Terror In The Midnight Sun
　/Invasion Of The Animal People(1958　1962)

　今回取り上げるのは1962年製作の『インベージョン・オブ・ジ・アニマル・ピープル』、いやもう、これがヒデぇ映画、今まで『ロボットモンスター』とか『ビースト・オブ・ヨッカ・フラッツ』など史上最低の呼び声たかいウンチ映画を見てきて、なるほど、その酷さにこれ以下のものはないだろうなんて考えてたんですけど、探せばいくらでもあるもんですな、こんなのが。

　冒頭からジョン・キャラダインの長ったらしいナレーション、5分近くも続くのですが、録音が悪くてさっぱり聞き取れない。どうやら、科学は素晴らしいのだということを述べているらしいのですが、なんでこんなに長いのか。だんだん腹がたってきます。

　我慢に我慢を重ねてようやく映画本編がスタート。深夜、光り輝く謎の物体が現われます。その異様な飛行音に目覚めたダイアン・ウィルソン（バーバラ・ウィルソン）、恐怖のあまり、ナイトガウンのまま、道路へ飛び出しました。そこに現われた警官、彼女を保護したのですが、様子が尋常でないことから有名な精神科医に連絡して治療を頼みます。突然、その医者を尋ねるダイアンの母親、ダイアンは私達が夫婦喧嘩していらい、友達の家に泊っていたんですのなどと言います。また3人の医者がダイアンの症状とその夜に現われた謎の物体の関連について論議したり、頭蓋骨の模型を使って音の聞こえ方を説明したりするシーンがエンエンと・・・。ん？なに、これ、私、非常にいやな予感がするんですけど、なんか『ゼイ・セイブド・ヒトラーズ・ブレイン』と同じ匂いがするんですけど。

　病気も治ってオリンピックの練習の為にいきなりスイスへ旅立つダイアン、するとラップランドの夜空にまたあの謎の物体が光輝いて、雪の大地に不時着します。んー、スイスとラップランドねえ、私は良く分からないのですが、何か地理的な混乱が生じているような気がしないでもない。この隕石の調査に派遣されたのは3人の地質学者、ダイアンの叔父であるウィルソン博士（ロバート・バートン）、エリック博士（スタン・ジェスター）、ヘンリック博士でありました。ところがこの3人、アゴアシつきで来たためか浮かれていて肝心の隕石調査にいっかな向かおうとしないんです。エリックなんか、スキーを楽しんでいてダイアンとちょっとした喧嘩をして、彼女にスキーを持ち逃げされる有様。な、なんじゃ、こりゃ。

　日も暮れてからようやく徒歩でホテルへ戻ってきたエリック、ぜーぜー言っていると、ダイアンが「アラ、もうすぐ夕食のパーティが始まるわよ」私だったら、こんな女、スキーのストックで100万回突き刺します。でパーティが始まると二人で踊っちゃったりして良いムードになるんですが、突然、軍人が会場に乱入して来て「大変なことがおこりました、すぐに来てください」と4人を連れ出すのでした。軍隊によって封鎖された現場には、なんと引き千切られた動物の死体がたくさん！スイス政府、たかが動物が死んでいるだけで、軍隊出すな、それにこんな現場に地質学者呼んでどうするのか。

　ようやく飛行機で隕石の調査に向かう一行、ここまでに40分も掛かっているのだから、いやになってしまうのだけれど（笑）、とにかく隕石の側にはクレバスがあってアブナイため、少し離れたところに着陸します。こっそり飛行機に潜り込んでいたダイアンを含めた4人が徒歩で隕石に近づくと、それは隕石ではなく、四角い凸凹が無数に配置された球形宇宙船でありました。その時、飛行機のそばに残っていたパイロットは何かを目撃し、恐怖に歪んだ顔でライフルを乱射。銃声を聞き付けた4人は急いで戻りますが、そこにあったのは無残に破壊された飛行機だけ。

　無線が使えなくなったので、スキーで救助を求めにいくダイアンとエリック。無意味に二人が滑るシーンがまたながながと続きます。もちろん、これはアリモノのスキーのフィルムを流用したのです。この間、好奇心にかられて宇宙船を覗きに行ったヘンリック博士、窓らしきところに人影が映ったのをみて、あわてて逃げ出しますが、熱線のようなもので焼き殺されてしまいます。

