Scream and Scream Again 　バンパイアキラーの謎　（1969）

DVD Release Date: 8/27/2002



　『バンパイアキラーの謎』（1969年）はヴィンセント・プライス、クリストファー・リー、ピーター・カッシングの三大ホラー名優が共演したＳＦホラー。といってもこのうちピーター・カッシングはほんのちょっとしか出てこないんですが。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　冒頭、妙におかまっぽい仕草で走るジョガー。オープニングクレジットが終わるなりうむむと胸を押さえて倒れてしまいます。彼が目を覚ましたのは病院のベッドの上でありました。一言も口をきかない看護婦さんに、ジョガー「どうしたんだ、何が起こった」と尋ねるのですが、看護婦さん、何も言わずに立ち去ってしまいます。ジョガー、苦悶しながら自分の下半身を覆っている毛布をはねのけてギャーっ！彼の右足は切断されていたのです。

　ここで舞台は東欧と思われるなにやら怪しい国へ。帰国した科学者コンラッツ（マーシャル・ジョーンズ）は上司と面会しますが、命令違反を咎められたのに腹をたてて、その上司の肩をぐいっとつかみ恐ろしい力で締め上げます。言わばいやなヴァルカン・ピンチというところでしょうか。上司、口から血を吐いて死んでしまいます

　さてまた場面が変わってロンドンへ。警官たちが殺されたアイリｰン・スティーブンスの捜査をしております。スコットランドヤードのベルヴァｰ警視（アルフレッド・マークス）はアイリーンが働いていたブロウニング博士（ヴィンセント・プライス）の研究室へ赴くのでありました。博士から、彼女の人間関係などを聞き出した警視、犯人の目星はと問うブロウニング博士に答えて「間違いなく男の仕業です。彼女はただ殺されたわけじゃない」意味深ですな。でっしっしっし。

　はい、またここであのジョガー登場。同じように口を聞かない看護婦さんが出て行ったあと、苦悶しながら自分の下半身を覆っている毛布をはねのけてギャー、こんどは左足がなくなっている。えー、ここまでなんだか訳がわかりませんな。

　さて、またあの怪しい国へ戻ると、いきなり亡命者らしきカップルが国境警備隊に捕らえられる場面になります。男は逮捕時に撃たれたため、まもなく死亡。コンラッツは怯える女に、懐から取り出したペンチを見せつけて、「さあ、いえ、すぐいえ、今いえ、なんで亡命しようとしたのだ」コンラッツは女の指をペンチで・・・。いて、いて、いてててて。

　もういい加減うんざりしたと思いますけど、まだややこしくなりますからねー、ついてきてくださいねーってことで、ロンドンへ。あるナイトクラブで「TheAmen Corner 」の演奏で躍り狂う若者たち。二人の小娘が、そでつつきあって、「ねえ、ちょいと、あんた、あの人さ、様子の良い人だわねえ」クラブの片隅でグラスを傾けていたのはキース（マイケル・ゴサード）という謎めいた青年。小娘のうちのひとりはキースにうまいこと近づいて、ドライブに出かけることになりました。キースのオープンカーで夜の郊外を疾走。だんだん気分の盛り上がってきたキースは車をとめると小娘に「な、ええやろ、させんかい！」娘は仰天しますわな。「なにさ、こんなところで、それにオープンカーなんだから、丸見えよ」逃げ出す娘、追うキース。ぼきぼき、なんか分からない音が響いて娘、キースに殺されます。

　一方あの謎の国では（笑）、上官のベネディク・ハインリッヒ（ピーター・カッシング）に呼び出されたコンラッツ、「なぜ君はそう無闇に拷問したがるのだ」と咎められてむかっ。“いやなヴァルカン・ピンチ”でベネディクを殺してしまいますね。

　そして、またジョガー登場。今や彼は叫ぶ力すらなくただただ脂汗を滲ませているばかり。今度は彼の両手が切断されているのです。乱歩の「芋虫」状態です。

　ここでロンドンに戻ってまた新たな登場人物、イギリス防衛大臣のフレモント（クリストファー・リー）であります。彼はイギリス所属の偵察機が謎の国上空で撃墜され、パイロットが捕らわれたっとドラキュラ目で部下達を攻め立てるのです。そして、もう一人検死官のディビッド・ソレル（クリストファー・マシュｰ）、彼は第二の犠牲者の女から、血が抜かれていること、また手首に一対の不思議な傷があることを報告するのでした。

　警察は謎のヴァンパイアキラーを捕らえるために、おとり捜査を計画しマイクと発信機を装着した女性警官をクラブに送り込むのでありました。まんまとおとりにひっかかったキース、女性警官を連れて死のドライブへ。後を追う、ベルヴァｰ警視をはじめとする警察官たち。キースはまたも車を空き地にとめて女性警官に迫りだしますな。「な、ええやろ、させんかい」とマイクから聞こえてくるので、警官たち、にやにやしております。中には「もうちょっと放っておこうよ」という奴もいて、これは酷いセクハラだと思います（笑）。ところが、そのうち、ちゅーちゅー何かを吸う音が聞こえてきたので警官たちは仰天。キースの車へ駆けつけると、キース、女性警官の手首にかぶりついて、血を吸っていたという・・・。「何するんだ、こいつ」とキースに飛び掛る警官たちでしたが、こいつ力が強いのなんの、どて、ぽき、ぐしゃっ、たちまち叩きふせられる警察官。キースは車で逃走します。はい、ここから、カーチェイス。頑張って飛ばしているのは分かるのですが、キーキータイヤを鳴かせてカーブしているだけなので、いささか物足りません。ついにキースは廃工場へ追い詰められてしまいます。じりっ、じりっとせまる捜査陣。でもやっぱり、キースにどて、ぼき、ぐしゃっとやられて逃げられちゃうんですね。この時、警察官が一人撲殺されてしまうのですから、ひどいもんです。

