキーに手を組まないか、あの透明化技術があれば海賊でたんまり稼げるぜと誘いに来たリンクマン、逆にロッキーに殴り倒されてしまいます。ヴァルコ博士や、マルコも閉じ込めてしまって、ええ、この二人をどうやって閉じ込めたかというと、ドアノブの下にテーブルをあてがって回らなくしてしまったという・・・、だからロケットががんがん飛んでいる未来の時代だろ！まんまと逃げ出したロッキー、XV-2に乗り込むなり緊急離陸。フラーを脱出します。フラーに到着したクレオランタ、ロッキーが逃げたことを知ってまたも激怒。「こうなったらカーサ7を襲って占領するのです。ロッキーは生け捕りにしなさい！」命令するだけして、あっさりとオフィシアスに帰ってしまうクレオランタなのでありました。
実はカーサ7にはリンクマンのスパイがおりまして、名前をケン（ジェームス・グリフィス）と言いました。しかしどうでもいいけれども、いたるところにスパイのいるシリーズですな、これは。ロッキーはフラーにオフィシアスから暗号電波が出ていることを発見、ついに黒幕を知るのでした。同時に輸送船の情報を流しているスパイがいると考えます。しかし先手をうったケン、火星人スタッフのハガヌー（テッド・ハチェット）に罪を着せてロッキーを油断させ、背後からぼかり。彼をハガヌーとともにXV-2に監禁してしまいます。どうでもいいけど、宇宙船ががんがん飛んでいる時代なんだから、荒縄で縛るなよ、もっと別のもん使えよ（笑）。
にやりと笑ったケン、カーサ7の防御システムを解除、同時にコールドライト装置を作動させてXV-2を透明にするのでした。そしてケン、透明だから分からなくなっちゃぁいけないってんで、XV-2の着陸塔にチョークで印つけてやんの（笑）。だから、宇宙船ががんがん飛んでいる時代なんだから（以下略）。そして計画どおり、リンクマンたちがカーサ7に侵入。ポール、ウィンキー、ヴェナ・ボビーをあっさり捕まえてしまいました。このままXV-2でオフィシアスに飛べば大成功、となるのですが、そうは問屋が卸しません。
ロッキー・ジョーンズ苦心惨憺して手足の縛めをほどいてしまいます（笑）。彼はハガヌーとともに宇宙船から降りて、ああ、ケンがつけた印をごしごし消しちゃった（大爆笑）。そして他の着陸塔に改めて書き書き。ハガヌーはハガヌーでリンクマンの船の噴射口に強力爆薬ト−ナイトαを仕掛けるのでした。さあ、オフィシアスに出発しようとなって、XV-2に乗り込もうとしたリンクマンたち、偽の印に騙されて「ああ、宇宙船がない」その隙をついて襲い掛かるロッキー・ジョーンズ、激しい戦いとなるのですが、結局リンクマン一味はロッキー・ジョーンズ、ウィンキーたちの手によって取り押さえられてしまうのでした。ラスト、ぐるぐる巻きに縛り上げたリンクマンたちをつれて地球へ帰還するロッキー・ジョーンズ一行。ウィンキーは「到着予定時刻はいつになりますか、俺、セントラルパークでベティって娘と待ち合わせしているんですよ」「おお、なんだ、お前、デートすんの、なかなか隅に置けないねえ、だったら、真中にくるかい」みんながわっはっはと笑ったところでエンドマーク。
物語の主要なガジェット、コールドライト装置があまりにもあっさり提供されるのにはちょっと参ってしまいました。あんなに重要な装置なんだから、もっともったいぶればいいのに。
この作品、通常とは違いまして、今は亡きディレクテレビの「SFチャンネル」で放映されたものをビデオに録画していたもの。うるさいインターミッションが入り、カットもされているようですが、日本語字幕入り、それになにより画質・音質が私が買っているアルファビデオ版DVDより100倍いいですな（笑）。
ＳＦシネクラシックスへ戻る