X - The Man with the X-Ray Eyes (1963)　Ｘ線の目を持つ男

DVD Release Date: June 5, 2001

　本日のお題はあのロジャー・コーマンが30万ドルのウルトラスリムな予算と3週間という超短期間で撮影を完了させ、“ミラクル・ロジャー・コーマン”として一躍業界の中で名をはせたという『Ｘ線の目を持つ男』です。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　人間の可視周波数を拡大させて医学発展の役に立てようという高邁な研究に邁進する外科医のエクゼヴィア博士（レイ・ミランド）、自分の目にＸ線の機能が備わったらどんなに素晴らしいことだろう、どんな難病でもちょちょいのちょいだ。そんな理想に酔う彼は実験に使った猿が頓死しても全然おかまいなし、研究に協力している女医のダイアナ（Ｄ・Ｖ・Ｄ・ヴリス）や眼科医のブラウン(H・J・ストーン)の反対を押し切って、自ら自分で発明した特殊目薬の実験台になるのでした。たちまち出現するサイケ（死語）で、キッカイ極まる光景。エクゼヴィアは耐えきれず失神、このことがきっかけとなって学会から研究費用の提供を打ち切られてしまいます。

　失意のエクゼヴィアは時折薬のフラッシュバックに悩まされながらも本来の外科医の仕事に復帰します。透視能力で重病の少女の誤診を発見した彼は先輩外科医に進言するも聞き入れてもらえません。ならばと彼は手術の進行を強引にストップさせ、自分一人で手術をやりとげますが、当然先輩外科医の不興をかって危険分子と見なされてしまいます。「研究はもうこれまでだ、実験をうちきろう」というブラウンのアドヴァイスにかっとなったエクゼヴィアはパンチ一閃、ひどいことにブラウンは窓をブチ破って墜落死してしまったのでありました。逃亡するエクゼヴィア。

　その後、エクゼヴィアは千里眼男として見世物小屋で働いたり、その能力を見込んだ「え、あんさん、ヒーラーになって勝負しましょうや、治療代なんか関係ありまへん、お布施や、うまいこと言えば、みんなお布施がっぽがっぽ払いますえ」という興行主の甘言にのって“治療屋”を開業したりいろいろやるのですが、そこに現われたダイアナ、「あなた、そんなことやっている場合じゃないわ」と彼を連れだそうとします。金づるを失った興行主は悔し紛れに「おまわりさん、こいつ、人殺しでっせ、つかまえてんか」　またまた逃亡するエクゼヴィアとダイアナ。

　はやいとこ、メキシコにでも逃げ込んでしまえばいいものを何故か研究費用がいるなどといってラスヴェガスに繰り出す二人。どんどん強くなっている透視能力でポーカーのディラーをきゃんと言わせるのですが、やりすぎてまたも追われるはめに。もみ合っているうちに彼の特殊めがねがはずれ、もはや人間のものではあり得ない銀色に光る両眼が露になるショックシーンがよろしい。

　ダイアナを置き去りにして車を奪ったエクゼヴィアは猛スピードで逃走。しかし、すでに透視能力を制御できなくなっていた彼の目はなにもかもつき抜けてしまうため、車の運転などできようはずもありません。警察のヘリに追われて崖下に転落。傷を負いさまよう彼は、テントの中で行われている野外ミサに迷い込むのでした。

　神父に向かって私にはへんなものが見えるのです、ぴかぴか光ってもうたまらないのですと絶叫するエクゼヴィア。無責任な神父は「それは悪魔の仕業です、そんな目はとってしまいなさい」無責任な聴衆も同調して「そうです、とってしまいなさい」エクゼヴィアが自分の両眼を抉りだしたところで、エンドマーク。

　宗教的な知識のない私めにはラストの意味が良く分かりませんでしたが、あのロジャー・コーマン作品とは思えない良質のＳＦサスペンス。ヘリも飛んだりしてとても前述のような低予算とは思えないくらいです。

　ビスタサイズのスクイーズ収録。よって画質はこれ以上望むべくもない高品質のもの。ドルビーデジタルモノラル。クローズドキャプションつき。余計なことかもしれませんが、ロジャー・コーマンのコメンタリ−が収録されています。

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