The Devil Bat (1941)

DVD Release Date: 9/3/2002

　今回ご紹介するのは1941年製作の『The Devil Bat 』、その名の通りでっかい蝙蝠がはたはた飛んで人を殺すという、まあ、そんなもんです。最近70年代ダメ映画に食傷していたので、こういうクラシック作品は同じダメでも品があっていいですな。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　巻頭、次のような文章が映し出されます。”ヒースヴィルの住民たちはカルザース博士（ベラ・ルゴシ）をとても愛していた。思慮深く親切で、非の打ち所のない紳士、だが、その実カルザース博士は密かに恐ろしい研究に手を染めていたのだ”　はい、映画の始まり。研究室から秘密の入口を通って屋根裏部屋にいくカルザース博士。屋根裏の小部屋には無闇に大きい蝙蝠が干物然として、止まり木にぶら下がっています。彼は愛しそうに目を細めて「私の研究は正しかったな。電気ショックを与えたから、お前は数日間でこんなに大きくなって」その蝙蝠を連れて研究室に戻るカルザース博士。蝙蝠に電極繋ぐとおもむろにスイッチオン、びびびびび、そうすると蝙蝠がだんだんでかくなるという・・・。喜ぶカルザース博士、そんな彼の実験をジャマするかのように突然電話が鳴り出します。

　電話の主はカルザース博士の雇い主、マーティン化粧品会社のマーティン・ヒース社長（エドワード・モティマー）とビジネス・パートナーのヘンリー・モートンで（ガイ・アッシャー）でありました。マーティンはカルザースを明日の夜のホームパーティに招待します。カルザースは新しいシェイブローションの開発で忙しいと渋りますが、説得されて結局出席することになりました。電話を切ったカルザースは開発中だというシェイブローションに脱脂綿を浸してすっかりビックになった（笑）蝙蝠に嗅がせます。きーきーと暴れる大蝙蝠。「ふふふ、お前はこの香が嫌いだろう、そうだ、この香がする奴をを殺してしまうんだ」

　時間は飛んで次の日の夜。ヒース家に集まった、マーティン、その息子のロイ（ジョン・エリス）、トミー（アラン・ボールドウィン）、娘のマリー（スーザン・カレン）、ヘンリー、その息子のドン、実はパーティというのは口実で、長年の功績を称えてカルザース博士に5.000ドルのボーナスを贈ろうという会だったのであります。皆に、「ワシが良いというまで絶対博士に5.000ドルのことを言うんじゃないぞ」釘をさすマーティンでしたが、カルザース博士から忙しくて今晩はいけそうもないという電話があったので、がっかり。見かねたロイが直接5.000ドルの小切手を博士の下に届けることになりました。

　小切手を受け取って何故か複雑そうな表情を見せるカルザース博士。しかし、すぐに満面の笑みを浮かべて、「やあやあ、これは嬉しい、マーティンと皆さんに有難うございますって伝えてくれ」彼は研究室のテーブルの上にあった小壜を手に取ると「これは開発中のシェービングローションなんだ、テスト中だけどちょっと使ってみてくれないか」もう十分に怪しいカルザース博士の振る舞いなのですが、そこは金持ちのお坊ちゃん、ロイは何の疑いもなく、そのローションを喉のところに擂り込むのでした。ロイが帰っていったとたん、あの屋根裏部屋へ向かうカルザース博士。もの凄い表情で「たった5.000ドルぽっちお前等俺の化粧品で大もうけしやがったくせにたった5.000ドルぽっち化粧品はみんな俺が発明したのにたった5.000ドルぽっち馬鹿にしやがってこけにしやがって殺してやる殺してやる殺してやる病院へかけつけた家族がひーここれがお父さんですか！と叫んで失神するような目に合わせてやる」彼はマーティンとヘンリーを恨んでいたんですねえ。例の屋根裏部屋についたカルザースは窓を開けていけ！デビルバット！はたはたと飛んでいきます。

　その頃、ヒース家の庭でなにやらしんみりと話しているマリーとドン。結婚はもうちょっと待ってという会話であります。そこに戻ってきたロイ、二人はロイにお休みなさいを言うのですが、突然、鋭いかなきり声が！駆けつけた二人がみたものは喉を無残に切り裂かれたロイの死体でありました。

　ところかわってシカゴデイリーレジスター紙の編集室。編集長のマクギティーは記者のジョニー・レイトン（ディブ・オブライエン）とカメラマンのワン・ショット・マクガー（ドナルド・カー）を呼びつけ、「マーティン・ヒースの息子が殺された、この事件を取材してこい」と命じます。ジョニーはきょとんとして「マーティン・ヒースって誰です？」「馬鹿、ほら、なんだな、女の子とデートするといい香がするだろう」「ああ、しますな、たこ焼きとか焼きソバとか、あれはいいですな」「なんでソースやねん！香水だよ、香水、マーティン化粧品会社の社長だよ」この漫才のような一幕があって、ジョニーとマクガーは現地に向かいます。

　警察署で署長のウィルキンス（ハル・プライス）から事情を聞き出すジョニー。なんでもロイの首の傷跡は人間や獣によるものではなく、鳥の爪ではないかと考えられているそうな。「しかし腑におちんことがある。現場のまわりにはネズミに似た毛が落ちていたんだよ」鳥とネズミ、ジョニー、ぱっと閃いて「それって蝙蝠じゃないスカね」ジョニー、鋭いですな。

　次いでマリーに話を聞くジョニーとマクガー。成り行きを心配したのか、カルザース博士まで現れて四者面談となります。マリーはただ、鋭い金切り声が聞こえただけだと話し、ジョニーをがっかりさせるのでした。ここで、お茶を運んできたフランス人メイドにマクガーが一目ぼれして、彼女の写真を撮影するというコミックリリーフが入りますので私も一休み、一休み。

