Night of the Bloody Apes（1968年）

DVD Release Date: 9/24/2002


　『NIGHT OF THE BLOODY APES』1968年製作　手っ取り早く言えば、人間がお猿になってうっきっきー、ホラーであります。こういうのはどううまくやってもＢ級以外になりえませんし、ましてやメキシコ映画なんですから、どんなものか、見る前から分かっているようなもんです。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　これはメキシコの映画ですから、、当然、いきなりルチャ・リブレ、それも女プロレス、中野監督大喜びですわ（笑）。控え室で身支度に余念のない女レスラー、ルーシー（ノーマ・ラゼレノ）、そこに尋ねてきたのが恋人の警視マイク・マルティネス（アルマンド・シルベストリ）でありました。「ハニー、頑張れよ」「有難う、あ、マスクをつけるのを手伝ってくださる？」ルーシーに、猫を模したと思しき真紅のマスクを被せてやるマイクです。

　それから、プロレス場面。一進一退の攻防が続きますが、ルーシー、ついに、相手の女レスラーをリング下に投げ落とします。がつんと頭を打って伸びてしまう女レスラー。警視が身分証明ちらつかせながら、レスラーの体を調べると、あ、こりゃいけない、虫の息だ！レスラーは救急車で病院に運ばれるのでした。場面変わって登場するのが本作の主人公、クラルマン博士（ホセ・エリアス・モレノ）。彼の最愛の息子フリオは若くして、白血病のために死に掛けていたのです。博士は足の悪い助手とともに、車で外出。動物園の押し入ると、ゴリラを麻酔銃でずどん、ちんけな着ぐるみのゴリラを誘拐してしまうのでありました。ゴリラを自宅地下室の研究室に運び込んでほっとしているところに病院から電話。「頭部損傷の患者がいます。すぐに病院へきて下さい」助手にゴリラを託した博士、病院にかけつけて、さっきの女レスラーを診察いたします。

　その頃、女レスラーのつきそいで病院に現れたルーシーと警視、担当医の答えは「頭蓋骨が陥没しちゃってますねー、ちょっと危ないかもしれないです。また、意識を取り戻しても、このまま一生クルクルパーで過ごすことになるかもしれませんな、数も数えられなくなって1.2.3・・・、1.2.3、うん、タクサン、タクサン！いいよるかもしれませんな」真っ青になるルーシー。一方、女レスラーの診察を終えたクラルマン博士、同僚の医師から「申し訳ありません。息子さんの白血病には手の施しようがありません。時間の問題でしょう」といわれてこちらも真っ青。そして、博士はあるとてもいけないことを実行に移そうと決意するのでした。あるとてもいけないこと・・・、皆さん、もうお分かりですね（笑）。

　自宅へ戻った博士、ベッドに横たわっているフリオに「息子よ、お前の病気は快方に向かっているぞ、すぐに元気になれるんだ」「ほんとうかい、パパ」弱々しく微笑むフリオ。涙なくしては見られない名場面であります（笑）。博士は息子を研究室に運びこみ、助手と二人で、ゴリラの心臓の移植手術を始めるのでした。うわ、多分豚肉だと思うけど、毛をそって人間の体に見せかけた豚肉をメスでばすばす切りよる。肉屋でもこうはいかない（笑）。しかもかなり新鮮なものらしくって、ぴゅっぴゅっと血が噴出してくるのが凄いです。博士、ゴリラから取り出した心臓、ああ、手を細かく震わせて、鼓動しているかのように見せる小芝居がいいですな、を息子の体に移植するのでありました。全ての処置を終え、息を呑んで息子の回復を待つクラルマン博士。助手が叫びます。「ご主人様、心臓計が心拍を表示しています、大丈夫です、フリオ様は生き返りました」二人は大喜び。

　ここで、移植手術中の時計の進み方に注目。時々画面に現れる研究室の時計で示された手術の開始時間は午後10時20分。手術が終わりに近づいたのが午後11時50分。この二人、心臓移植という大手術を2.3時間でやり終えてしまったことになります。もうブラック・ジャックもビックリ。人工心肺装置など小じゃれたものもないし、どうも男らしい映画ですな。

　手術は上手くいったのですが、当然、ゴリラ誘拐事件が露見。また、ルーシーはあの女レスラーの事故以来、リングで元気がなく、負けてばかりです。マイクはそんな彼女を見かねて「よし、勝ったらディナーにいこう」ルーシー、彼の言葉に発奮し、見事勝利を収めるのでありました。ところが、ゴリラ誘拐事件で本部に呼び出しくらったマイク、試合後、シャワーを浴びているルーシ−のところに行って、事情を説明しディナーにいけないと謝ります。もうルーシーかんかんになりますわ。「なによ、いつもいつも仕事だって、あたしと仕事とどっちが大切なのよ」えー、警視と女プロレスラーがゴリラのせいで、痴話喧嘩。考えれば考えるほど、“ヘン”でありますな。

