Stranger from Venus (1954)Starring:Patricia Neal, Helmut Dantine, Derek Bond, Cyril Luckham, Willoughby Gray, Marigold Russell, Arthur Young
Director:Burt Balaban
DVD Release Date: 9/5/2000
えー、今回ご紹介するのは1954年製作の『ストレンジャー・フロム・ビーナス』、はっきり言っちまえば、51年の『地球の静止する日』のパチモンですな。この映画で、おせっかいにもわざわざ円盤に乗って、「おまえらの、核爆弾はいけんがの、近所迷惑じゃけんのう」と説教しに来て下さるのは金星人、頼まれたわけでもないのに、まったくゴクロー様なことであります。
イギリス上空を飛ぶ、謎の飛行物体、「なんか光るものが物凄いスピードで飛んでいったんだ」「そりゃ、流れ星だろう」「流れ星が、Ｕターンするものか」という旅客機と管制塔の通信が生々しいです。そんな中、車でフィアンセ、アーサー・ウォーカー（デルク・ボンド）とのデートに向かう、スーザン・ノース（パトリシア・二−ル）。ラジオの音楽がざーざーという雑音にかき消され、突然まばゆい光が。スーザンは運転を誤り、道路わきに突っ込んでしまいます。車は大破、重傷を負ったスーザンに近づく謎の人影・・・。
場面は一転して女が滞在していた宿屋になります。宿屋の娘グレッチェン（マリゴールド・ラッセル）が彼女の安否を気遣うアーサーの電話に答えております。「ちょっと遅れているだけですわ、そんなに心配なさらないで」グレッチェンの父である、宿屋の主人トム（ウィロビー・グレイ）は、「ひょっとしたら、別の男のとこにいたりして、にっしっし」などと、また余計なことを言ったりするのですな。
そこに現れたのが謎の男（ヘルマット・ダンティン）、彼は戸惑う父娘にビールを注文します。運ばれてきたビールを一口味わって、「まずい」（笑）。彼は続いて、部屋を所望するのですが、図々しいことに、お金は持ってないとのたまう始末。名前を聞かれても、「私には名前などない」あんまり変なので、たまたまお客さんとしてきていた医者のメイナード先生（シリル・ラッカム）が、あんた、大丈夫かね、と謎の男の脈をとってみると・・・、先生、困惑して「可能性は二つある。私が酔っているか、あんたが死んでいるかだ、あんた、脈ないじゃないか」、よしよし、上々の滑り出しですな。
一方、アーサーはは二人の警官とともに、彼女の大破した乗用車を発見。しかしどこにもスーザンの姿が見当たらないので、半狂乱となります。彼と二人の警官は宿屋に来て、ことの顛末をみんなに報告するですが、そこにまた現れた謎の男。「彼女なら大丈夫です、心配することなどありません」憤然として、彼に詰め寄るアーサー。「君は一体何者なんだ、彼女になにをしたんだ」謎の男、黙して語らずただにやにやするばかり。警官たちは、男を捕まえようとしますが、なんとしたことか、彼の体に触れることができません。この男、一体何者なのでありましょうか。
そこにふらふらと帰ってくるスーザン（笑）。彼女の衣服はぼろぼろで、目はうつろでしたが、彼女の体を調べたメイナード先生はびっくり。「傷がもう治りかけているじゃないか」「だから言ったでしょう、何も心配することはないって」謎の男は得意そうです。そして、彼は自ら自分の正体を明かすのでした。「私は実は、金星人なのです」驚く人々（笑）。「私は地球のリーダー達とあることについて話し合うためにやってきました。全世界のリーダー達を集めて会談させて頂きたい」いや、いきなりイギリスの田舎にやってきて、そんなことを言われても（笑）。
とりあえず、宿屋に滞在することになった謎の男。その夜、突然トムの部屋に現れて、寝ている彼に向かって、手をかざし、うんうん唸って汗まみれ。その後、部屋に駆けつけた皆さんが見たのは、不自由だった足が治ったと喜ぶトムの姿でありました。この金星人、どうやらヒーリングの力があるようです。
翌朝、スーザンはお庭で土いじりをしている金星人と仲良くお話し。そこにメイナード先生もやってきて、「君、金星の大気は、地球とまったく違っていたはずだ、どうして、君は地球の大気を呼吸できるのかね」金星人は「出発する前に、呼吸器系の改造を受けてきたからです。ただし、この処置は一時的なもので、その効力は4日間しか続きません、だから、私はもう3日しか地球にはいられないのです」
