一人自慰

　ええ、俗にせんずり、オナニー、一人エッチ、てすさび、セルフジョブなどと申しますが、ようするに自慰、寂しい男性が己を自ら慰めるというやつですな。これのやり方にもひとそれぞれいろんな方法があるようで・・・。ただひたすらにしごく、こんにゃくをつかう、羽を毟った蝿を先っちょのところに這わせる、カップヌードルを作って程よく冷えたところに珍宝を突っ込むなどよくもまあ考え付くものでございます。このページの主催者のエロの冒険者てぇひとはＤＶＤのエロソフトを使ってオナニーした後、ああ、オレも出世したものだと感慨にふけるのだなどと申しておりました。やっぱり変わってますな、あのひとは。

　「（表から声をかけ）おい、なんか・…用があるッてんできたんだけれども、なんだい」
「おッ，来てくれたかい？まあ、待ってたんだ。ま、ま、ちょいと上がれよ。ちょいとあがんねえ」
「あがれッたって今・・・ね、仕事の事でこれから出かけなくっちゃならねえンだけど・・・」
「まァいいじゃねえかなァ・・・おい、ちょいと上がんなよ。え？急用？ハハハ・・・まァ急用とでも言わなくちゃ、おめえは来てくれねえだろうと思ってね。実は今ね、すごいエロ本貰ったんだよ、パツキンの丸見えのズッコンバッコンてえ奴。昔，俺がずいぶん世話ァしてやった奴なんだが紐育の方へしばらく行ってたんだが、今度不意に帰ってきたんだ。『差し上げようと思いまして300冊ほど買ってきたんでございますが税関で見つかって破棄同意書にサインさせられて取り上げられたんで・・・用心に腹巻の中に忍ばせておいた２冊だけしか持ちこめなかったんでございます。』と、こう言うんだ。『本来ならば、こちらへ残らずおかなくちゃならねンですがもう一軒お世話ンなった所があるのでそこへ半分持って行きたいと思うんで、まことにしみったれた事を言うようであいすみませんが、一冊だけで勘弁していただけませんか』ッてやがって・・・え？へっへへへ、言うことがかわいいじゃねえか、なにも余計にものを貰うからいいてえわけじゃねえ。あァいいとも、おめえが世話になったとこがあるんなら半分持ってってやってくれ。じゃ俺ァ、一冊だけもらおうてんで・・・どんなもんかと思ってちょいッと、捲ってみたところがこれがいいんだな、助兵衛なんだよおめえ。え？これァねえ、たいしたものもらったなと思って・・・カキてぇんだけれどもカカアの奴が目を光らしていやがって・・・どうにも手がつけられねえ。どうしょうかと思ってたんだが、用達しがあるからッて出ていきゃがったんだ。夜まで我慢しようと思ったけれどもとっても待ち切れねえんだ。お互いのオナニーを見せあいっこする変態プレイの仲間は大勢あるけれども俺ァね、留さんがいちばん好きなんだ。ね？だからさァ、ふたァりで、カキてえなと思ったんで呼びにやったんだが・・・だめかい、おい」
「（顔の相好をくずしほんほんと鼻息あらくして）ふふふ・・・そうかい、いやどうもすまねえ。変態プレイの仲間ァ大勢あるが、俺だけを呼んでくれたッてえのはありがてえじゃねえか、どうも」
「だっておめえ、仕事があるッて・・・」
「いえ、仕事の方はまァあるんだけれどもね、なに・・・まァまァいいや。ちょいとぐれえならいいんだよ、すぐカクんだろ？」