　さて、順調な回復を見せるフリオ、クラルマン博士は看病疲れでベッドの側で転寝しています。食事を運んできた助手、博士を起さないように、食事をそっとテーブルに置いて、自分は顕微鏡を覗きはじめました。その時、フリオの顔がみゅわんみゅわんと歪みはじめて、じゃーん！こ、これは、半獣ゴリラ人間！。凄い、体つきも二回りくらいも大きくなっているし顔もただゴムを塗ったくったみたいなの（笑）。ゴリラ人間は窓をぶち破ってあっさりと逃げだすのでありました。慌てて後を追う、博士と助手。

　町へ彷徨いでたゴリラ人間は、よっこらしょっと雨どい攀じ登ってマンションに侵入。ちょうどシャワーあがりの女がいて、ゴリラ人間とばったり。彼女は物凄い悲鳴を上げますが、ゴリラ人間に抱えられてベッドへどすん。ゴリラ人間、ちょっと口に出せないような酷いことをして、女を殺害します。あー、あ、もうベッドルーム血だらけだよ。騒ぎを聞きつけたクラルマン博士と助手は警察に先回りして、麻酔銃でゴリラ人間を捕獲するのでした。ゴリラ人間を研究室に運び込んだ博士、むつかしい顔で「ううむ、ゴリラの心臓は人間には強すぎたのだ。周りの組織にも影響を与えてしまった。フリオは人間に戻るかもしれないが、なんらかのショックで再びゴリラ人間になってしまうだろう。その解決方法はひとつしかない。また心臓を人間のそれといれかえるのだ！」なんだかラジオの修理をするみたいですな。「移植にはドナーが必要なのだが・・・、そうだ、頭部損傷で昏睡状態のあの女プロレスラーがいるじゃないか」

　ようやく女プロレスとゴリラ人間がつながりました。なかなか（ちょっと）上手い（強引な）ストーリー運びであります。めでたし、めでたし。

　今度は二人して病院に忍び込み、女プロレスラーを攫ってくるという・・・。はい、またまた心臓移植手術。豚の皮膚が切り裂かれて、血がどばーっ。あー、トンカツが食いたくなりますな（笑）。用済みとなった女プロレスラーの死体は研究室備え付けの焼却炉で燃やして証拠隠滅。しかし、この研究室なんだってそんな大きな焼却炉がついているんですかねえ。

　病院では女プロレスラーがいなくなったことに気づいて大騒ぎ。すぐに医師・経営陣を交えた対策会議が開かれます。何食わぬ顔をして、会議に出席し、「誘拐されたのかもしれない」と述べるクラルマン博士。「いや、奇跡的に回復して彷徨いでたんじゃないか」という意見も飛び出して、侃侃諤諤の騒ぎとなりました。結局、病院の名誉に関わるので、ここはひとつ、警察に知らせないで我々で彼女の行方を探そうということに。ひでぇ病院だなあ。

　その頃、博士の研究室では意識を取り戻したゴリラ人間が厳重に縛っていたはずの縄をぶちぶちと何の苦もなく引きちぎってまたも逃走。公園でうふふ、だめよ、こんなとこじゃ、いいじゃないか、誰も来やしないし、俺、公園でやるのはじめてなんだ、ぶちゅぶちゅぶちゅちゅーとかやってたカップルに行き当たって男の方を瞬殺。女をとっつかまえて、裸に剥き始めます。とりあえず会った女は裸に剥くというのが彼の人生における大方針と見えますな。

　あー、女優さんの体を傷つけないよう、そこらの草引きちぎってばらまいてあるのが丸分かりですよ。あ、あ、そんな暴れるから草が動いて下の床が見えちゃったじゃないですか笑）。女はからくも逃げ出します。片乳放り出して雑貨屋に逃げ込む女。「助けて、助けて、化け物よ、警察を呼んで！」雑貨屋の主人はよせばいいのに、ナイフ片手に公園へ。あっさりとゴリラ人間に捕まって、逆にナイフを奪い取られてぐっさぐさ。さらにゴリラ人間、通りがかった不運なおっさんの顔面に両親指を押し当てて、すごい力でめりめり。ぽん、なんかにきびの芯を押し出すような按配で目玉が飛び出してきました。

　大慌てでゴリラ人間の後を追うクラルマン博士と助手。彼らは野次馬にこら、公園の中に入っちゃいかんと怒鳴っている警官のすぐ側に車を止めて、公園の中に駆け込んでいきます？警官、なんで、見るからに怪しいこの二人を誰何しないのでありましょうか。続々と警官隊、救急車がやってきて騒然となる中、博士と助手はようやくゴリラ人間を保護することに成功します。ちなみにその時はもうフリオの姿に戻っておりますな。自宅へ彼を連れ帰り、ベッドに寝かせた博士は病院へ出勤。「もう変身することはないだろうが、気をつけていてくれ」と助手に指示する博士でしたが、こんな映画でそんな変身しないわけないじゃんねえ。フリオは再びゴリラ人間になって、助手の首をもいでしまったのでありました。ギャ−！

　ええと、ゴリラの心臓を移植したらゴリラ人間になっちゃったんでしょ。今度は女子プロレスラーの心臓を移植したんだから、女子プロレスラーになるのが筋じゃないですかねえ。

