Monster From Green Hell (1957)　緑の地獄からの怪物

DVD発売日 5/29/2001




　オープニングからいまや世の中ロケット時代、今日も実験に励む男たちがいるという名調子のナレーターに乗ってブラディ博士とモーガン博士のロケットが打ち上げられます。思いっきり研究所が絵なところが気になりますが、そんなことで文句をいってちゃこの手の映画は見られません。それにあなた、『ロボットモンスター』、『月のキャットウーマン』のプロデューサーのアル・ジンバリストに何を期待しているんですか。

　思った通り実験は失敗（笑）、ロケットはいったん衛星軌道に達したものの、高度を下げ、アフリカの“緑の地獄”と呼ばれる地域に墜落してしまいます。場面は変わってここはアフリカ。教会と病院を営んでいるローレンツ博士のところに原住・・・じゃなかったネイティブの人達がわいわい言いながら死体を運びこんできました。「だんな、たいへんだたいへんだ、怪物だ、怪物だ」「またそげんことば言うてから、怪物やら迷信ちいいよろうが、ほんなこつ××××はしよんなか」何故か博多弁でネイティブの人達をどなりつけるローレンツ博士。それでも気になって死体を調べてみると、多量の毒素を発見。「これは蛇ん毒じゃなか」ローレンツ博士は考え込むのでした。

　ここでなんのタメもなく唐突に巨大すずめ蜂が登場。んぶぶぶ、んぶぶぶ、古い電気掃除機みたいな音をたてつつコマ撮りでゆっくりゆっくり動く。逃げ惑う象やライオン、アンティロープなどの野生動物たち、大爆笑。あ、言っておきますけど、何もこの映画、アフリカにロケしたわけじゃありません。このへん、全部アリモノのフィルムの流用ですから念の為。まあ、アマゾンのお話なのに、水中シーンで北米原産の魚、ガ−パイクが泳いでいた『大アマゾンの半魚人』よりはましってなもんです。

　いろいろあってローレンツ博士は巨大ハチにやられてしまう。ここに及んでようやくこの大騒ぎの原因であるブラディ博士とモーガン博士がアフリカに到着。怪物の噂を聞きつけてやってきた二人、これはあのロケットが原因に違いない、実験用に載せていたスズメバチが宇宙の放射線を浴びて突然変異したに違いない。二人は黒人ポーターを雇ってローレンツ博士の病院へ向かうのでありました。途中襲来するアフリカの蛮族、丘の上から2000人くらいがばぁっと降りてくる、すげえ、『スターゲイト』なみのモブシーンだ！ジンちゃん、あんたやるときゃやるじゃんなんてことはなくて映画『スタンレーとリヴィングストン』（1933年米）からの流用フッテ−ジです。

　ようやくローレンツ博士の病院に到着した一行は父の死に嘆き悲しむ博士の娘、ローナを連れてさらに奥地に進みます。そこで見つけたのは巨大スズメ蜂がうじゃうじゃいる巣、一行は“用心の為に”持ってきた手榴弾で攻撃開始、どかーん、どかーん、ああ、まったく効果がない。洞窟に追い詰められやけになったブラディ博士は残りの手榴弾を一度に誘爆させる。当然ながら一行は崩れた洞窟の中に閉じ込められてしまったのでありました。

　あちこちさまよってようやく洞窟から脱出した一行が目にしたものは、火山から流れ出た溶岩によって巨大スズメバチがうきゅーうきゅーと悲鳴を上げながら焼殺されていく、あまりにも御都合主義的なラストでありました。「自然がわれわれのできなかったことをやってくれた。自然にはマチガイを正す力があるのだ」と呟くモーガン博士。何かっこつけてんだか。

　たしかにアレな映画ですが、アタマの悪い『放射能Ｘ』という感じで面白いっすよ、アフリカの場面のほとんどが流用フィルムなんですけれども（笑）うまく繋げていておれ、最初本当にアフリカでロケしたのかと思いましたもの。巨大スズメバチのデザインはどうしようもないですが、デザインしたのが“金星ガニ”のポール・ブレイズデルなんですもの、我慢しましょうよ。

　モノクロ・スタンダード、多少ノイズっぽい画質ですがまあ見られる部類。音質も聞きやすくってグッドです。イメージエンタティメントの
ＤＶＤなので例によって紙製ケース、海苔弁式フタ。

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