「すぐカクんだけどもよ、いろいろ準備があるんだ。蒟蒻なんかも暖めねえといけないんだがこの火じゃしょうがねえ。蛍の尻みてえじゃ今暖まるか、今暖まるかなんてんでこうにらめっこしていたって面白くねえからね。すまねえがあの、表に炭俵があるだろ？二つ三つ、炭をつまんで・・・そこに焜炉がある。あ、種火はここにあるからこいつを持ってって入れてね、おけつを少しあおいでくれ。あァ、よしよし、柔らけえ炭なんだからすぐぽうッとくるから・・・おい、大丈夫だよ、もういい、このやかんをかけといてくれ、かけたら蒟蒻をいれてな、あァ、切れ目を最初にいれとかなくちゃいけねえよ、あとからだと面倒だからね。うーん（と、見回して）そうだ、そうだティッシュを切らしてたんだ。トイレットペーパーでもいいてえようなもんだけれどもやっぱり少しがさがさするから。コンビニに行ってな、うん一箱適当に見繕ってたのまァ。行ってくれるかい？やァ、どうもご苦労さま。・・・あァ、（相手が帰って来た態）どうした？、なんかあったかい？」
「行ってきたよ。あァエリエールのケナフィてぇやつを買ってきた。いいティッシュだったからね。言われた通り一箱だけでいいと思ったんで・・・」
「ふーん、（ティッシュの箱を受け取り）いいティッシュだねこりゃ。え？パルプ100パーセントに蛍光染料使ってない？肌触りが良くって環境にもやさしいとなりゃおめえ、ぐうとも言わせやしねえや。あァ、ありがとありがと、こいつはありがてえ。それから・・・もうちょっと刺激が欲しいから、すまねえがでえどこ（台所）のな、上げ板・・・こっちから３枚目を開けると俺の秘密のバイブレーターが隠してあるから。あッたかい？おお、よかろうよかろう、そいつを出してくれ。それでな電池切れているといけねえから（下半身をむき出しにして）俺の肛門にあててスイッチを入れてくれるかい・・・おおお、良い震え具合だねえ。いやァ、また留さんの押し当て方がいいな、おめえはなんでも手でする事ァいい、うまいよ。俺ときた日にゃねえ、口が八丁で手が一丁てんだからね。うっふふ・・・文句だけは言うが、ぶきっちょでなんにもできねえんだからね・・・やあ、どうもありがとありがと。ティッシュにバイブと、これだけもう道具がそろってりゃいうことはねえや。カクよカクぞカキますとも。ええ、留さんいいかい、このエロ本をね、俺にようく見える様にこう開いてだね、そうそう寺子屋の反対みたいなカタチでえ、見えねえって？まァ、まァ，後でたんと御開陳するから・・・。俺は左手でもってだね、バイブを肛門に押し当てて、おおお、と、留さん、そうそう次のページにいっておうおう、ふん、はァッ、うう、またページ捲ってあ、早いよ、どうも、もうちょいゆっくり、うゥゥゥ・・・」
「ふふふふ、凄いかい、キモチ良いかい、（つばをごくりと飲みこんで）ね、熊さん、キモチ良いかいそのエロ本は？」
「（相手に委細構わず激しく右手を動かし）うゥゥゥ・・・あァッ、（大声に）ぶるるるッ、うう良い。いやァ、さすがげえこく（外国）もんだ。なんだな、墨塗られているところが丸見えでもう裏も表もありゃしない。それでズッコンバッコンだからなんともいえないね、気が遠くなるね。こうなるとカカアとのセックスよりどれほど良いか知れやしない。おい、第一ね、俺がカイている時、お前そばから『キモチ良いかい、キモチ良いかい』ッてね、ああいうことを言っちゃいけないよ。犬なら食いつかれるよ・・・本当だよ。なんとも言いようがないね。奴ね、自慢をしてやがったよ。このねえエロ本は紐育からはるばる官憲の目を逃れて運んできたものでございますから金銭づくじゃ手に入りません。ゆっくり味わってカイて頂きたいなんてやがってね、うん、俺ァ、もらったとたんにそう思ったね。あァ、変態プレイの仲間ァ大勢あるけれども、嫌な奴とカキたくねえしね。留さんと、俺ァ一緒にカキてえと思ってね、お前を呼びにやったんだよ」
「へへへ・・・（さも嬉しそうな顔で）本当にねえ、そ言ってもらうとね、嬉しいよ、うちのかみさんがまた、うるせえんだよ、『お前さんはいいおかずがあれば慌しくオナニーしてどうも夜の生活がだらしなくなっちゃうんだから』なんてね」
