KILLERS FROM SPACE（1953年）　宇宙からの殺人者
Horrors From Space Collection
(Teenagers from Outer Space, Phantom from Spapce and Killers from Space)

　本日のお題は、タイトルに『宇宙からの・・・』ってつく映画はろくでもねえよという定評を作り上げたという噂の、悪名高きウルトラ糞映画、54年製作の『宇宙からの殺人者』であります。今回買ったＤＶＤは『ホラーズ・フロム・スペースコレクション』と題した、『宇宙からの殺人者』、『宇宙から来たティーンエイジャー』、『宇宙から来た妖怪』の3本の映画が1枚のＤＶＤに収まっているというもので、透明プラスチックのケースもカッコよくて、これで11ドルちょいてんだから、たまらねえ、ほくほくしながら買ってみたら・・・。

　冒頭、いきなりネバダの核実験場で行われる原爆実験。もくもくと立ちあがるきのこ雲の上空では原子力の分野でトップの一人と目される、マーティン教授（ピーター・グレイブス）が観測機　ター・ベイビー・ツゥ（これは架空の機体？）に同乗して空気中の放射線量を測定しています。突然彼等の前に現われる怪光、ター・ベイビー・ツゥはコントロールを失って地上に激突、パイロットの死体は発見されたものの、肝心の（パイロット君ごめん）のマーティン教授は行方不明になってしまいます。

　数日後、マーティン教授は飛行服のまま、しかもまったく行方不明になっている間の記憶を失った状態で基地に現われます。ただちに軍の病院に収容されたマーティン教授、彼の健康状態は良好でしたが、胸に大きな十字型の傷が発見され、検査にあたった医師達を混乱させます。この怪事件を調べる為に、派遣されてきたＦＢＩのエージェントは彼が替玉ではないかと疑い、指紋を調べるが、間違いなくマーティン教授であることが判明しただけでした。軍上層部は彼を自宅待機にさせ、監視をつけることを決意します。

　自宅で妻とともに安穏な生活を送るマーティン。でもやたらに次の核実験の日時を知りたがるのがとてもへん。ある朝、新聞を開いたマーティンは、自分の知らぬうちに新たな核実験が行われていたことを知って愕然とします。怒った彼は同僚のクルーガー博士のオフィスから、機密事項である核実験の詳細なデータ−を無断で持ち出すのでありました。

　ある空き地の岩の下に書類を置こうとするマーティン、そこに現われたＦＢＩエージェントを、んが！と殴り倒して逃走しますが、カーチェイスの末に彼の車は立ち木に激突。捕えられてしまいます。再び病院に収監されたマーティン、自白剤（？）を注射されて、空白の期間のことを話しだすのでした。

　事故後、彼が目覚めたのは手術台のようなものの上でしかも目玉が飛び出たというか、役者さんの目に半分に切ったピンポン玉を貼り付けてマジックでちょんちょんと黒目をかいたというか、とにかく異様な男たちに囲まれています。場所はどこぞの洞窟の中のようです。驚き騒ぐマーティンへ、英語を喋ることのできるやつが、我々はアストロン星系のデルタ星からやってきた、う、ちゅーじんなのだと抜かしよる。

　恒星アストロンは既に死にかけた太陽で、彼等のピンポン目玉もすっかり暗くなってしまったデルタ星の環境に順応した結果なのだそうです（笑）。当然のことながら、彼らは地球の侵略を目論んでいたのであります。そして、マーティン、お前は一度死んだのだが、スパイとして使うために我々が心臓を復活させて、生きかえらせてやったのだ、ありがたく思いなさいと極めて身勝手なことを言いやがります。マーティンは非常に情けない気持ちになり、逃走を図りますが、どこにいっても、でっかい蜘蛛や、でっかい蜥蜴や、でっかいバッタなどが現われるので、呆れて逃げる気をなくしてしまいます。さっきの英語を喋れるアストロン・デルタ星人が「あれは我々が遺伝子操作で作った地球侵略用の軍隊なのだ」って、笑わかせてくれるぜ、アストロン・デルタ星人！へそで茶が沸くぜ、アストロン・デルタ星人！

　このアストロン・デルタ星人の洞窟基地は、核実験のエネルギーを動力源としていたので、それをスパイするよう、マーティンに命じます。「地球侵略しようてぇんなら、自前のパワープラントぐらい持って来い、バカ」マーティンは抵抗するが、催眠術にかけられ、基地に戻されたのでありました・・・。この話を聞いたＦＢＩエージェントやクルーガー教授はひそかにこう思っていたという・・・。あ、こいつ、キチガイだ（笑）。

　誰にも信じてもらえず、鬱々と病院のベッドで過ごすマーティン。彼は洞窟内に制御用のパワージェネレーターが無かったことから、アストロン・デルタ星人は、人間の電力を盗電して制御の用にあてているのではないかと推測し、この一帯に電力を供給している発電所を一時ストップさせれば、ため込んだ原子エネルギーをコントロールできなくなって大爆発を起こすのではないかと考えます。ところがこのアイデアをクルーガー教授に話してみると、賛成してもらえるどころか「そんな、お前、ここらへん全部停電させたら大変なことになるじゃん」と反論され、逆上。クルーガー教授と看護についていた妻を突き飛ばしてパジャマのまま逃走、車を奪って発電所を目指します。

　発電所へたどりついたマーティンは止めようとする職員を得意の拳法で叩き伏せながらついにコントロールルームに侵入。駆け付けたクルーガー教授やＦＢＩエージェント達の止めるのも聞かず、メインスイッチをオフ。発電所内は真っ暗となります。何事も起こらないかと思われたが、ほどなく地を揺るがす大爆発、ズズズズズ・・・。窓の外にはでっかいきのこ雲。そう地球は救われたのであります。めでたし、めでたしって、君等、これでいいのか？

　モノクロ・スタンダード、話のアホらしさもさることながら、今まで見たＤＶＤの中で最低・最悪の画質。映画3本約210分をＤＶＤ片面一層に押し込んだからかもしれませんが、とにかく、フォーカス感がまるでなくピントがぼけぼけ。見ていると目がちかちかしてきます。オマケにシーンによっては人物に簾状の太い線が入ってしまう始末。電送人間じゃないんだから。

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