Terror at Tenkiller　　1987

　『Terror at Tenkiller』　1987年、これもしょうもない連続殺人ホラーも ので、だいたいダム湖なんかにくれば殺人鬼がばかすか人を殺すに決まっているのです。みんなどうしてそんなところに好んでバカンスしにいくのか。これはアメリカンホラー永遠の謎でしょうか。

　はい、ここは夜のダム湖であります。男に追われる女。あっさりと追いつかれてナイフで喉をざっくざく。「びわー」と叫んで絶命する女。おいおいのっけからこれかよ（笑）。男はえっちらおっちら女の死体をボートに積み込んで湖へ。そして死体を湖にどぼん、はい、タイトルでます。

　大学のプール。女が泳いでおります。彼女こそがこの作品の主人公レズリー、愛称レズ（スティシー・ローガン）。そこに男がやってきますな、彼こそがレズリーのボーイフレンド、ジョシュ、愛称なし（ケヴィン・メイヤー）、彼はレズリーに「おい、いつまで泳いでいるんだ、さっさと上がれよ」と優しい言葉をかけるのでした。レズリー、言われたとおりプールから上がって更衣室へ。シャワーを浴び始めます。すると背後から怪しい手が伸びてレズリーに「わうっびっくりした！」振り返ったレズリーが見たのはにやにやしている女。彼女こそが彼女の友達、ジャナ、やっぱり愛称なし（マイケル・マーチャント）だったのですってもう彼こそがとか彼女こそがとかもう良いから（笑）。

　「レズ　ジョシュが来ているわよ」「知っているわ、プールに来たもの」ジャナは心配そうな顔で「彼とのつきあいはやめたほうが良いんじゃなくて、あれって完全なダメ男よ」でもレズは浮かない顔。彼女とジョシュは高校生の時に結婚の約束をしたカップルだったのです。「そういうけどジャナ、彼にもいいところはあるのよ、それに彼、私を愛してくれてるわ」

　着替えを終えて外にでる女二人。するとダメ男、ジョシュが待ち構えておるわけですよ。ジョシュはレズの手をぐいとつかんで「何ぐずぐずしてんだよ、さあ行くぞ」悲鳴をあげるレズ、あまりのことにジャナが割って入ります。「その手を離しなさい、ダメ男、警察呼ぶわよ、ダメ男」ジョシュは「君には関係のないことだ」と言い返すのですが、警察を呼ばれたらさすがにまずいので「今日はこのへんで勘弁してやる、憶えておけよ」と捨て台詞を残して去って行ったのです。しかし、強く捕まれたレズの手にはアザがついてしまっていました。「大変、早く手当てしなくちゃ」と慌てるジャナですが、レズは諦めたような顔で「大丈夫よ、アザをつけられるの、今日が始めてじゃないし」ああ、ダメ男でおまけに暴力男かよ！驚いたジャナ「そんな暴力なんて最低じゃない、とっとと別れてしまうべきだわ」「あたしたちの両親友人同士だし、とても別れるなんてことできないわ」うわー、イヤなところがリアルですなあ（大笑い）。

　このダメ男でおまけに暴力男から逃れるためにはどうしたらいいか。夏休みの間中ジョシュの知らないところにバカンスに行けばいいという短絡的な思考で荷造りを始める女二人。この期に及んでレズは「両親に帰省するっていってあるし、それにジョシュにまったく会わないというのも・・・」ぐずぐず言っているのですが（笑）ジャナの押しの強さに説得させられちゃう。この時ジョシュから電話が掛かってきてレズに会いたいだのどうのだというのですが、横合いからジャナが受話器引っ手繰って「二度と顔を見せないで、電話もダメよ、本当に警察呼ぶからね！」叩き切ってしまうという・・・。

　さて、無事車に乗り込んでバカンスに出かけた女二人であります。目的地はテンキラーレイク。無理やり訳するならば「十人殺湖」うわ、嫌な観光地だよ（笑）。しかもその名前の由来がインディアンの乙女が十人の勇士をやっつけたという伝説なのですから嫌さ倍増ですよ。絶対この観光地、10人殺しのインディアンの乙女の木彫りの人形売ってますね。13.99ドルくらいで。

　ジャナとレズ、まずジャナの馴染みのダイナー、「チャーリーの店」に行きます。ここは14の年からジャナがウェイトレスのバイトをやっていたというお店。ここで二人でアルバイトさせようというのです。チャーリーの店にはデビーというウェイトレスがいるのですが、まあ、彼女が休んでいる時に働かせてくれということで。また、この店にはちょっとカッコ良い若者、トーもいました。でもこいつ、カッコいいけど何か訳ありげ。彼は「お、見慣れない女がおるぞ」みたいな目でジャナとレズをじろじろ観察するのです。

