The Blood Drinkers (1966)

DVD Release Date: 9/24/2002


　『The Blood Drinkers』(1966)　フィリピンの吸血鬼もの。えー、ずーっとこの手の映画のレビューを続けておきながら、なんですが、僕、もう、こういうのみたくないんです、なんか、奥さんとか愛人が病気になって、それを助けるために女さらってきて云々とか、似たような話ばっかりでうんざりです。たまにはぱーっとロケットが飛んだりとか、怪獣がウワーッて出てくるようなのを見たいんです。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　冒頭がらりがらりと進む馬車軍団。先頭を行くのはどうやら霊柩馬車のようであります。やがて、馬車軍団はあるお屋敷の中へ。そして、下りてきた面子はこの映画の主人公、吸血鬼のドクター・マルコ（ロナルド・レミー）、老女のマリッサ。背中のところにコブがあって、普通の人より、背中が曲がっている、要するにノートルダム寺院にいそうな男の下男、ゴルド、マルコの助手である謎の美女、ターニャ、あとまあ、普通の人より頭がずいぶんと地面に近いところにある、要するに小人の人。こういうヤバメのメンツが霊柩馬車から、美女の死体を廟堂に運び込むわけです。直ちに怪しげなる機械が美女の死体に接続され、ごかんごかんごかんと血らしきものが送り込まれます。すると、どうしたことでしょうか、美女がぱちりと目を開いたではありませんか。マルコは喜び、「おお、我が愛しのカタリーナ（アメリア・フェンテェス）、今に元気にしてやるぞ」と美女を抱きしめるのでありました。ここまでがプロローグっす。

　このヤバメのメンツたちは吸血鬼ですから、光に弱い。廟堂に月の光が差し込んでくるとああっとか言ってうろたえます。そこで、マリッサが自分の首に巻いていた黒いスカーフをぱっと広げて月の光を遮ろうとするのですが、スカーフ、窓の半分の大きさもないという・・・。ぜんぜん遮ってないじゃん！

　次に登場するのが本作のヒロイン、チェリト（アメリア・フェンテェス）、彼女は自宅のベランダで、ボーイフレンドのベンと近所のお兄ちゃんたちがマリアッチを演奏しているのに聞きほれてます。ベン、なぜか水牛連れていて、歌っている最中にひっぱられてよろけるのがすっげえダサい（笑）。その彼女を遠くから見つめるマルコたち。「彼女の心臓をカタリーナのために使うのだ」とマルコがつぶやいたので、驚くマリッサ。「そんな、彼女はカタリーナの妹です、やめてください」「妹だからいいのだ」マルコはにべもなく言い放ちます。暗い顔で目を伏せてしまうマリッサ。

　ここで、マルコに襲われる美女一名。歩いているところをまずゴルドに驚かされ、逃げ回るところにマルコが現れて首筋にがぶっ！ちうちう吸います。翌朝、美女の死体が発見されて、騒然としている村人たちを尻目に馬車でチェリトの家へ向かうマリッサ。彼女を出迎えたチェリトの両親に「我が娘を返してもらうぞ」「そ、そんな」と両親は驚きますな。実はチェリト、マリッサの娘で幼い時に叔父夫婦に預けられていたという訳。チェリト自身はマリッサのことをおばさんと思っているのです。その夜、マルコとゴルドに襲われるチェリトの両親。マルコは偉いので、お母さんのほうを担当。ゴルドはお父さんに襲い掛かるという・・・。貧相な初老の男の首筋にかじりつくノートルダム寺院にいそうな男。うわー、きったない絵柄（笑）。まあ、とにかく二人とも死んでしまうわけですな。