　カルザース博士の次の目標はロイの弟、トミーでありました。カルザース博士はロイの時と同じくにトミーにローションを薦め、このトミーもまたローションを喉に塗るのです。放たれたデビルバットがトミーに向かってききききー！偶然その現場に居合わせたジョニー・マリー、マクガーの3人。ジョニーは拳銃を乱射しますが、トミーを救うことはできませんでした。

　二人目の犠牲者が出てもう村は大騒ぎ。マクギティーも電話してきて、「まだ取材の成果はあがらんのか、写真の一つも撮影できないのか」と矢の催促。こまりはてたジョニーとマクガｰはデビルバットのニセモノを作りフランス人のメイドに手伝わせて偽写真を撮影するのでありました。そうこうするうちに、今度はヘンリーの息子、ドンが殺されます。

　当然、彼等の写真が紙面を飾ったのですが、ラジオのニュース番組で大学教授が「これはニセモノですな、拡大鏡で見てみると、羽毛に“メイド・イン・ジャパン”というラベルがついているのが分かる」、ジョニーとマクガーは新聞社を首、あまつさえ、マリーからも愛想尽かしされてしまうのでした（笑）。こうなりゃ、ホンモノを捕まえるしかないってんで、ジョニーは署長とともに、カルザース博士の研究室を訪ねます。博士は力になれなくてと申し訳なさそうだったが、やっぱりローションを塗らせようとするんですねえ。署長はことわったものの、ジョニーはまんまとローションを使ってしまいます。にやりとする博士。目論み通り放たれたデビルバットに襲われるジョニー、だが、辛くも彼はデビルバットを射殺することに成功するのでした。彼等の立場は大逆転、マクギティーなんかさっそく電話を掛けてきて、ネコなで声で写真をねだるんですから（笑）。

　この騒動の中、ヘンリーはオフィスにカルザースを呼んで、利益分配を持ちかけるのでした。「君も大金持ちだよ、夢がかなったじゃないか」カルザースはぶすりと「私の夢ならもう三回もかないましたよ」ぎょっとするヘンリー、3回？ロイとトミーとドンじゃないか、こいつが犯人だったのか。ヘンリーはカルザースが帰ったのを見計らってマーティンに電話をしようとしますが、忘れ物をしたカルザースが戻ってきたので果たせず逆にあのローションを薦められてしまいます。はい、またカルザース博士が電気で大きくしたデビルバット第二号が登場、ヘンリーもあの世行き。

　電気を流しさえすれば蝙蝠が大きくなる。こういう安易さはベラ・ルゴシなればこそ、ですな。

　次はマリーの番。ある夜マリーは新しい香水の壜が化粧台に置かれていることに気づきます。いぶかしむのですが、そこは女、新しい香水があったら試してみないではいられないのですな。ベッドでぐーぐー寝ているマリーをデビルバット第二号が強襲！でも窓ガラスがあったので、寝室に入れませんでしたとさ（笑）。駆けつけたジョニーは「寝る前に何か変わったことはなかったかい」マリー、しばらく考えて、「そうねえ、お風呂入って、ポテチつまみながらＣＳで「ドリフ大爆笑78」の再放送を見たわ、あのオープニング20年前から変わってないのね、それから、あ、見たこともない香水があったの」「香水！」ジョニー、犯人はカルザース博士と確信します。

　まずマリーの様子を見に来てくれとカルザース博士に電話しておびき出し、その隙に彼の研究室に忍び込むジョニー。たいしたものは見つけられず大いに焦るジョニー、しかし、そこにカルザース博士が戻ってきます。身を隠したジョニーの前で秘密の扉を開けるカルザース、後をつけたジョニーは例の屋根裏部屋を発見するのでした。カルザースは自分が疑われ始めたことを知ってデビルバットを一時外に逃がそうとしていたのです。

　カルザース博士の後ろから二メートルと離れず後をつけるジョニーに大笑い。思わず、「カルザース博士、後ろ、後ろ！」と叫んでしまいましたよ。

　ジョニーは何食わぬ顔をしてカルザース博士を訪問します。言われもしないうちから、「あっ、それはテスト中のローションですな、ちょっと使わせてください」思いがけない成り行きにウレシサを隠し切れないルゴシの演技がよろしい。だが、ジョニーは「これからデビルバットを見つけにいくのです。博士も一緒に来てください」と彼を強引に連れ出してしまいます。そして、隙をみて、博士の首筋に隠し持っていたローションをばしゃり。驚くカルザース博士。「何をするんだ！」「もう分かっているんですよ、あなたの仕業ということは。これでお相子です、さて、デビルバットは我々のどちらを襲うでしょうかねえ」はい、決まってます、カルザース博士です（笑）。博士は自分の創造物であるところのデビルバットに襲われて絶命、デビルバットもジョニーに射殺され、映画は終わります。

　同じことを何度も繰り返すんだから、そりゃ、ばれるって。べラ・ルゴシ一回でよしときゃよかったのにねえ。

　モノクロ・スタンダード、モノラル音声。本編開始前にべラ・ルゴシの息子が出てきて、能う限り状態のいいマスターからデジタルリマスタリングしましたというだけあって、インディペント系のメーカーにしては非常に高画質。惜しむらくは中ほど15分程度がくっと画質が落ちる個所があること。これさえなければ、一級のクオリティと言えたでしょう。Navarre CorporationのＤＶＤ。

　Starring: Bela Lugosi
　Encoding: Region 1
　Format: Black & White
　Rated: NR
　Studio: Navarre Corporation/
　DVD Release Date: September 3, 2002

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