　チャーリーに後でバイトについて電話してくれるように頼んだ二人、予約しておいた山小屋へ。到着するなりすぐに水着へ着替えるジャナとレズ。あ、ジャナのオッパイ見えた（笑）。二人は近くの船着場から湖へ飛び込むのでした。ひとしきり泳ぎを楽しんだ後、ジャナが十人殺しのインディアンの乙女についてさらに詳しい話を聞かせてくれるのでした。おれ、別にそんな話聞きたくないんだけどさ。

　このインディアンの乙女、妹を他の部族に拉致されて殺されてしまったのです。乙女は仕返しにその部族の勇士十人を殺し返したのですな。しかもその最期の一人は自らおとりとなって湖に誘い込みもろともに溺死したという・・・。ジャナはこの話、八歳の時にパパから聞かせてもらったそうなのですが、ジャナパパ、こんな陰惨な話、幼い娘に教えるなよ（笑）。そしてこの場面の締めくくりはジャナの「あんな男のことは忘れなさい」説教。レズ、神妙な顔で頷きます。

　十人殺しのインディアンの娘、暴力ふるう駄目男、どっちもロクなもんじゃないなあ。

　さて場面代わってでてきたのはチャーリーの店のウェイトレス、デビー、皆さん、覚えていますか？彼女は男とのデートを終えて帰宅するところ。その彼女を何者かがつけております。家に戻ったデビー、ジャグジーを沸かしてさあ、入浴、ううーん気持ちいいとなったところに男が乱入、デビーに襲い掛かるのです。この男、あ、あれ、トーじゃないの、なんだ、こいつが殺人鬼か、しかし、こんなに早く正体明かしてどうするんだ（笑）。デビー、「トー、何すんのよ、トー」ともがき暴れるのですが、お湯にむりやり顔をつけられがぼぼぼぼ。ふらふらになったところを彼女自身が使っていた果物ナイフでぐっさぐさ。「びわー！」たまらず絶命するデビー。そうしてみるみるうちにお湯が赤く染まっていくのはお約束ですね。

　次の日、モーターボートで湖面を自由自在に駆け巡ろうやないけと若大将的発想でボートハーバーへやってきたジャナとレズ。ジャナのパパの持ちボートをプリーチャー（デール・バックマスター）という老齢の管理人に出して貰おうとします。ねっとりした目で二人を見るプリーチャー。もういい加減いい年なのにいやらしいことですな。おまけにトーも現れて「あ、チャーリーの店であった人じゃん。ボート？俺、出してくるよ、燃料も入れてあげるね」この親切な振る舞いにレズもジャナも大感激。殺人鬼とも知らず、この男のファンになってしまったのであります。二人がボートで出かけるとプリーチャーが「いい女だなあ、くっく、たまらないぜ、すっぽん！」と言いだします。彼を睨んだトーは「おっさん、あの女たちには手を出すな！」あら、そうするとこの二人、案外仲悪いのかしら。

　この二人の関係がいまひとつ分かりません。明らかにならないままこのあと・・・。

　その夜、山小屋の電話がりーん、何の気なしにレズがでてみると、これがジョシュでした。「えー、あなた、どうしてここの番号を知ったの？ええ？あたしの両親に聞いた、もうナイショだっていってたのに」もう泣きださんばかりのリズ。「どこにいるかって？だめだめそれは教えられないわ、お願い、あたしのことはそっとしておいて」ここでまたジャナが受話器ひったくる訳ですよ（笑）。「電話してくんなって言っただろ、この馬鹿」叩ききります。また電話がなってジャナ、受話器をとるとまたこれがジョシュなんだ、当然、「シンプルに死ね！馬鹿！」叩き切ります。三度電話がなって「火星に行くか、お前は！」とジャナが叫ぶとそれがチャーリーだったという・・・（笑）。ありがちなギャグですが、なんで火星なんでしょうね。それはともかくとしてチャーリーの電話はアルバイトに関すること。デビーの後の遅番、午後からなら手伝ってくれというのです。ジャナとレズは喜んで「それでいいです、よろしくお願いします」

　さあ、アルバイトも決まったことだしもう寝ようかとなったところで訪問者。プリーチャーでした。彼は二人に採れたての魚を持ってきたというのですが、ちょっと小屋に上げてビールでも飲ましてくれやなどとズウズウシイことを言い出します。どんなジジイかと思いますな（笑）。ジャナは「もう遅いし、あたしたち寝るところでしたから」と言ってあっさり追い返してしまうのですが。プリーチャーはその後も未練たらしく山小屋のあたりをうろついております。とそこへ現れたのがトー、プリーチャーとトーは女に手を出すな、いいや、おれは出すぞとレベルの低い言い争いを始めます。トー、懐から恐ろしいほど大きなナイフを出してプリチャーの腹にどすぐさぐりぐり、プリーチャー、悶絶死です。なおもトー、ナイフでぞくぞく彼の右手を切り取って物置小屋の中へぽいっ。