　二人のお葬式。嘆き悲しむチェリト。そこにマリッサが現れて私の家に来なさいと誘うのでありました。チェリトはしばらく考えさせてといい、自宅へ戻ります。そこには神父アから彼女のことを頼まれたという、ヴィクトール、彼の二人の妹、マーラ・ローサが待っていました。この兄弟、赤いオープンカーに乗っているのですが、いかにもどうです、このスポーツカー、カッコいいでしょうと言わんばかりにピッカピカ。笑わせてくれますなあ。チェリトは彼らとともにしばらく過ごすことになりました。その夜、チェリトの前に現れたのはヴァンパイアと化した彼女の両親。両親はチェリトに襲い掛かるのですが、突然現れたマルコによって追い払われてしまいます。マルコ、ムチを振るって両親を追い散らすのですが、ムチの音がぺちん、ぺちんという具合でとにかく情けないったらありゃしません。マルコはやたらにカッコつけてチェリトに「そなたにまもなく死が訪れるだろう。だが、今はその時ではない」と言い残してふっと消え去ります。呆然とするチェリト。

　このマルコ、スキンヘッドにケープ羽織っているというスタイルなんですが、顔がヴィン・ディーゼルそっくりで垢抜けないこと夥しいのですな。

　翌日、神父さんのところに相談に行く、チェリト、ヴィクトール、マーラ、ローサの四人。神父さんは彼らの話を聞いて即座に断言します。「それはヴァンパイアに違いない。ヴァンパイアは生前愛していたものの血を欲するのだ！ヴァンパイアを倒すには木の杭を胸に打ち込むしかないのだ」両親が埋葬された墓場へ行くと、定石どおり、墓が暴かれていました。もちろん、両親の死体はありません。その夜、墓場の管理人とともに張り込みをする皆さん。そこにきちんと今や吸血鬼となった両親が戻ってのですな（笑）。神父さんの合図で、わっと踊り出た管理人、ぐわあぐわあと訳の分からないことを叫びながら、素早く木の杭を両親に打ち込んでしまいます。

　この間、あの廟堂でカタリーナが血を飲まされて次第に復活していく様が描かれます。けれども彼女の心臓はもう弱りきっていたのです。ターニャの指導のもと、通行人を襲うカタリーナでしたが、足元がさだまらず、ふらふら。ついにばったり倒れてしまいます。そんな彼女を廟堂に運び込んだマルコは「はやくチェリトの心臓を手に入れなければ」と改めて決心するのでした。

　いろいろあって、弱気になったチェリト、ついにマリッサの誘いを受けることになります。ヴィクトールとともに、マルコの屋敷に向かうチェリト。マリッサは大いに喜んで彼女に、マルコとターニャを紹介するのでした。不気味な二人を紹介されて怯えるチェリト。ヴィクトールはそんな彼女を心配しつつ、いったん、この屋敷を辞することになりました。しかし、車に乗り込んで発進したとたん、ゴルドが彼の行く手を遮ります。なんだなんだと車から降りてきたヴィクトールが目にしたのはあの廟堂の前で佇むマルコの姿でありました。あ、あれ、急に夜になっちゃったぞ（笑）。

　怪しい廟堂を調べようとするヴィクトールの前に立ちふさがったのはゴルドと小人の人。なんのめりはりもない格闘シーンが5分続きます。なんだ、こりゃ、それなら最初っからヴィクトールの車を止めたりせずに、そのまま行かせりゃ良かったのに。なんとか、ゴルドと小人の人を撃退したヴィクトールの前に今度はマルコが現れます。またかったるい格闘シーンが5分（笑）。マルコ、姿を消して、ヴィクトールの後ろに回り込んだりするので、さしものヴィクトールもついに叩き伏せられてしまいました。マルコはぼろぼろになったヴィクトールに「いいか、私の邪魔をするんじゃない、警察になんか行ったら、ヒドイぞ」だから、最初っからそのまま行かせりゃ良かったじゃん！

　ヴィクトールは当然警察に行きますな（笑）。でも証拠がないので、マルコ邸を捜索してもらうことができません。彼は仕方無しに神父さんに泣きつくのでありました。

　さて、マルコの屋敷に残されたチェリト、否応無しにカタリーナに引き合わされ、驚愕の真実を告げられますな。カタリーナは自分の双子の姉であること、彼女達姉妹の母親はマリッサであること、いきなり出生の秘密をこれでもかと明かされたチェリトはもうふらふら。おまけに、カタリーナやマルコは人間の血を吸う吸血鬼ではありませんか。あわてて逃げ出そうとするチェリト。マルコはまたすげえカッコつけて「バスラー、バスラー」と叫びます。彼の叫びに応じて現れたのは露骨に吊られてぱたぱた羽ばたいている大蝙蝠。それはチェリトの前に舞い降りてきて、彼女を怯えさせるのであります。「バスラーは私のシモベだ。いいか、そなたがこれから赤い光を見る時、それはバスラーが現れるというしるしだ。それはそなたが私のところへ戻ってくる時なのだ」なぜか、チェリトをそのまま行かせてしまうマルコ。だから、つかまえておけっての！