　走って逃げようとするキース。ようやく彼を崖に追い詰めた捜査陣。キースは崖を攀じ登って逃れようとしますが、足をすべらせて転落。ついに捕まっちゃいました。ベルヴァｰ警視は彼を手錠で車のバンパーに繋ぐよう指示してやれやれとおまわりさん達と談笑します。

　しかし、なんとキースが逃げてしまいます。彼は自分の手首をもぎ取って手錠から逃れたのです。仰天しつつもまた彼を追っかける捜査陣。キースはなぜかブロウニング博士の研究所に逃げ込み、納屋の床を開けて黄色い液体が満たされたタンクにどぼん。「タンクから引き出せ」と警視に命令された警官、液体にぐっと手を突っ込むとじゅっ。「びわわわっ」悲鳴を上げる警官。なんとあの黄色い液体は強酸だったのです。キースは自ら自分の体を溶かしてしまったのであります。なお、この強酸を何の為に使っているのかと聞かれたブロウニング博士は涼しい顔で「なに、実験の廃棄物を処理するためにつかっているのです」絶対、怪しいです。たった一つ残った証拠品の手首もその夜、あの謎の看護婦が警察病院に忍び込んで持っていってしまいました。警察の捜査は、ここでクローズ。どうやら政府上層部おそらくはフレモントから命令されたらしいのです。

　憤慨したディビッドはガールフレンド（婦人警官）を連れてブロウニング博士の研究所へ。密かにあの液体のサンプルを採取しようとしたのですが、タンクは空っぽになっていましたた。首を捻りながらガールフレンドを待たせていた車に戻ろうとしましたが、肝心の車がどこにも見当たりません。

　ロンドンに現れたコンラッツ、フレモントを呼び出して、「墜落したスパイ機のパイロットとヴァンパイアキラー事件の情報を引き換えにする」という商談？を纏めるのでした。スコットランドヤードに現れたコンラッツ、ヴァンパイアキラー事件のファイル引渡しを拒否するヴェルバーに腹をたてて、“いやなヴァルカンピンチ”でごきり。殺してしまいました。

　研究所へ潜入するディビッド。彷徨ううちに隠し扉を見つけて中に進んでいきます。そうしたら、中にいろんなものがあるわけですわ。立派な設備が揃った手術室、人体の部品が綺麗に冷凍保存されているジェフリー・ダーマーな冷凍室、首を捻っている彼の後ろに現れたのは、ブロウニング博士でありました。博士は聞かれもしないのに、べらべらしゃべりますな。「私は人体の各パーツを組み合わせて、超人間を作ろうとしているのだ。来たまえ、新しい実験体の手術を見せてあげよう」博士は保管庫からまっぱだかの女の死体を抱き上げ、手術台へ。あ、この女の死体、ヴィンセントに抱き上げられながら、股間を両手で隠しているぞ。手がぷるぷる震えて、なんだか凄く必死です（笑）。あの謎の看護婦が婦人警官とともに現れて、こちらも手術台へ。さあ、いよいよ手術のはじまりです。ディビッド、たまらず博士に飛び掛るもあっさりどて、ぽき、ぐしゃ。博士自身も肉体強化されていたんですねえ。

　ここに現れたのが、コンラッツ、彼は博士に襲い掛かります。「おのれらはいつもいつも科学を武器に悪用しおってからに」喚く博士。「悪用しているのはあんたや！」公開当時、アメリカの観客はいっせいにこうツッコンだと伝えられております。博士とコンラッツ、くんずほぐれつの大騒ぎですわ。ちなみに、あのキースを溶かした強酸、あの事件の後で、手術室にうつされており、争っている二人の側でたぷたぷしております。もう何が起るか分かりましたね。はい、正解。コンラッツは強酸に叩き込まれてじゅうじゅうと溶けてしまいました。この隙に逃げ出すディビッドと婦人警官。二人の前に現れたのは車で駆けつけてきたフレモントでした。フレモントは二人に車で待っていろと命令するとずかずか手術室に入っていきます。はっとするブロウニング博士、フレモントはあのドラキュラ目で博士をにらみつけますな。「まったくもうお前は調子に乗りおってからに」たじたじとなるブロウニング博士。にらむフレモント、あっ、足を滑らせた博士が強酸のタンクの中にぼちゃん、じゅうじゅうじゅう・・・。ここでエンドクレジット。

　複雑すぎてストーリーが良く分かりません。それを覗けばエロあり（おっぱいたくさん）グロあり（血がどばどば）で楽しめる映画なんですけどねえ。あと、クリストファー・リー、ドラキュラ伯の時は貴族的な風貌でかっこいいと思ったのですがこの映画での彼は妙にヒゲが濃くて親父くさいのです。だいたい、ああ、脂っこいのはいけませんな。

　スクイーズ・シネスコ収録。カラー・モノラル音声。画質・音質とも極上。極上すぎて血のりがうそくさくなってしまっているのはご愛嬌。英語字幕つき。「ＭＧＭミッド・ナイト・ムービー・シリーズ」のＤＶＤ。

　Starring: Vincent Price, Christopher Lee
　Director: Gordon Hessler
　Encoding: Region 1
　Format: Color, Closed-captioned, Widescreen
　Rated:
　Studio: Metro-Goldwyn-Mayer
　DVD Release Date: August 27, 2002

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