　一方、また長々と雪原を疾走するダイアンとエリック。ダイアン、立ち木にガツン！負傷します（笑）。エリックは彼女を山小屋に連れこんで、怪我の治療をしますが、そこに現れたのは巨大で毛むくじゃらでチンケな牙の、海外のサイトで“酔っ払いのチューバッカ”と呼ばれている雪男。ダイアン、悲鳴を上げますが、雪男、何もせずに立ち去るのでありました。ところで、あんなでっかい雪男があの宇宙船にどうやって納まっていたんでしょうね。まるで、フラットウッズモンスターみたいですね。それとも宇宙船とこの雪男は無関係なんですかね。

　雪男、何もせずに立ち去りましたがなにせ、でかいもんですから、雪崩れが起こって山小屋を押しつぶします。エリックは柱の下敷きになって悶絶、ダイアンは無情にもキャーキャーいいながら逃げてしまう。やっぱりストック100万回ですね、こんな女。ダイアン、必死に逃げますが、あえなく雪男につかまります。でもエリックの方は地元のラップランド人達に助けられるという、これはなんという皮肉でしょうか。いやいや、単に編集がヘタなだけのようですな。

　雪男、ダイアンを抱きかかえて、うろうろしますが、何もせずに優しく彼女を雪上に降ろします。で、また何もせずに立ち去るという、一体、こいつは何がしたいんだか。ダイアン、意識を取り戻しますが、彼女が見たものは3人の額が高く盛り上がった異様な人間。これはさっきの宇宙船の中にいた宇宙人だ！。ダイアン、また魂消る悲鳴を上げて失神。でもこの宇宙人たちも何をするでなくいつの間にかいなくなってしまうという。なんだ、こいつら、脅かしに出てきただけなのけ？で、この後、また雪男が現われてダイアンを捕えるんだから、もう訳がわかんないっス。

　ここに来てようやく蜂起した地球人たち。地元のラップランド人たちがたいまつを雪男にぼんぼん投げつけます。たまらず、ダイアンを取り落とす、雪男。ラップランド人達の後からついて来ていたエリック、ダイアンを抱きしめ、よかった良かった。雪男、全身火達磨となって崖から転落。宇宙人は、慌てて宇宙船を離陸させ（でもフィルム逆回し）、逃走します。地球は救われたのでありました。ようやくエンドマーク、これで1時間20分あるんですぜ、この映画。

　あんまりお話がへんなので、調べてみたら案の定、もとは『ラップランドでの宇宙侵略』（テラー・イン・ザ・ミッドナイト・サン）という58年作
のスウェーデン映画。これを監督のジェリー・ウォーレンが、スウェーデンをスイスに変え、ジョン・キャラダインの長ったらしい独白、ナレーション、冒頭、ジェーンが宇宙船の飛行音に怯えるシーンを撮り足して62年にアメリカで公開。さらに1時間では短過ぎて、テレビに売れないので、8分45秒もの（てめぇ、ウォーレン！）ダイアンの母親や3人の医者が意味も無く会話するシーンをつけくわえたのです。アハハ、やっぱり『ゼイ・セイブド・ヒトラーズ・ブレイン』と同じだあ。

　モノクロスタンダード、映画もひどけりゃ画質もひどい。冒頭のナイトシーンあんまり暗すぎて何が起こっているかわかりません。ろくに照明も使わないで撮影したと見えます。あと、フィルム傷とかやたらに多くて目がちかちかしてきますな。音質ももごもごいってるばかりでさっぱり聞き取れない。普通のＤＶＤの3倍は疲れます。なお、このＤＶＤは『インベージョン・オブ・アニマル・ピープル』と元のスウェーデン映画『テラー・イン・ザ・ミッドナイト・サン』のダブルフィーチャア。主演女優のヌードがあるという『テラー・イン・ザ・ミッドナイト・サン』も見なくちゃならないのでしょうが私にはもはやその気力がありません。サムシング・ウィアード・ビデオ（笑）、紙ケース、海苔弁式フタ。

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