「あはははは、どこのカカアも同じなんだよ、あちき一人でガマンなさいましって。あんな顔の裏表もわかんないような古女房とばかりやるなんてえのはまっぴらぴらぴら御免だよ。お、おう、また良くなってきやがった、うん、ハッ、ハッ、はァ、ふん、何してんだよ、早くページ捲らねえか、おう、こ、これは、また、うゥゥゥ、はあ、はあ、はあ　こんないいエロ本、一時にイッちゃもったいねえや。（大声で）おうおう、留さん，留さん、蒟蒻，蒟蒻・・・（叱りつけるように）蒟蒻だよ。ごとごと言ってるじゃねえか・・・おめえ、何をしてんだよ、蒟蒻番だろ、蒟蒻番てえものは、薄ぼんやりしてちゃ駄目なんだよ。本当に・・・え？早くだせよ、蒟蒻を。何をまごまごしてんだ本当に・・・。おめえはね、いい人間だけど、なんかぼやッとしているところがあるんだ・・・本当にどじ助なとこがあって困るよ・・・熱くなっちゃった？何を言ってやがる。熱くなっちゃったッてあたりめえじゃねえか・・・その蒟蒻をもっとこっちへ持ってこいッてんだよ。もそもそしてやがンだな本当に。こっちィ出しなよ蒟蒻を・・・あッ、（蒟蒻をとろうとして）おうッ、あアチッ。熱いねどうも・・・。これじゃせっかく切れ目入れたのに珍宝入れられないだろ。お前だって蒟蒻を使う時あるんだろ？蒟蒻はね、ひ、人肌ッてんだ。人肌が本物思わせてイイんだよ。それをこんなに熱くしちまってどうすんだ、本当。もったいねえ、ふう、ふうッ、こりゃ、吹きながら使うもんじゃねえんだよ、第一おめえ、これァ（ずぶりと入れて）あァ熱い、熱いよ、熱いけど、ふふふ、この熱さがまた、おう、おう、はん、おおお、なにぼんやりしてるんだ、ページを捲るんだよ、ページを、一体何のために呼んできたとおもってるんだ、ふん、はァ、あァ、いい、いい、と、留さん、俺の左の乳首をな、なめておくれでないかい」　
「ふん、なめろッたって・・・（かなり怒った調子で）ホモでもねえのにお前の乳首なんか馬鹿馬鹿しくてなめられねえやな」
「おう、おう、あン、はン、ああ俺は・・・うゥゥゥ、も、もうおおお　ロボコンれいてんんんーん。はあ、はあ、はあ、ああ良かった、頭の芯が飛んじまった。いやどうもなんともたまらない・・・エロ本だよ。なァ、留公。」
「（相手の顔を見てだんだん怒りがこみ上げてくる）何を言ってやがンでえ。い、いい加減にしやがれ。人をいそ・・・いそ、忙しいッてえのに、え？すぐ来い・・・なんだ？ティッシュ買って来いだの、え？蒟蒻暖めろだの、バイブを探せだの・・・へッ、なんだ！そんな、そんなエロ本なんぞ、みたかねえよ、俺ァ。そんなエロ本見たかねえや。後で御開陳だの調子のいいこと言いやがって精液ぶちまけて見ようたってくっついちゃってみられやしねえじゃねえか。な・・・手前だけでしこしこ勝手にイッちまいやがって。え、世の中に？こんなすげえエロ本はねえ？・・・何を言ってやがンだ、べらぼうめ、見られもしないのにすごいかすごくないかわかるかい。手前みたえな、乞食みてえな奴たァ、生涯（しょうげえ）つき合わねえや。面ァみやがれ。この馬鹿野郎ッ」
「（隣家の女房驚いて飛んで来る）・・・ちょいと熊さん、どうしたんだよ。なんだか知らないが、留さん、大変怒って帰ってったよ。お前さん、喧嘩したんじゃないの？」
「え？なんだよ、留公かい？あははは、いいんだよ、打ッ捨っときなよ。あの野郎ァパイプカットしているんだから」


　下げがうまくいきませんでした。どうもごめんなさい。

　
さあて、次回の改作落語は「悲しみに綾波レイ」だ。

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