軍需省のエライさんだったアーサーは地方警察の長官やら、新聞社の社長を連れてきて、金星人に合わせます。長官、手ずから、金星人の指紋を採取しますが、その形をみてびっくり。金星人の指紋は六角形のぼつぼつで構成されていたのです。また新聞社の社長は金星人にインタビュー、「ドウシテェ、アナタハァ、英語ウォヲシャベレルノォデスカァ？」金星人、「地球のラジオを傍受していたのです。我々にはテレパシーの力があるので、どんな原語でもすぐに習得してしまうのです」そして、金星人は社長の持ってきた新聞の記事をスペイン語、ドイツ語、フランス語、イタリア語に瞬時に翻訳してみせたのでした。あ、これはホンモノだわ、一同納得。
この間に、どんどん仲良くなっていく金星人とスーザン、彼女は自分が一人になりたい時に訪れる秘密の場所、ある池のほとり、を金星人に教えちゃったりなんかしております。
続いて軍人、科学者達との会合がもたれましたが、金星人は自分の要求した世界のリーダー達が加わってないことに反発、だから、イギリスの田舎町に来てそんなこと言ったって、無理だって（笑）。会合を打ち切ってしましまいます。憤然として帰っていく軍人達でしたが、アーサーはなにやらずるい顔、ナニゴトか企んでいるようです。
今日も今日とて、例の池のほとりで語りあう金星人とスーザン、あっ、顔が近づいたと思ったら、ぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。キスなんかしてやがるのです。スーザン、うっとりとした顔で「私のキスして欲しいというキモチを分かってくれたのね」金星人、テレパシーの無駄遣い（笑）。そして、宿屋へ戻ってくる二人でしたが、突然金星人が「何か悪いことが起っている」と呟いて、フィアンセの車を追いかけ始めます。とうてい追いつけずばったりと倒れる金星人。アーサー､彼の通信機を盗んで行っちゃったんですねえ。
陸続とやってくるイギリス軍。彼らは金星人を迎えにやってくる彼らの円盤を磁気を利用して捕獲しようとしていたのです。狙いはもちろん、惑星間飛行を可能にする彼らのテクノロジーでありました。それを知った金星人は憤然としてフィアンセに食ってかかります。「我々は、地球人に核の恐ろしさを教えようとやってきたのに、この仕打ちはなんだ」アーサー、しどろもどろになって「いや、アンタがたには危害は加えないから、純粋に平和的な目的だから」「円盤を捕まえるのが平和的な行為だと！言っておくが、我々は反撃するぞ、やられたらやりかえすぞ、このあたり一帯、じゅっと焼いてしまうぞ」真っ青になるアーサー。
そして、ついにやってきた金星人の円盤母船。母船から小型の円盤が離脱して、降下を開始します。捕獲装置をスタンバイして、待ち構える地球人たち。と円盤の底部からまばゆい光が放たれた！その時、ようやく改心したアーサーが盗んだ通信機を金星人に返します。金星人が直ちに離脱するよう円盤に連絡したので、円盤は彼の回収を諦めて上昇していくのでした。カタストロフィは免れたものの、もはや故郷への帰還を果たすことができなくなった金星人は、地球人一人一人に挨拶すると、例の池のほとりに向かいます。横たわる金星人、一旦パンしたカメラが元に戻るとすでに金星人の姿は消えていました。エンドクレジット。
『地球の静止した日』のヒロイン、パトリシア・二−ルに再び同じような役を演じさせるというマニアックなキャスティングはいいのですが、とにかく何も起りなさすぎ、たいくつでタマラン映画です。金星人のヒーリング能力にもまったく意味がなく、あれよあれよと言う間に終わってしまう、つまらない作品なのでありました。
モノクロ・スタンダード、モノラル音声。画質、音質は優秀、極上とは言えぬものの、必要十分なレベルでしょう。映画はとてもつまらなかったけどこのクオリティなら、まあ、いいです。イメージエンタティメントのＤＶＤなので、紙ケース、海苔弁式フタ。
Release Information:
Studio: Image Entertainment
Theatrical Release Date: January 1, 1954
DVD Release Date: September 5, 2000
Run Time: 75 minutes
Black & White
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