Cat　Women of the Moon（1953）月のキャットウーマン

DVD発売日 3/13/2001

　推定八畳間くらいの広さしかない宇宙船で月を目指す、隊長のレアード、副長のキップ、ナビゲーターで紅一点のへレン、通信士のダグ、エンジニアのウオルト。これだけでも手狭なのに、事務用の机が二つ、事務用のロッカーが人数分、さらに整骨院にあるような古臭い機械がごちゃごちゃしていて、もう息がつまりそう。ちなみにへレン、事務用の机の引出しをあけて手鏡とクシを取り出しヘアスタイルを直したりします。このあま、なめんなよ！それにいくら事務用机だからといって色くらいぬれ（白黒だけど）、ブラックホール第3惑星人以下だって言われちゃうぞ。

　尺かせぎの流星騒動を経て、ロケットは月に到着。ヘレン、唐突に「アルファ、今行くから」と叫んだり、謎の洞窟の存在を知っていたりどうも怪しい。訝しがる一行をその洞窟に連れ込み、執拗に奥を目指します。洞窟内に大気が存在することがわかって宇宙服を脱ぐ一行の前に現われる大蜘蛛（の模型）、ヘレンの彼氏、キップは彼女を突き飛ばすなり、拳銃でががーん、ずががーん、危機を逃れてほっとしているヘレンの頭上にまたも大蜘蛛（の模型）、お前ら、ドリフのコントか。

　一行は洞窟の奥で巨大な宮殿を発見、そこでアルファをリーダーとする、月星人、キャット・ウーマンと遭遇するのでありました。アルファ、私たちは女だけの民族なのですと自己紹介し、5人に酒色を振るまいます。当然、地球人一人にキャットウーマンが一人ついてのマンツーマンの御接待。なんと月はキャバクラだったのです（笑）。みなさーん、ついて来てますかあ、？こいつら、「キャットウーマンワインを召し上がれ」とか「地球に好いた人がいらっしゃるんでしょ」とか言うんですよお。信じられないかもしれませんが本当なんですよお。

　こんな店、ぼったくりに決まってる。キャットウーマン達は彼らの宇宙船を奪い取って地球に行き、全女性を支配下において、地球を征服しようと企んでいたのでした。うおお、でっかい野望、まさにキャバクラ立志伝。ヘレンの奇妙な言動もキャットウーマンにテレパシーで操られてのことだったのです。まず、まずウォルトが「月では金なんてありふれたものですのよ」と誘い出され、キャットウーマンナイフでぐさあ。だから、ウォルト、こんな女がヒカリモノがどうのこうの言う時って腹に一物あるものだって国のおっかさんに教わらなかったのか。

　ついで操られたへレンが隊長を誘惑したので、たちまち険悪な雰囲気になる隊長とキップ。地球にとてもSFだとは思えない危機が迫る・・・。この絶望的な状況（笑）を救ったのは意外にもキャットウーマンのラムダでした。彼女はダグと恋に落ち、彼に全ての秘密を打ち明けたのです。かくしてキャットウーマン対地球人、宇宙船を巡っての決死の追跡劇が始まります。でも、この映画、予算が続かなかったんでラストがなげやりなんだよねー。キップががーん、がーんとニ発拳銃を撃ったと思ったら次の瞬間、隊長・キップ・ヘレン・ダグの4人は宇宙船に乗ってて、地球に向かって出発しているんだもんねー。そのままエンドマークが出てくるのだからアタマの悪い私は何がなんだかよくわかりませーん。

　モノクロ・スタンダード収録。画質・音質ともに良好。チェスレイ・ボーンステルの背景画とエルマー・バーンステインの音楽を引きたてます。元は3D映画だったのでビデオ版では目がちかちかしたそうですが、このDVDは2Dレストアされていて、特殊な眼鏡など必要なく再生できますってジャケットにわざわざ書いてある。そりゃそうだよなあ、フツーの映画だもんなあ。

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