　だから何でいきなり殺すんだ。それに右手を切り取るのも意味わかんねえ。

　一夜明けてまた爽やかな1日がやってまいりました。留守電をセットして出かけるレズとジャナ。この留守電がぴーっとなって何者かからの「はあ、はあ、やったるぞ、覚悟しておけ」というメッセージを録音します。戻ってきたジャナがこのメッセージを聞いてびっくり。てっきりジョシュの仕業かと思ってレズには知らせません。さて、どうしたものかと迷っているうちにトーが現れます。ジャナが彼にボートの整備を頼んでいたのです。ジャナは彼を上げてビールを振舞うのでした。そして「いやー、プリーチャー仕事に来なくってさ、実際困るよ、あのじいさんにはさ」っててめえがやっつけちゃったんじゃないか（笑）。

　ジャナはトー（マイク・ウィルス）にジョシュのことを話します。トーは憤然となって「僕はそんな男理解できないな、恋人を苦しめるなんて」ってお前が言うな、お前が。でも、ジャナは彼にポーっとなっていて「もっと親しくなりたいわね」とか言っております。まあまあお嬢さん、お待ちなさい、映画の最期の方でこれ以上はないくらい“親しく”なれますから、うひひひひ。

　トーが帰っていった後レズがあくびなんかしながら起きてきます。ジャナは彼女に例の留守電聞かせて「どう、この声ジョシュかしら」「ちょっと分からない、でも怖いわ、あの人だったらやりかねないもの」もうとにかくこの手の電話は無視することにします。ジョシュはレズを怖がらせようとしているので無視するのが一番だということになったのであります。

　その夜、がーがー寝ているレズ、窓の外から聞こえてくるハーモニカの音に目を覚まします。そこにいたのはなんとジョシュ、彼女はまるで魅入られたかのようにふらふら歩いて彼の元に。ジョシュ、長いナイフを振り上げてレズの胸にぐさっ。はっと飛び起きるレズ。夢でしたとさ。ちなみにこのシーン、ジョシュの吹くハーモニカ、まったくハーモニカの音ではありません。電子オルガンか何かで音だしてごまかしております（笑）。

　翌朝、ジャナはアルバイト、レズが起きてくるとまたまた電話がりーん、とってみるとまたまた悪戯電話。しばらく聞き入った後、「ジョシュ、あなたなの、こんな馬鹿なこともうやめて！」叩き切ってしまいました。そうしてチャーリィの店へ向かうレズ。ジャナとさっきの電話について「なんて言ってたの、あいつ」「私をビューティフルなんて呼んでいた。捕まえてやるぞとも言っていた」「うわー、気色わる」とジャナ。「でもあなた、そんな電話があった割には落ち着いているじゃない」レズは「うん、だってもう怖がってなんかいられないんだもの、私生まれ変わらなくっちゃ」そんなレズにジャナも嬉しそう。「そうよ、そうするべきよ、さ、仕事しよ」

　ここにトーがやってきてまたジョシュのことを三人で話すという・・・。またそんな男はやめておけ、愛しているのか？そんなのは本当の愛とはいえないぞというお説教の繰り返しです。もう、俺、ジョシュのことはいいからいい加減誰か殺されてくれよ（笑）。

　さて、仕事の終ったジャナは遅番のレズを残して帰ります。家に戻るなりビキニとなって湖へ向かうジャナ。泳ぎ始めるのですが、とたんに雨。舌打ちしたジャナは船着場に上がって雨がやむのを待ちます。そのうちついつい寝込んでしまったのでありました・・・。あたりはすでにとっぷりと暮れています。そんなことは知らずにがーがービキニのままで寝ているジャナ。そこにそろそろと近づいてくるボート、トーですわ。そろそろとジャナに近寄ったトー、ナイフを振り上げて彼女の背中にぐさっと思いきや、ジャナ起こしやがった。そのまま彼女の頭をつっこんで水中へ。「がぼごぼごぼぼぼ」になるかと思いきや「小屋でビール飲もうよ」だって。どうせ殺すんだからそんなにもったいぶるなよ。

　場面代わってチャーリーの店で手持ち無沙汰にしているレズ。客がいないのでスティーブン・キングの「スタンド」なんぞ読んでおります。ああ、これもあの時代のホラーの定番ギャグだったなあ。そこに電話、出てみるとこれがまたジョシュらしき悪戯電話。レズ、「何考えてんのよ」と叫んで切ってしまうのですが、どうやってここの番号知ったのかとか思わないのですかね（笑）。