　チェリトはヴィクトールたちのところに戻るのですが、彼女はショックのあまり記憶を失っていました。再び神父さんに相談すると、よし、こうなったら、頼れるのはイエス・キリスト様だけだ！フィリピンですからねえ。割合あっさりと記憶を取り戻したチェリト。彼女はマルコの屋敷で体験した恐ろしい出来事を話しだすのでありました。

　ついに民衆が決起します。これ以上、吸血鬼どもに自分達の生活を脅かされてたまるものか。かなり唐突ですな（笑）。神父さん達を先頭に行列組んでマルコの屋敷へ向かう民衆。マルコ、あわてて、バスラーをチェリトのもとに差し向けるのでした。だから、捕まえとけって言ったのに。自宅へ戻っていたチェリト、見つめていたランプの炎が突然赤く輝きはじめます。彼女の記憶に甦ってきたのはマルコのあの言葉でした。「そなたがこれから赤い光を見る時、それはバスラーが現れるというしるしだ。それはそなたが私のところへ戻ってくる時なのだ」チェリトはふらふらと立ち上がり、マルコの屋敷に徒歩（笑）で向かいます。後を追う、ヴィクトール達。

　再びマルコ達に捕らわれるチェリト。しかし、すでに警察隊までもがマルコ屋敷に踏み込もうとしていました。もうだめだ、マルコ一味はチェリトとカタリーナをつれてわらわらと逃げ出すのでありました。ようやく彼らに追いついたヴィクトール、光に弱いという弱点をついて、ばんばん照明弾を打ち上げます。その度に、わぁっと立ちどまって目を隠すマルコたち。ヴィクトールは彼らの隙を利用して、見事にチェリトを救い出すことに成功するのでした。

　すっかり、怒れる民衆と、警官隊に包囲されてしまったマルコ一味。カタリーナは苦しい息の下からマルコに懇願します。「マルコ、もういいわ、私を楽にして」そうして、がっくりと首をたれ、絶命するカタリーナ。マルコは天を仰いで慟哭したのち、あの姿を消す超能力を使っていずこへともなく消えてしまいました。残されたターニャに民衆が火のついたたいまつをぼんぼん投げつけます。ターニャ、何を思ったかそのたいまつを手にとると、自分の胸めがけてぐさぁっ！自らその命を絶ったのでありました。　エンドクレジット。

　光に弱いはずのマルコ、回復しかけたカタリーナと太陽がさんさんと照りつけるお花畑で踊るシーンがあります。イメージシーンかなと思いきや、どうやら現実みたいで、訳わかりません。あっ、それといい忘れてましたが、カタリーナとチェリトはアメリア・フェンテェスの一人二役であります。チェリトに金髪のかつらを被せれば、ほら、カタリーナに早代わり・・・。

　カラー・スタンダード、モノラル音声。画質の評価はできません。なぜなら場面に応じて、真っ赤、真っ青、真っ黒、フツーのカラー画面とめまぐるしく色が変わるからです。目ェちかちかしてきます。音質はそこそこに良かったのですがなにしろフィリピン訛りのキツイ英語ですので、聞き取りに苦労させられました。イメージエンタティメントのＤＶＤ。

　Director: Gerardo de Leon
　Encoding: Region 1
　Format: Color
　Rated: Unrated
　Studio: Image Entertainment
　DVD Release Date: September 24, 2002
　DVD Features:
　Commentary by producer Sam Sherman
　Trailers for "The Blood Drinkers," "Mad Doctor of Blood Island," "Brides of Blood," "Beast of Blood," "Brain of Blood" and "Blood of the Vampires"
　Alternate "Vampire People" Trailer
　"Blood Island" Stills and Artwork Gallery
　Full-screen format

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