　病院から戻ってきた博士は仰天。だって生首がごろんと転がっているんですから（笑）。フリオの姿を求めてベッドを見に行く博士、だが、もちろん、フリオのベッドは空っぽです。そこに現れたのは生首下げたゴリラ人間。博士、びっくりして後ずさった瞬間、足を滑られてすってんころりん。ベッドの角に頭をぶつけて失神いたします。次の犠牲者は博士かと思いきや、ゴリラ人間は博士を優しくベッドに寝かせるのでありました。彼にも人間らしい心が残っていたのであります。最も、パパ以外に対してその人間らしい心を発揮させるつもりはまるでなし。ゴリラ人間は外に飛び出してパトロールの警官を殺害。たまたま通りがかったルーシーをとらまえてまた裸に剥き始めます。あれ、ルーシーなんで君、こんなとこ来たの？

　ルーシー、辛くも逃げだしてさっきの公園の中へ、詰めの甘いやっちゃなー、追うゴリラ人間。警官の死体を発見したマイク、意識を取り戻した博士もそれぞれ後を追って、なんだかややこしいことになります。拳銃を取り出して、ゴリラ人間に狙いを定めるマイク。そこに「私の息子を殺さないで」と博士が飛び掛るのでした。もみ合いになるも、警視のパンチが炸裂して博士、失神です。一方、ゴリラ人間はフリオの姿に戻って公園に倒れていたのでありました。二人は同じ病院に収容されることになり、マイクはこの不可思議なる連続殺人にこの二人が関係していると断定。博士の怪しい研究室の捜索を開始します。

　病院に収容されたフリオは即効でゴリラ人間に戻って大殺戮を開始。少なくとも医者二人、看護婦一人をやっつけてから、たまたま病室にいた幼い女の子を捕まえて病院の屋上に登るのであります。もうエテ公だから、高いところに無闇に登りたがるんです。フリオの様子を見に来たマイクが事件に気づいてゴリラ男を追って屋上に登ります。同じ病院で手当てを受けていた博士も同じく屋上へ。

　病院を取り囲んだ警官隊、しかし、少女の身を守るために発砲できません。マイクはゴリラ人間に立ち向かおうとしますが、博士に止められます。「私の言葉なら聞いてくれるんだ、頼む行かせてくれ」博士はそろりそろりとゴリラ人間に近づきながら「息子よ、女の子を返してくれ、私が悪かった、全て私の責任だ、だから、その女の子を返してくれ」意外にあっさりと女の子を博士に渡すゴリラ人間。そのとたん、一斉射撃を開始する警官隊。ゴリラ男、どうと倒れて絶命するのでありました。死の寸前、フリオの姿に戻るのは定石のとおり。ラスト、事件が解決したので、のびのびになっていたディナーに行こうといちゃついているルーシーと警視。悲劇の余韻が台無しですわ（笑）。

　豚の肉を捌くショックシーンはどうもアメリカ公開時につけたされたようですな。また、この映画は62年の『 Wrestling Women Vs. The Aztec Ape』のリメイクなんだそうです。多分というか、絶対、ＤＶＤ出たら買います。

　カラー・スタンダード収録。モノラル音声。画質・音質はいうことなし。お前、サムシング・ウィアードのくせに生意気だぞっと言いたくなるくらいのハイクォリティ。目立った瑕疵もなく、こんな映画にもったいない（笑）。特筆すべきなのが、英語の聞き取り易さ、90パーセントの台詞が理解できました。いつも60パーセントくらいしか分からないのに（笑）。サムシング・ウィアードのＤＶＤ。

　Director: Ren・Cardona
　Encoding: Region 1
　Format: Black & White, Color
　Rated: Not for sale to persons under age 18.
　Studio: Image Entertainment
　DVD Release Date: September 24, 2002
　DVD Features:
　3 Minutes of Gory Outtakes from "Night of the Bloody Apes"
　Theatrical trailers and TV spots for "Night of the Bloody Apes" and "Feast of Flesh," Plus Bonus Schlock-Around-the-Clock Trailers for "Face of the Screaming Werewolf," "The Flesh Eaters," "Flesh Feast," "Invasion of the Flesh Hunters," "Blood Spattered Bride/I Dismember Mama," "Shiver Shudder Show," "Tender Flesh," "Werewolf in a Girl's Dormitory/Corridors of Blood" and more
　A Gorilla goes gaga for a Stripper in the Burlesque Novelty Short Subject "Gorilla and the Maiden"
　Rita Martinez, "Champion of Mexico," takes on Clara Mortensen in the Wrestling She-Babe Short Subject "The World's Champtionship Women's Wrestling Contest"
　Girls meet the Apeman in the 1920's Nickelodeon Nudie Short Subject "Artists' Paradise"
　Two Apes battle for B-Movie Supremacy in the Hairy Short Subject "White Gorilla"
　Ghastly Gallery of Ghoulish Comic Cover Art with Horror Audio Rarities
　Full-screen and widescreen anamorphic formats

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