Planet Of The Vampires (1965)　ヴァンパイアの惑星

　本日のお題はイタリアンホラーの雄、マリオ・ヴァーバ監督、イブ・メルキオール脚本の『ヴァンパイアの惑星』。すでに御紹介した『恐怖の火星探検』と同じく、『エイリアン』の元ネタと言われている作品です。なお、この『ヴァンパイアの惑星』、ラストできっつい、作品の評価そのものも変えてしまいかねない、どんでん返しがあります。私は馬鹿なので、いっこうにそんなことを斟酌せず、どかどか書いていきますので、この作品に多少なりとも興味があって、しかも未見という方はこの先を読まぬ方が賢明かと存じます。

　警告、警告、このＤＶＤのリージョンは1です。したがって日本国内のＤＶＤプレーヤーでは再生できません。警告、警告。


　数10年来、知的生命体からと思われる通信が観測されていた惑星に向かう、宇宙船、アルゴと僚船のギャリオット。アルゴはマーク・マーカリィ船長（バリー・サリバン）の指揮の元、惑星に着陸しようしますが、突然、コントロール不能に陥ります。40Ｇもの大重力、普通死んじゃいますよね、こんな大Ｇ、に苦しむ乗組員達、マーク船長は必死に操縦を手動に切り替え、なんとかアルゴを惑星に着陸させました。その直後、突然狂い始める乗組員達、お互いを殺そうとしているかのように暴れまわります。彼らはようやく取り押さえられたのですが、暴れている間のことを何一つ覚えていないという有様。一体、彼らに何が起こったというのでしょうか？

　やがて彼らはアルゴからそう遠くない地点に不時着していたギャリオットを発見します。救助に向かいますが、ギャリオットの乗組員達は彼らほどラッキーではなかったらしく、全員がお互いに争い、死んでいたのでした。自分の弟の無残な死体を発見して、ショックを受けるマーク船長。えらい、こっちゃああ。とりあえず船外で発見された3人の死体を埋葬し、乗組員の一人を見張りに残して、隔壁を焼ききるためのトーチを取りに戻ります。見張りがびくびくしている間に、埋葬されたはずの3人が墓石代わりの金属板を押しのけて立ちあがる・・・、きゃー、コワイぃぃ。

　マーク船長たちが戻って来ると、見張り役の乗組員が見当たりません、しかも、ギャリオット船内の死体もなくなっている。いったん、アルゴに戻って対策を練ろうとすると、今度は眠っていたはずのウェス乗組員（エンジェル・アランダ）が、ふらふらと立ちあがって、宇宙航行に不可欠な、隕石反撥装置を破壊しようとします。寸前のところでウェスを止めたマーク船長は「この惑星には我々を操る知的生命体がいるのだ。我々の体を乗っ取るために、意識不明の間に我々を操って殺し合いをさせようとしたのだ。これから睡眠時を含めてお互いがお互いを監視しなければならない！」この絶望的な状況のなか、彼らはなんとか帰還を果たすべく、未知生命体の襲撃にそなえながら船の修理を続けるのでありました。

　そんなおり、アルゴの近くに不時着していると思われるまったく別の宇宙船が発見されます。早速探検に出掛けるマーク船長とアシスタントのサニヤ（ノーマ・ベンゼル）、端役の乗組員。その奇妙な形をした宇宙船（なんとなく『エイリアン』のアレに似ています）の側には巨大な骸骨が転がっていて大層不気味悪いです。マーク船長はなかなかこりない人とみえて、また端役の乗組員を見張りとして残し、船内に入っていきます。中ではやはり巨大な骸骨がテーブルに突っ伏していて（このへん『エイリアン』のあのシーンにそっくり）、われわれも同じ運命になるのだろうかと戦慄しながら、異星船から脱出するマーク船長とサニヤ。やっぱり見張り役の乗組員が消えていたという（笑）。だから言わないこっちゃない。

　この後、唐突にギャリオットの生存者、船長を含む2名が発見されます。彼等の無事を喜び、収容するアルゴの乗組員たち。絶対やばいって。見ているみんながそう思っていたら案の定、寝ている振りをしていたこの二人、隙を窺い、隕石反撥装置を盗みだそうとするのでありました。駆けつけたマーク船長たちに向かってギャリオットの船長は「ふふふ、この体はもはや人間ではない、我々は君たちの体をあやつることのできる生命体なのだ。この星系の太陽はまもなく最後の時を迎える、我々はこの星系を離れて生き延びるために君たちの体を欲しているのだ。あの通信は君たちを誘い込むための罠だったのだ、あの巨大な異星人もその犠牲者なのだ、ぐわ、ぐわ、ぐわはっはっは」がらりと口調が
変わって「だからさ、別に君達死ななくていいから、ちょこっと我々を精神的に寄生させてくれればいいんだから、なに、怖いことなんかないって、最初は少し痛いかもしれないけど、それさえ我慢すればめくるめく快感が・・・」マーク船長、当然断ります（笑）。しかし、肝心要の隕石反撥装置を持って行かれてしまいました。

　決死の覚悟で、ギャリオットに忍びこむ、マーク船長とサニヤ。なんとか、隕石反撥装置を取り返し、持ち込んだ爆弾でギャリオットを破壊することに成功します。しかし、逃げる間にさらに二人の乗組員がやられて、結局このヴァンパイアの惑星から脱出することができたのは、マーク船長、サニヤ、ウェスの3人だけ。

　ウェスは船の修理のため、不眠不休で働いていたので、つかれきった体をベッドに横たえます。彼に近づく怪しい影。はっと気づくウェス、あ、あれはマークじゃないか！驚いたウェスはマークの奇妙な行動をサニヤに訴えます。「そうね、じゃ、マークに直接聞いてみましょう」サニヤ、ウェスをマークのもとに連れていくなり「マーク、ウェスが気づいたわ」二人はすでに精神寄生体に寄生されていたのです。。愕然とするウェス、こいつらを母星に連れて行ってはいけない。彼は隕石反撥装置を破壊し、ついでのように感電して果てるのでありました。

　長時間の宇宙航行が出来なくなった彼らが着陸場所に選んだのは太陽と呼ばれる恒星系の第3惑星、あれ、それ、地球じゃん。え、え、え？アルゴ号、地球の宇宙船じゃなかったの？びっくりしている私を尻目に「あの星でうまく生活できるかしら」と不安がるサニヤ＝精神寄生体をヴュースクリーンに映し出されるニューヨークの摩天楼を見ながら慰めるマーク＝精神寄生体、「はっ、はっ、はっ、大丈夫に決まっているさ、見たまえ、いまだに土と石で建物を作っている原始的な奴らなんだから」　だーん、エンドマーク。このメルキオールらしい、ウルトラどんでん返し、今日日こんなのなかなかないですよ。

　ちなみにこの『ヴァンパイアの惑星』、次のようなのタイトルでも上映されたそうです。『THE DEMON PLANET』『HAUNTED PLANET』 『HAUNTED WORLD』『 OUTLAWED PLANET』『 PLANET OF BLOOD』『PLANET OF TERROR』『 PLANET OF THE DAMNED』『TERROR IN OUTER SPACE』　だからどうしたって言われても困ります。

　カラー　、ワイドスクリーン収録（レターボックス）、英語モノラル。スクイーズ収録でないのが、なんとも残念ですが、画質は天下一品。重厚な色彩設計のヴァンパイア惑星のセットを見事に再現してくれています。クローズド・キャプションつき。

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