The Monster That Challenged The World (1957)
　大怪獣出現

　本日のお題は『大怪獣出現』（1957年）、日本公開は1960年、さらに1968年『大怪獣メギラ』と名前を変えて『サンダーバード』6号と併映されたという作品です。やたら、スチールは有名なのに、私のような地方在住者には見ることがかなわなかった幻の作品。ようやくこの年になってＤＶＤで見ることができました。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

カリフォルニアの内海沿岸にある海軍基地では今日も今日とてパラシュート降下の訓練が行われています。「ソラ、飛び降りたぞ」ボートで急行する回収役の二人。ところが、肝心のパラシュート兵がどこにもいません。一人が海へ飛び込んで、捜索にあたりますが、そのまま浮かんでこなくなる。船上で怯えるもう一人に怪しい影が覆い被さって・・・。あー、怪獣だ、怪獣だ、私は怪獣映画オタクの呪われた血が騒いで、興奮のあまり、ぴょんぴょんと飛び始めます。

　この怪奇なる事件の捜査に当たったのが、海軍基地情報部のトゥリンガー少佐（ティム・ホルト）、彼は漂流していたボートの上で白いねばねばした液体を発見し、分析の為に海軍の研究所へ持ち込みます。そこで、秘書をやっていた美貌の未亡人、ゲイルと出会う、トゥリンガー、そのまま二人は恋に落ちるのですから、ストーリーに無駄がありません。

　さて、トゥリンガー自ら現場の海底に潜って調査、ほどなく不思議な球体を発見します。それはなんらかの巨大な卵でありました。ここで待ってましたのカタツムリ怪獣出現、一緒に潜っていたジョージがあっさり捕まって首チョンパ。命からがら船に戻ったトゥリンガーを追って海上に姿を現わす、カタツムリ怪獣。か、かっこええ。でも片目を潰され、あえなく退散するのがお粗末ですな。

　研究所の所長、ロジャー博士（ハンス・コンライド）は一の谷博士のような口調であれは古代のカタツムリだ、この間の地震で海底がくずれ、閉じ込められていた卵が孵化したのだ、海老だって、同じような事例がある！と断言、なんでそんなことを知っているんだロジャー博士？アメリカ全国民からのツッコミをよそにカタツムリの記録映像をみんなに見せるロジャー博士。でも、なぜ怪物から放射能反応がでるのかについては一言も説明してくれないのであります。あまつさえ、回収した卵を研究室の真中にあるやたらオープンなプールで保存、「華氏38度以下なら孵化しないのだ」あっ、これラストの大騒動の伏線になっていますので、皆さん、忘れないでくださいね。

　地下水路を通って各地の運河に出没する怪獣と軍隊の攻防戦、みんな大騒ぎしているうちにゲイルの娘、スチールで怪獣に抱きかかえられてる女の子ですな、が母親の目を盗んで、可愛がっている実験用のウサギと会うために研究室へ侵入。ウサギさん、寒いでチョなどといいながらプールの温度調節のつまみを一気上げしてしまいます。そんなんだから、君、アメリカのファンサイトでスチューピッド・キッドとかいわれちゃうんだ。

　やがて、行方不明だった地下水路の地図が発見されたことから、怪獣のコロニーの場所が特定されます。ダイナマイトを抱えて再び水中へ潜る、トゥリンガー。怪獣に追っかけられたものの、首尾良くコロニーを爆破することに成功、ほっとして研究所へ戻るトゥリンガーとロジャー博士。そのころ、研究所では孵化したカタツムリ怪獣がゲイルとそのお馬鹿な娘に襲いかかっていたのでした。

　トゥリンガーはまず、消火器を噴射して、怪物を怯ませそのスキに二人を逃がしてから、仕上げとばかり、高熱の蒸気でぶしゅー。もがき苦しむカタツムリ怪獣、そんな蒸し焼きなんて、エスカルゴ料理しようてぇじゃないんだから。それに、ニンニクを使わないと、生臭くってとても食べられないぞ。駆けつけた兵士達によって、カタツムリ怪獣は射殺され、ようやく大団円となります。

　怪獣と軍隊の駆け引きがサスペンスたっぷりに描かれる米怪獣映画の秀作。カタツムリ怪獣の造形、や、まったくカタツムリには見えないけど、もなかなかカッコよくて、だまされたと思っていっぺん見てくださいな。情報部の女性交換手がヒマさえあれば、母親に電話している意味のないギャグもいい味だしてますぞ。

　モノクロ・スタンダード、クローズド・キャプションつき、画質・音質ともにきわめて優秀、これで、英語字幕がついて、リージョンフリーだったら
なあ。

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