　山小屋に戻ります。ジャナ、何故か台所の流しで頭を洗っております。その背中を見ながらビールを飲んでいるトー。もう思いっきり背中から刺しなさいといわんばかりの無防備さ。フツー、シャワーをあびるでしょうが、こんな場合。トーは密かに電話機のコードを外してしまいます。そしてやおら立ち上がり包丁を手に取るとジャナの背中にぐさーっ！「びわー」あまりの苦痛に喚くジャナ！「トー、な、何するの」ぐさっ、ぐさっ、ぐさぐさぐさのメッタ突き。よう知らん男の前でビキニのまま頭洗ったりするからこういう目に会うのじゃ。

　といきなり場面が変わって地図を前に電話をかけようとしているジョシュ。何故か電話が掛からない。何しろ山小屋ではトーが電話線外しましたからなあ。ついに決心したジョシュ、自ら車を駆って山小屋へ向かうことになります。ちょっと待て、山小屋が駄目ならなんでチャーリーの店にかけようとしないんだ。ついさっきレズが出たじゃないか。それともチャーリーの店にかけてきたのはジョシュじゃなかったのでしょうか。まあ、あんまり考えるような映画じゃないですけどね。

　そしてレズも店を仕舞って山小屋へ戻ります。しかし小屋はまっくら、ジャナの姿も見えません。おまけに台所にはビキニの水着が落ちている（笑）。心配になったレズは外へ捜しにいきます。そうしてボートの中をのぞくとばーん、ジャナが死んでいるではありませんか。そして彼女の背後に現れたのはトー。ぎゃっと飛び上がるレズですが、この時点で彼がジャナを殺したとは思っていません。逆に「ジョシュが殺したのよ」とトーに訴える有様。トーは「よし、山小屋に戻って保安官に電話しよう」そうして二人で小屋へ戻るのであります。

　しかし小屋へ戻った瞬間豹変するトー。「本当は君を愛していたのだ、君とヤリたかったのだ」と彼女に襲い掛かるのです。ジャナを殺したのはこいつだったの。驚愕したレズ、ひーっと逃げ出します。物置小屋に逃げ込もうとして扉を開けるとああ、無残なプリーチャーの死体、切り取られた腕、「ぎゃああ」再び悲鳴をあげて逃げ出すレズです。この後しばらくレズとトーの追いかけっこが続くのですが、画面が暗くって何やっているのか良く分かりません（笑）。

　この時山小屋に到着するジョシュ。様子がおかしいことに気づいて山小屋に飛び込み、「レズ、レズ」と叫ぶのでした。レズ、彼の車に気がついて「ジョシュなの、助けてー」山小屋に飛び込みます。あんなに嫌っていたくせに、生まれ変わらなくっちゃとかいってたくせに、自分が危なくなるとこうだ、だからこんな駄目男に引っ掛かるのじゃ。レズ、ソファーに座っていたジョシュを見つけてすがりつきます。しかしがくりと崩れ落ちるジョシュ、既に彼はトーによって殺害されていたのでありました。その瞬間トーに捕まったレズ、トー、「何故逃げる、もうジョシュの心配はしなくていいんだ」完全に狂っております。

　トー、ボートで湖面に漕ぎ出します。ボートの中にはジャナの死体とあれ、あれ、レズもいますな。レズ、湖面に連れてきて何しようというんだ、こいつ。と思う間もなくレズ暴れだします。ボートがぐらぐら揺れて「あっ」湖に投げ出されるレズとトー。ああ、トー、泳げないの、ああ、トー、溺れちゃうよ、レズは泳ぎが得意だからすいすい泳いで助かったよ、な、なんじゃ、こりゃ（大爆笑）。トー、がぼがぼと沈んでいくのでありました。ああ、なんですな、一応勇士を湖で溺死させたインディアンの乙女に重ねたのですかな、あの話が伏線になっていたと。

　ここからレズのナレーション。「警察の捜査でもトーに関することはほとんど分からなかった。どこから来たのか、何故次々に人を殺したのか、彼は何者だったのか」うわっとトーが水面から躍り上がった（ショックシーンのつもりらしい）ところでおしまい。エンドクレジット。

　ジョシュの悪戯電話も良く分からない、チャーリーの店に掛かってきた電話は本当に彼の仕業だったのか。トーのことも良く分からない、殺人の動機もまったく謎のまま。本当に分からないづくしの映画です。まあ、分かったからといってどうなるものでもありませんが。

　カラー・スタンダード・モノラル音声。画質はやっぱり暗いところがまったく見えません。音質はそこそこ聞きやすい。「Scream heater Double Feature Vol 2」『The Last Slumber Party』（1987年）とのダブルフィーチャー。Vci/Ffi のＤＶＤ。

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