Mars Needs Women (1968)　火星人大襲来

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　本日のお題は1964年製作『パジャマパーティ』のリメイク、もとがコメディだったのを、無理矢理シリアスな、“地球の女と結婚させろ”宇宙人侵略ものに変えちゃったんで、オリジナルよりよほど笑える怪作になったという『火星人大襲来』（1968年）です。

警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

　冒頭、テニスギャルや、シャワーお嬢さんなどがぱっぱっと消えるヘンなシーン。これはツカミであり、本編にはまったく関係ありません。わるーい予感がして、身悶えして喜ぶ私、良い趣味してるでしょ。ホントウの映画がはじまったとたんに研究所で傍受される不審な電波、どうやら外宇宙から発信されているらしいということで、将軍が呼び出されます。「このメッセージはどういう意味なんだ」「サー、このメッセージは、3文字を繰り返しているだけなのです」「それくらいワシにだって分かる、いったいどういう意味なんだ」科学者を居丈高にどなりつける将軍様、科学者青ざめて「このメッセージ、3文字のメッセージの意味は・・・、ＭＡＲＳ　ＮＥＥＤＳ　ＷＯＭＥＮ　火星ハオンナヲ欲スです」そのままどーんとメッセージと同じタイトルが！どんがらがちゃーん、あんまり笑いすぎて椅子から転げ落ちちゃいました。将軍、上院議員に相談すると、難しい顔をした上院議員、「よし、とにかく大統領に報告しよう」だって、あなた、本気ですか。

　火星人のリーダー、ドップ（トミー・カーク）がラジオ電波を通じて研究所内に実体化、驚く将軍や、科学者に対して「染色体の異常で火星人の男と女の出生比率が100対1になってしまった、このままでは火星人が滅亡してしまう、だから、地球の女を5人くれ、身体的条件に合致して、未婚の女性を頼む」という極めて図々しい要求をします。おいおい、身体的条件に合致するって、要するに、ええかだらしたおなごということやろ、お前はフィリピンに遊びにいったオヤジか！

　ここで思い出すのが、我が国の誇る“地球の女と結婚させろ”侵略映画『地球防衛軍』（1957年）のミステリアンですね。こいつらも、シドニーオリンピック開会式の日本人選手団みたいな、カラフルなてるてる坊主みたいなカッコしているくせに、白川由美と結婚させえと図々しいことを言いよりますな。こういう身のほどをしらない宇宙人って、とってもイヤ。

　先制攻撃を掛けようとする、地球人側、2機の航空機を派遣しますが、見えないバリアに阻まれたり、計器を狂わせられたりで結局失敗します。ここで使われるのが、Ｂ-52爆撃機からランチされたり、スキッドを使って着陸したりするＸ-15やＦ-111ア−ドヴァークの記録フィルム。おお、これ結構貴重じゃん。

　要求を拒否された（当り前である）火星人たちは空飛ぶ円盤で地球に飛来、廃棄されたテキサス郊外の製氷工場へ潜伏します。円盤のハッチから窮屈そうに姿を現わす火星人、あっ、2番目に出てきた奴がまんまの懐中電灯をもっているぞ（笑）。あっ、4番目に出てきた奴も懐中電灯持っていて、しかもカチッとスイッチを入れやがった、火星人って地球の何倍も進歩した科学力を誇っていたんじゃないの？それにこの円盤、ハッチのところしか作ってないだろ、もう辛抱たまらんので言わせてもらいます、君ら、ひょっとして馬鹿？

　火星人は四手に分かれて、それぞれガソリンスタンドから、小銭を、空港の駐車場から盗難車を、テーラーから背広、ネクタイ、靴下などを盗みだします。リーダーのドップ、洋服調達役の火星人に向かって「いいか、火星人と地球人の服のサイズは違うからな、火星地球サイズ対照表をよっく見て、間違わないようにするんだぞ」これでもＳＦ映画なんですからねえ。

　地球人に変装し、ええかだらのおなごを求めてテキサス中を回る火星人達。ストリッパー、画家の卵、スチュワーデス、キャンパスクイーンが次々と催眠術で操られ、攫われていきます。これは火星人というより、監督・脚本のラリー・ブキャナンの好みじゃないかと思うが、まあ、どうでもいいですな。リーダーのドップ、美貌の女性遺伝子科学者マジョーリー・ボウエン（イヴォンヌ・クレイグ）に狙いを定めますが、接触をはかるうちに彼女に次第に惹かれていきます。ボウエンもまんざらじゃないらしく手をつないで散歩なんかしてやがるんですよ。か、火星人のくせに生意気だぞ、ドップ！

　しかし、皮肉なことに、ボウエンの「火星人は冷凍睡眠を使って宇宙飛行するに違いない、冷凍睡眠の準備をするのに、都合のいいところはどこか、それは、製氷工場よ、火星人はそこにいるのだワ」という文句のつけようのない、三段論法によって、円盤の潜伏場所を特定されてしまいます。夜を期して押し寄せる軍隊、ドップはボウエンに自分の正体を明かし、「愛なんて火星じゃ大昔に忘れ去られてしまった感情なのに、僕はそれを思い出したのさ」とかなんとか言っちゃってですな、せっかく捕まえたええかだらのおなご達をほっぽいて、仲間たちと円盤に乗り込み、さっさと飛び去ったのでありました。あーあ。

　カラー・スタンダード・モノラル。なんでもカラーにすりゃいいってもんじゃないんだってことが如実に分かる珍作品。画質はノイジーで、まあ
そこそこ見られるレベル。クローズド・キャプションつき。

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